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夢か現か幻か


*匿名様:アルギュロス×アスベルでアルギュロスが絶倫の話



ギシッ。

寝返りを打ったわけではないのに聞こえた軋んだ音。

決して大きい音ではなかったが、あまりにも間近すぎてアスベルはそっと瞼を開いた。

睡眠を取る為に閉ざされていた目はぼやけ、視界はすぐには定まらない。

が、その分、というべきか、近くに己のものではない気配があるのがわかる。

誰だ、問う前に頬に触れた生温かさ。


「起きた?」

「・・・アルギュロス?」


聞き慣れた声音から、気配の持ち主を推測する。

そして幾度の瞬きの末にようやく普段の調子を取り戻した目には、思い描いた人物が映っていた。


「こんな夜中に、どうしたんだ・・・?」


指の腹で撫でてくる感触が心地良くてつい顔を摺り寄せつつ、今この場にいる理由を問う。

記憶違いでなければ、昨夜はアルギュロスとおやすみの会話を交わして各々の部屋で就寝したはずだ。

というのも明日は何件もの討伐を連続して請け負わなくてはならず、互いの体力を十分に養う為に夜の逢瀬を控えようという提案によるものであったが。


「アスベル」


ギシッ。

ベッドが軋む。

ぐっとアルギュロスの顔が近くなって、そこでようやくアスベルは仰向けに横たわっていた自分の上に彼が覆いかぶさっている体勢に気がついた。


「アル、っん!?」


訝しげな声は唇に遮られる。

ぬるりと口内に入りこんだアルギュロスの舌、それに擦られてぞくりと下半身に甘い疼きが走ったのがいけなかった。





くちゅり、と中を解していた指が抜き取られる。

三本にまで増やされていた太さが唐突になくなって、あ、とアスベルは不満の声を零した。

くす、とアルギュロスが微笑んでいる。


「そんなに指が良かった?」

「そんな、事」


次の段階へ進む為の行為が気持ち良かったなど、素直に告白するには恥ずかしすぎて、アスベルは視線を逸らす。

さっきから顔が熱い、恐らく真っ赤になっているに違いない。


「じゃあ次はこっちで気持ち良くしてあげるよ」


ひたり、と指が入っていた入口に熱が当てられる。

アスベルはぎゅっと目を瞑った。

この先の衝撃と快楽は知っている。

ずぶ、と閉じかけた後孔をこじ開けてアルギュロスが入ってくる。

無理矢理広げられる痛み。

それを和らげるように、濡れたアルギュロスの指先がアスベル自身を強弱をつけて扱く。


「ぅ、あっ」


痛みに混ざりだした仄かな快楽に後孔が緩んだようで、ずるずると滑らかに熱が納まった。

アスベルは瞼を開く。

痛みに溢れた涙の先に、ふう、と小さく息を吐くアルギュロスが見える。


「全部挿入ったよ」

「ぁっ」


アスベルに知らしめるように腰を揺らされ、根元まで受け入れた熱の切っ先が最奥を叩く。

じん、と中が疼いた。

痛みは少し経てば痒みにすり替わっている。

小さく逸物を動かし、己のモノが馴染んだのを見計らって、アルギュロスが身を引いた。

ずるずると中を擦られながら抜かれる感触は排泄にも似ている。

だがそれと違うのは、


「ぅあんっ」


先だけを残した彼が再び奥へ突き刺す事だ。


「あ・・・、あん・・・、ぁっ、ぁっ、あっあっあっ」



ぐちゅ・・・ぐちゅ・・・ぐちゅ、ぐちゅ、ぐちゅぐちゅぐちゅ!



初めはゆっくりと、次第に速く。

卑猥な音を奏でながら激しく繰り返される抜き挿しにアスベルは喘いだ。

併せてそそり立った己自身や、いつの間にか胸の頂きにまで伸びていた指先が甘い痺れをもたらして、とめどない絶頂が押し寄せる。


「ひ、い、あああんっ」


白濁はアルギュロスの手のひらに。

たっぷりとついたそれを、自身の口元に運んだアルギュロスがぺろりと舐める。


「うん、思った通り上質だ・・・」


うっとりと呟かれた言葉をアスベルは聞いていない。

果たしているというのに激しく突き立ててくる熱が性欲に油を注いでいる。


「っっ、ッ!」


達すれば達する程過敏になっていく身体は、滑るアルギュロスをぎゅうぎゅうに締め付ける。

動きに合わせ、無意識ながら巧みに引き締まる様は、まるで精を欲しがっているようにも、搾り取ろうとあいているようにも思える。

ぐっと奥を突いたアルギュロスが息を呑んだ。


「ふぁんっ!」


どくん、と放たれた劣情。

生温かさが中に満たされていく。

熱を包み込む肉壁を、白い体液が汚しているのだろう・・・。

ぐちゅ、とアルギュロスが腰を引いた。

放たれた精液を伴って抜かれていく熱に、行為の終わりへの安堵と僅かな物足りなさを覚える。

アスベルの体調を気遣ってか、アルギュロスは一度の射精を皮切りに性交を終わるようにしている。

後処理を終えたら何でシようと思ったのか問いただそうと、行為に乱れた息を整えていた最中だった。


「ひああっ!!」



ぐちゃん!



