短編 奇跡 今日また一つ年を取った。 こうして誕生日を迎えられていることは、奇跡に近いと思った。 いつ死ぬかも解らない戦場の中で、誕生日なんて、 みんなに祝ってもらったことはすごく嬉しいけど、こうしてハレルヤの腕の中に居られることが一番嬉しい、 「ハレルヤ、起きてる?」 「ん、」 「誕生日、おめでとう、」 「お前もだろ、」 「奇跡、だよね、」 「何が、」 「戦争してる中で、こうして生きて誕生日を迎えられて、」 「奇跡なんかじゃねえだろう、」 「どうして、いつ死んでもおかしくないんだよ、」 「お前は俺が守るから死ぬなんて有り得ねえんだよ、」 「…いつも有難う、僕はいつもハレルヤに助けてもらってばかりだね、」 「別に、守りたいから守ってるだけだ、」 「有難う、」 「…」 「僕も、ハレルヤを守るから、」 「、」 「今まで助けてもらった分、たくさん守るから、」 「危なっかしいな、」 「僕頑張るから、」 「ああ、有難う、」 「だから二人生きてまた来年誕生日迎えられたらいいね、」 「そうだなあ、」 「約束しようよ、」 「あ?」 「来年、誕生日に二人で生きてられること、」 「…そんなもん、」 「ハレルヤ、」「お前が死んだら俺も死ぬから」 「…え、」 「そしたら天国とやらで二人誕生日迎えようぜ、」 「…縁起悪いよ、」 「同じだろ、生きてようが死んでようが二人一緒ならさ、」 「…僕も、ハレルヤが死んだら、僕も死ぬ、」 「それは駄目だ」 「何でっ」 「お前が生きることが俺の目的だからだ」 「僕は嫌だよ、」 「いいんだよ、俺が死んでもお前は生きろ、」 「そんなの…ずるいよ、」 「まあ、俺強いから。そう簡単に死なねえけどな」 「二人で、生きようよ、約束しよう、ハレルヤ、」 「…」 小指を立てると、ハレルヤは何も言わずに小指を絡めてきた。 小指を絡めるだけの約束でこんなにも安心するなんて。 来年も二人で生きて誕生日を迎えられたらいいね、ハレルヤ、 僕達は抱き合ったまま眠った。 おわり 2009 2 27 ベッドの中、裸で約束。 ハレアレ誕生日おめでとう! [*前][次#] |