短編 巡り逢い 壱(♀アレ/+ロックオン) ハレルヤの世界は、生活は、ある日を境に変わる。 ニールとアレルヤの間にハレルヤは生まれた。 幸せな家族だった、誰が見てもそう思った。 しかしハレルヤが小学校に上がった時、アレルヤは病で他界した。 それから12年、ハレルヤも18歳になり、ニールはもういい頃だとある話をハレルヤに切り出した。 「ハレルヤ、実は俺は付き合ってる人が居る、」 「…へえ、」 「その人と再婚しようと思ってるんだ、」 「…」 何となく気付いていた。 父には女が居ると。 少なからず再婚という言葉にショックはあったが、自分がどうこう言うことじゃない、もう母に頼る歳でもない。 「まあ、いいんじゃねえの、別に、」 母が生きてたら、なんて思うのは随分前にやめた。 母のことは本当に大好きだった、父もそうだろう、けれどもう母は居ない。 人生はその人のものだ、ハレルヤは父の再婚を許した。 一週間後、父が連れてきた再婚相手の女に、ハレルヤは目を見開き開いた口が塞がらずにいた。 「ハレルヤ、今日からこの人がお前の母さんだ、」 歳の割には若すぎる父と、その父が肩を抱く、若すぎる女、その顔にハレルヤはまず驚いた。 「ハレルヤ君、初めまして。ママって呼んでね!」 「…呼べるわけねえだろおおおっ!!!」 母になった女は、なんとハレルヤとたった二つしか違わない年だというのだ。 ハレルヤは声を上げその女に言葉をぶつける。 「おいお前!よく考えろ!すっげえ若作りしてっけどこいつあ今年で42のおっさんだぞ!?騙されんな!」 「ハレルヤ、父親に向かっておっさんとは何だ!」 「てめえもてめえだ!なんでこんな若い女…しかも20歳って俺とあんま変わんねえじゃねえか馬鹿野郎ロリコンロリコンロリコンロリコンロリコン野郎っ!!」 「大丈夫だよハレルヤ君、こんなにかっこいい40代はニール以外にはいないよ、僕ニールが大好き!」 「アレルヤ、」 「ニール、」 「や・め・ろおおおおっ!!」 甘く見つめ合い始めた二人にハレルヤはがりがりと頭をかき二人の間に割って入る。 どうかしてる。 この二人、馬鹿だ! 確かに父、ニールは若い。 今年で42歳だと言うがとてもそんな風には見えず、見た目は20代のままだった。 ハレルヤと歩いていてもまさか親子だと思う人間は少ない。 そして何より父の再婚相手のこの女、 (か、母さんに似てる…っ!!) 死んだ母、アレルヤに瓜二つなのだ。 しかも顔だけじゃなく名前まで同じだなんてこんな馬鹿な偶然があるか。 父はよくもまあこんなそっくりさんを見つけられたものだ。 「まあ、ハレルヤ、とにかくそういうことだ!」 「よろしくね、ハレルヤ君」 「おえええっ!」 最悪だっ!! 「え、いいじゃん!いいじゃんすげえじゃん!そんなエロ漫画みたいな展開まじいいじゃん!」 「…」 翌日、悪友のミハエルに昨日のことを言うと、そんな気楽な言葉が返ってきた。 「人事だと思いやがって」 「20歳の母ちゃんなんていいじゃんか!しかも可愛くて巨乳なんだろ?俺ならヤってるな」 「…馬鹿野郎が」 確かに、確かに可愛い顔をしているし胸もかなり大きかった、ああそれは認める、が、父の再婚相手だ、 ハレルヤはため息を吐く。 「てめえなあ、自分の親父が、自分と歳がそんな変わんねえ女連れてきたらどうするよ、」 「……あー…、」 言われて初めてミハエルはハレルヤの気持ちを知った。 自分がその立場になったのならば、ショック、だろう。 「まあ、前向きに考えりゃあいいじゃん、」 「前向きにねえ、…夜とか寝るに寝れねえんだぞ、」 「えっ!」 ハレルヤは昨晩、二人の寝室から聞こえた声に目を覚ましてしまった。 再婚とは言え新婚、つまり初夜である。 下半身が反応してしまう前にハレルヤは耳にイヤホンを入れ、歌を流しながらその日はまた無理矢理眠りについたのだ。 毎晩そんなことが起こると思うとうんざりだ、色んな意味で。 「…ハレルヤ、」 「あ?」 「お前んち泊まりに行っていい?」 「っバーカ!!」 もう何を言ってもミハエルにはうらやましいとしか思えないようだ。 チャイムが鳴りがたがたと席を立つ。 早く帰ろう、いや、帰るとあの女が居るんだよな、どうしよう、ああくそ、 ぐるぐると無駄なことを考えながらハレルヤは校門へと歩き出す。 「ハレルヤ君!」 「…あ?」 顔を上げる、そこには、 「っげえ!?」 「迎えに来ちゃった、」 にこにこと可愛い笑顔を浮かべた、アレルヤが校門の前からこっちに向かって小走りで駆け寄ってくる。 大き過ぎる胸が揺れるのをハレルヤは無意識のうちに見てしまう、が、 生徒達がじろじろとアレルヤとハレルヤを交互に見る視線が痛い。 あー!、と後ろからミハエルの声がしたので、慌ててハレルヤはアレルヤの腕を掴み思い切り走り出した。 「っわ!?」 「何で来てんだよ馬鹿!!」 学校からある程度離れた所で立ち止まりハレルヤは怒鳴り付けた。 「だって家に居てもすることなかったし、ご飯ももう作っちゃったからハレルヤ君の迎えに行こうと思って、」 「…はあああ、」 その笑顔に力が抜ける。 アレルヤはそんなハレルヤを見上げくすくすと笑っていた。 「ハレルヤ君て、本当にお父さんと似てないね、」 「…」 それは昔からよく言われていることだった。 母親似であるハレルヤは昔から、本当にお母さんにそっくりね、なんて親戚によく言われていた。 (…母さん、) ぼんやりと脳裏に浮かんだ母の顔。 その顔と重なる、目の前のこの女、どうしてこんなにも母に似ているのか、 ハレルヤはアレルヤから顔を背ける。 「僕とハレルヤ君の方が似てるよね、親子みたい、て言うより姉弟かな? …ハレルヤ君?」 「…そのハレルヤ君てのやめろ、」 「え、」 「…」 「ハレルヤ、て呼んでもいいの?」 「…」 ハレルヤは答えずに背を向けて歩き出す。 嬉しそうにアレルヤは笑い、その背中を追いかけた。 「じゃあ僕のこともママって呼んでくれる?」 「っ誰が呼ぶか馬鹿!!」 ハレルヤの世界は、生活は、アレルヤによって大きく変えられていく。 つづく 2009 4 13 ニールと結婚したの(ハレルヤの母)は二期アレルヤ。 再婚したのは一期アレルヤ。 とイメージしてください(^^) 多分、続くはず… 私が他人なハレアレ書くのは初ですの。 [*前][次#] |