紙だよね?
クルルに改造してもらった、セキュリティーに微塵も不安を感じない私専用のパソコンをいじる。
先ずは、大手検索サイトで今日のニュースを確認する。
クルルの傍に居るようになって、テレビを見る機会がめっきり減ったしまったおかげで、世間一般の流れが掴めなくなってしまった。
それは流石にマズいと思い、最近ではクルルを見習ってネットから情報を得るようになった。
自分の気になったニュースだけを読むことにしているが、どの題名も気になってしまい、結局ほとんどの記事に目を通している有様だった。
「んぁゃあ???」
変な音を出した私に、クルルが声をかけてくれる。
「どうかしたかぁ?慧。」
「黒いトイレットペーパーだって……」
写真のトイレットペーパーは本当に真っ黒だった。冗談ではなく全部黒いのだ。
「………何か悪趣味な気がする」
使いたい人が増えているとあるが、私はコレで拭きたいとは思わなかった。
「いいんじゃねーの?
おまえ達ペコポン人は、偏見が強すぎるからな。
もうちょっと柔軟な思想を養えよ。」
「クルルに言われたくない……」
自分でも、偏見の強い方だと自覚はあるが、何故かそれを他人から指摘されると、人間、腹が立つもんだ。
「俺様ほど、柔軟な思想を持つ奴はいないぜ〜?」
クルルの声はどこか楽しそうだ。
「天才的な頭脳を持つことは認めるし、それを生かすだけの柔らかい思想の持ち主ってことも認める。
けど、
…………けどっ!!
黄色いトイレットペーパーは、止めろっ―――!!!!!!!」
割れる位の大声を出した私に、クルルは陰湿に笑いかける。
いそいそと、クルルが用意した新しい紙は、ツヤツヤと輝く黄色のトイレットペーパー。
もちろん、トレードマークの渦巻きがプリントされていた。
「慧〜?
柔軟な思想を持てよ、偏見は捨てな〜。
俺の傍にいたけりゃ、こんな日常当たり前だぜ〜?」
ク〜ックックックック
私の当たり前の日常は、とっくの昔に捨てられていたようだ。
柔軟過ぎて、奇人変人の域まで達していた、黄色い宇宙人の手によって。
↓黒いトイレットペーパーについての記事↓
//headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20070707-00000030-nnp-soci
(一番前にhttp:をつけて下さい。注:PC判です)
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