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GO! W


ようやく見えてきた迷宮の出口。

そこにもやはりというべきか、扉があって。


「・・・?開かないな」


押しても開かず、引いても開かない。

鍵穴らしきものも見当たらず、棺があった部屋のような鍵を開ける為のヒントもない。


「横じゃねぇの?」


ルークが言う。


「あ、本当だ」


シングが扉を横にスライドさせると、呆気なく開いた。

が、


「壁・・・?」


そこには煉瓦を積み上げた壁。

まさかの行き止まりか、誰もがそう思った瞬間、



ガコン



「っ!?」

「う、うわぁっ!」


突然地面が抜けた。

長方形型に空いた穴は、そこを足場にしていたユーリ達を一人残らず飲み込んでいく。


「くそっ、こんなのありか」


穴は深く、どんどん落ちていく嫌な浮遊感にユーリは眉根を寄せる。

穴の中は光が差していないので、どれだけの深さがあるのかわからない。


「っ!しまった!」


突然の突風を横から当てられ、嵐の中のようなその強さに背負っていたカイルの重さが剥がされる。

咄嗟に手を伸ばしてみるも、人肌や服にかする事はない。

と、急に足元が明かりに照らされた。

何やら煌めいている、と思う間もなく、



バシャンッ!

バシャンッ!



水中と思しき場所に着水した。


「げほっ、げほっ・・・」


あまり深くはないが、まさか水の中に放り込まれるとは思いもよらず、口の中に入った水を吐き出して咳き込む。


「げほっ・・・、ここ、は」


ようやく落ち着いた頃に周囲を見回せば、そこはユーリの腰辺りまで水が満ちた薄暗いドーム状の空間であるのが見えた。

三方には鉄格子が下され、残る一方が隣のドーム状の空間に通れるようになっている。

と、ユーリから少し離れた場所で、ザバッと誰かが顔を出した。


「げほっげほっ、うう、飲んだ・・・」

「・・・アスベル?」

「げほっ、ユーリ?」


ユーリと同じように咳き込んだのはアスベルだった。


「あれ、ロイド達が・・・」

「おまえ、ロイドと一緒だったのか」


同じ参加者の内、ユーリがここに来てまだ会っていないのは、ロイド、セネル、ルカの三人だ。


「ああ。セネルとルカとも一緒だったんだけど・・・」

「・・・オレも同じだな。一緒にいた奴ら全員とはぐれちまったみたいだ」

「皆もこの中のどこかに・・・?」


アスベルが周囲を見回す。

やはり目測だけでもかなり広い判断したのだろう。


「とにかく進むしかねぇな。同じ空間にいるなら、嫌でも出会えるだろ」





鉄格子のない方向を選び、アスベルと二人、水の中を進む。

響くのはじゃぶじゃぶという水を掻き分ける音。


「・・・寒いか?」

「ずっと濡れてるから・・・」


アスベルがぶるりと身を震わせたのを見てユーリは仲間を探すのと同時に出口も早く見つけておかないとな、と思う。

水はそう冷たいわけではないが、ずっといる事でじわじわと体温を奪われているのだ。

これで風邪でも引いたら洒落にならない。


「ユーリ、あれ・・・もしかして」


ふとアスベルが鉄格子に遮られた向こう側を指差す。

指先の方向を見たユーリは顔を引きつらせた。


「おい、まだ寝てるのかスタンの奴」


ぷかり、と仰向けに浮かんでいたのはスタンだった。

水の中に落ちたというのにそれでも眠り続ける根気はいっそ見事である。

と、急にスタンの姿が水に沈んだ。


「!?あいつ、溺れたのか!?」

「まずい、助けないと!」


アスベルと揃って近付くが、鉄格子が二人の行く手を阻む。

向こう側に行く為には遠回りをしなければならない事に焦る二人をよそに、沈んだばかりのスタンが水中から姿を見せた。


「ふぁ・・・ん〜、良く寝た!・・・ってどこだ、ここ?」

「・・・・・・おはようさん」

「スタン、大丈夫か?」

「ん?大丈夫だけど・・・何で二人共、ずぶ濡れなんだ?」

「いや、スタンもずぶ濡れだぞ」


どうやら先程水の中に沈んだのは、目が覚めて体制を整える際の一環だったらしい。

紛らわしい、とユーリはため息を吐いた。





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