短編
2
「嗚呼、そんなに怯えて可哀想に。ほら、落ち着いて茶でもお飲みになって下さい」
「……いりません」
机の上の茶を差し出されたが、とても飲む気にはなれなかった。
そこへ光秀はお茶を一口飲んで見せる。
「ほら、毒なんて入ってませんよ。お飲みなさい」
「……」
無言で湯呑みを受け取ると、勢い良くそれを飲み干す。
喉が引っ付くくらい渇ききっていたのだ。
……なんだか、甘い。
不審に思ったが既にその妙な茶は飲み干してしまった。
途端に喉の奥が熱くなる。
「っ!!何…これ」
喉の熱は胸へと通過し、下腹部へと移る。
ピクッと下腹部が脈打つ感覚を覚えた。
「大丈夫です、毒ではありませんよ。毒では、ね」
「な、何を!」
「大したものではありません、ちょっとした催淫剤ですよ。クク…私も少し飲んでしまいましたねぇ」
「嫌…近寄らないで!」
手を前に翳し拒否をするも、光秀は素早く名無の腰紐を解き、それで彼女の両腕を背の後ろで縛る。
「嫌…っ」
「それで拒絶しているおつもりですか?」
顎先を手に捉えると、光秀は彼女の唇を自身の長い舌でなぞった。
ビクリと彼女の身体が震える。
「名無、いい子ですからお口を開けなさい…」
名無の目も口も固く閉ざされている、精一杯の拒否のつもりなのだろうが光秀は大した問題にはしていなかった。
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