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「でも何でオレ達なんだろ?」


*匿名様リク:「青春謳歌!」でDPtの3人をメインにした小説



呼び出されたコウキ、ジュン、ヒカリの前には、険しい表情をしたグリーンの姿があった。

三人の内、ちょうど中央にいたコウキに一枚の紙を手渡し、『ポケモンラ部』部長が口を開く。


「お前ら、これに心当たりがあるか?」


左右のジュン、ヒカリが紙を覗き込む。

写真らしき画像が数枚分。

その隣に記載された日付は、いずれも昨日の日にちが書かれている。

画像に写っていたのは『レントラー』、『フローゼル』、『ユキメノコ』の三人とその手持ちだ。

しかしどれも挑戦者に敗北している。

三人は同時に首を横に振った。


「ないよ〜」

「ないぜ」

「ありませんわ」

「…やっぱりそうか」


グリーンはため息をついた。


「彼らは一体誰ですの?」


尋ねたのはヒカリだった。


「一言で言うなら偽者、だな。新人が入ってきたばかりの頃に毎年出てくる」

「へぇ、偽者かぁ」


ジュンは画像の中の偽部員をしげしげと見つめた。

言われてみれば自分達が部活をしている時の姿とは少し違う。

まぁ本物たる三人ではないのは自分達自身がわかっている事なので、違和感を覚えるのは当たり前なのだが。


「でも先輩、そんな事をきく為だけにぼく達を呼んだんじゃないよねぇ?」


ああ、と間延びしたコウキの言葉にグリーンは頷く。


「部長命令だ。お前達だけで、早めに偽者を倒してこい」





「とは言われたものの…」


翌日。

昼休みが始まって間もなく、三人は廊下を歩いていた。

昼食を購入する為や他クラスの友人と食事を取りに移動する生徒や、教材を持って職員室へと向かう教師達で廊下は賑わっている。


「こう広いとさがしようがありませんわね」


画像の背景はグラウンドだったが、さすがに同じ場所でバトルをしている事はないだろう。

偽者といえど、予告も出さず気まぐれに出現するのは本物の部員と変わらない。


「でも何でオレ達なんだろ?」


ジュンはポツリと疑問を溢した。

毎年新人が入った頃に現れる、とグリーンは言っていたが、今年の新人は三人だけではない。

同じクラスの双子を思い浮かべたジュンの心を読み取ったかのように、おそらく、とヒカリ。


「キョウヘイはあの通り印象に残りやすい部員ですし、メイに至ってはまったく部活をしていないからではないですの?」

「あ〜、なるほど…」


言われてみれば納得。

確かにあの二人は理由は正反対であれど簡単に真似出来ない。

窓の外を眺めていたコウキがねぇ、とジュンの袖を引いた。


「偽者ってあれかなぁ?」

「いたのか!」


窓を覗けば中庭に、画像で見たままの格好の偽者が三人いた。

ご丁寧にそれぞれの前には三人が部活中に使う手持ちと同じポケモンがいて。


「よし!偽者倒しにいくぜ!」

「ええ。わたくし達は簡単に真似を出来る程甘くはない事、教えてあげましょう」

「あ、待ってよ、二人とも〜」





その日の放課後。

掲示板に貼られた新聞記事の見出しに書かれた、『今年も『ポケモンラ部』偽者現る』の文字。

その中央には本物の『レントラー』、『フローゼル』、『ユキメノコ』が偽者をあっけなく倒した写真が掲載されている。

中でも生徒達の目を惹いたのは、その下部に綴られた『先日のトリプルバトルは部員が偽者と判明した為、無効とみなす』の文脈で。

偽者だと気づかずに部員を倒したと思い、将来を約束されたとぬか喜びしていた生徒達が数名肩を落とした。





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