女にはモテる
夏美は可愛い。
けど私、慧は可愛いとは一度も言われたことがない。
小さい頃は、割と言われていた気がする。
お世辞だとしても、親の同僚などから言ってもらっていた。
いつの頃からか、男の子と遊ぶ方が楽しくて、女の子との付き合い方を忘れてしまった。
そうすると、女の子との距離のとり方がわからなくて、自然と身に付いた男との付き合い方が出てしまった。
「慧って、その辺の男よりもかっこいいよね〜」
「彼氏にしたいー!」
エトセトラ、エトセトラ……
「はぁぁぁ〜〜↓」
盛大な溜息をついた私の肩を、夏美が軽く叩いた。
「今日もモテモテだね、慧っ♪」
「夏美には負けるよ〜。ってゆーか、男にはモテない分、普通に負けてるから。」
同性にだけモテる私と違い、夏美は同性異性問わず、様々な人に人気がある。
「慧は、本当に女の子にモテるからね。」
私の気持ちを察して、苦笑する夏美に目頭が熱くなった。
「女の子にモテるのはイヤじゃないけどさ……」
沈んでいく声を、夏美は慰める。
「今日は、うちに来ない?ゆっくり話できるしさ」
ウインクして笑う彼女を見ると、モテて当たり前だと納得させられる。
「ありがとう、夏美」
そして、今日も遠慮なく日向家にお邪魔することになった。
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