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短編
普通と異常の境界線(♀アレ/+ライル)
双子だとは聞いていた。ああ、そっくりだよ。
4年間も拘束されていた兄と、妹はようやく再会を果たし涙を零して喜んだ。
「ハレルヤ…、生きてるって、信じてた、」
「俺が死ぬわけねえだろ、アレルヤ、」
「ハレルヤッ…!」
抱きしめ合う二人を、ライルがその青い瞳に映す。
なんて綺麗な兄妹愛、

「…」

日常を過ごしていればその仲の良さは嫌と言う程分かる。
双子は、兄妹と言うより恋人のようにライルの瞳には映ってた。
「あれは仲良すぎなんじゃねえの、」
「ナカヨシ!ナカヨシ!」
ハロの言葉に苦笑いをする。
もし、仲良し、だけの関係じゃなかったら、


「──しますよ、」
何の顔色も態度も変えず、アレルヤはライルの質問に答えた。
あまりにも普通に答えるものだから、これは冗談なのか、とライルは笑う。
「アレルヤも冗談が言えるんだな、」
「冗談?」
「だってハレルヤとキス、しますよ、なんてさあ、」
「本当ですよ、」
「…」
「キスもしますし、」
「…も、?」
「それ以上のことだって、」
「…」
「だって恋人ですから、」
ニコ、と笑うアレルヤを見ていると間違っているのは自分の方なんじゃないのかと思ってしまう。
「双子の、兄妹、だろ?」
「はい、」
「それで恋人?」
「…変ですか?」
そこで気付く。
ああ、この子はきっと知らないんだ、近親相姦の罪深きことを。
その時沸々と何かが沸き上がるのをライルは自分の胸の中で感じた。
フ、小さく笑いアレルヤを見下ろす。
「そうだな、変だ、普通はしない」
「…え、」
オッドアイが揺れた。
「なあアレルヤ、」
「、」
「普通じゃない、」
「…そんなッ、」
こつ、こつ、ゆっくりと一歩ずつ足を進め、アレルヤを壁際へと追い詰める。
アレルヤの背が壁についたのと同時にライルは両手をアレルヤの顔の横につき、逃げ場をなくした。
「普通を教えてやろうか?」
「っ、」
そのまま顔を近付け、アレルヤの唇を舐める。
固まり目を丸くしたままのアレルヤにライルはニヤリと笑い、今度は乱暴に口付けた。
「んんっ…!」
ぬる、と生暖かい舌が入り込みライルの手がアレルヤの胸へ伸びた、それと同時にアレルヤはライルの肩を突き飛ばす。
そのままアレルヤはライルに背を向け駆け出して行った。
「っはは、泣いてやんの、」
小さくなる背を見つめ髪をかき上げる。
明日はハレルヤにぶん殴られるかもなあ、と呑気に笑った。



「アレルヤに何した、」
ほらきた、
あまりにも予想通りなハレルヤの行動に思わず吹き出しそうになる。
「昨日、泣いてた、」
「へえ、可哀相に、」
「ってめえだろ!アレルヤに何した!」
すぐに牙を剥くハレルヤは本当に単純な奴だと思う。
「何って、普通のこと」
「てめえ!」
「キスしただけさ、」
「っ!」
降り懸かってくるハレルヤの拳を左手で受け止め、ライルは金色の瞳を見た。
「お前らの関係は異常だ、だからアレルヤに教えてやったんだ、キスは兄以外の男とするもんだってな、今日はそれ以上のことも教えてやろうかな、」
「っの野郎…!!」
「おっと、」
殴られてはたまらないなあ、とライルは笑いながらハレルヤと距離を取り、未だに睨み付けてくるハレルヤに背を向けた。
「お前らみたいなのをケダモノって言うんだぜー、」

汚い、汚いよお前ら、でも汚いの通り越してお綺麗に見えてくる。

ますます泣かしたくなってきた、ライルはアレルヤを思い浮かべ煙草に火を付けた。









おわり

2009 6 10











何がしたかったんだ暇人ライル。


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あきゅろす。
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