もうすぐで抜かれる筈のアルギュロスが、再び奥底へ潜り込んだ。

すぐに激しく肉壁を擦り上げられる快感がアスベルを襲う。

気を抜いていただけに、その衝撃は凄まじい。


「いあっ、や、あっ、なん、で、あ、あ、あ!」

「一度で終わると思った?」


舌なめずりをしながら腰を押し付けるアルギュロス。


「そんなもったいない事、するわけないじゃないか」


ぐちゅぷちゅと交わった箇所から水音だけでなく泡が潰れる音まで聞こえる。

アルギュロスが出入りする事によって入ってきた空気が精液と混じって気泡を作り、無残に潰されているのだ。

アスベルの中を掻き回しながら時折精液が放たれ、抜かれる時に共に出て行く。

止まない律動を感受する入口から白濁が溢れる様子はいっそ卑猥だった。


「もっと出してよ」


それとアスベルが吐き出した欲が混じらないのは、アルギュロスが手のひらで受け止め続けている為。

熱が中のイイところを突く度に押しやられた性欲が吹き出す。

ある程度溜まればアルギュロスはそれを嬉々として飲み込み、より一層アスベルの中を抉った。


「うああっあああっ」


精を放てば治まる筈の性欲が、アルギュロスの腰使いによってすぐに無理矢理高められる。

そうして吐き出しすぎて薄まった欲をまたアルギュロスが舐めて、性交はより深く淫らになっていく。

アルギュロスが中を白濁で満たす度に、耐え難い電流が下半身に渦巻いていた。

中を擦られれば弾けて鋭い快楽となり、アスベルの身体を苛む。

それから逃れたくて、だがもっと味わいたくてアルギュロスを締め付ければさらに体液を放たれるという悪循環。

何十回、もしくは何百回と打ち続けられる性交に、いつしかアスベルの思考は溶けてしまっていた。

わかるのはアルギュロスの熱さと、容量を超えた快楽のみ。

アルギュロスをより深く受け入れる為に脚は大きく開く。

がつがつとぶつけられる動きに合わせて腰を振り、快楽をより強い快楽に。

完全に身を委ねているアスベルの様子にアルギュロスが嗤う。


「そう、その調子。もっと奥に僕を受け入れて、気持ち良くなって、もっともっと精をちょうだい」

「・・・・・・」


意識が朦朧とする。

喘ぎ声ももう声にはならない。

自身は壊れた噴水のように、射精を止めない。

十二分に動いている筈のアルギュロスは、衰える事もアスベルを突く行為もやめない。

アスベルが欲を吐き出す度に嬉しそうに浮かべる表情が、まるで人を淫欲に引きずり込むという淫魔のよう。

そう思えたのは、アルギュロスの所業がアスベルの蕩けた目にそう映ったからだった。





もう何時間交わったのか、受け入れ続けさせられたアスベルの身体が限界に近づきつつあった頃。

ふいにピタリとアルギュロスが動きを止めた。

と同時に舌打ち。


「もう時間か・・・」


交わってからずっと埋められてアスベルを乱していた熱が初めて全部抜き取られた。

その感覚ですら今や快楽に過敏になっているアスベルには大きな刺激で、ぁ、と掠れた吐息をもらしながら僅かな欲を放つ。


「美味しかったよ、君の精と身体」


ちゅ、とアスベルのモノに口付けてアルギュロスは言う。


「ご馳走様」


最後に欲を啜ってから、アルギュロスの姿がかき消えた。

後に残されたのは、アルギュロスのモノがなくなった事でようやく熱が引き始めた身体を深くベッドに沈めたアスベルだけ。

だが、アルギュロスの形に広がった後孔から白濁を垂れ流したまま、とろとろと睡魔が差す意識は突然相手が姿を消すという事態を疑問に思う事もなく。





勢いよく目を見開くと、白い天井が見えた。

そろりと時計を見やると、針は早朝を指している。

ゆっくりと身体を起こしながら、アスベルは息をついた。


「夢、か・・・」


酷く淫猥な内容だった。

今ならその卑猥さに、思い出しただけで顔が真っ赤になる。

ふと、夢は願望の表れという言葉が脳裏を過った。

まさか自分にはあんな淫らな願いがあったのかと、ぶるりと身を震わせる。


「・・・顔を、洗ってこよう・・・」


夢の残滓を振り払うように、ベッドから降りる。

ひんやりとした床を踏みながら、未だ下半身に燻っている淫らな火種と腰の重みには気づかないふりをした。





―――



絶倫=淫魔という連想からこんなお話にしてみました。

一応このアルギュロスは淫魔(夢魔)ですが、苦手でしたら夢オチと判断して頂けたらと思います。

それではリクエストありがとうございました!





あきゅろす。
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