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短編
3

金平糖が欲しい…けど流石に恥ずかしい。
そう言いたげな名無は真っ赤な顔を振りながらソワソワしている。

駄目押しにと顎を掴み上を向かせ、今度は口の中目がけて数枚の檸檬をしぼり、直に果汁を味わわせる。


流石にこれは効いたみたいで、名無は僕の口目がけて顔を寄せた。

でも僕は少し顔を後ろに下げ、触れるか触れないかの距離を保った。


「おねだりは?ちゃんと口付けさせて下さいって言わないと。勿論目を見て話すんだよ?」

「――――っ!は、半兵衛様に口…付け、させてくださ…い」



遠慮がちに途切れ途切れになりながら、彼女は必死におねだりした。

「…いい子だね」


僕は急く彼女を焦らす様に、ゆっくりとした動きで彼女の唇を奪った。

名無の酸味に覆われた温かい舌が、甘味を求める様に僕の口腔内を探る。
普段名無と口付けする時は、僕の方が彼女の口腔内で舌を絡ませるので、こんな風に攻められるのは初めてだった。(ただ必死なんだろうけども)

今まで感じた事の無い刺激が僕の身体に熱を持たせる。

名無の舌が僕の唇に、舌に、歯に当たる度に心の臓が痛い位高鳴る。

このまま長くしていたくて口の中で金平糖を転がしていたが、やがて名無の舌に掠め取られてしまった。

つ…、とお互いの口から銀の糸が垂れて、それを見た名無がまた顔を真っ赤にする。


愛しい人の新しい姿を見られて満足した僕は、彼女の悪戯もたまには良いものだ、と思った。






そしてもう1度、金平糖を頬張る。

「足りないだろ?おかわりのおねだりは?」






ー了ー

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あきゅろす。
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