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短編
2

そして、今日そのお仕置きを決行しようと思う。

けど秀吉の時と同じではつまらない。


ので、少々趣向を凝らしてみた。




「あの、半兵衛様。何で私は縛られているのでしょうか」

「自分の胸に聞いてみるといい、名無。
お仕置きの時間だよ」


名無は僕が取り出した器に目を移すと、さっと顔色を変えた。


「あの、半兵衛様。冗談ですよね?それ、まさかレモンじゃないですよね?」

「君にはこの鮮やかな黄色が目に入らないかい?それとも蜜柑か何かに見えるのかな?」



名無が驚くのも無理は無い。
器には輪切りにされた大量の檸檬があるのだ。

秀吉の口の中には半分に切った檸檬の果汁を絞り込んだみたいだけども、名無に与える檸檬はその何倍もの量だ。


彼女の前に跪いて床に器を置き、その上から瑞々しい果実の一切れを摘む。


名無は嫌々と口を結んで顔を俯かせるが、僕は空いてる右手で彼女の脇腹を擽った。


「……っ!!うひゃひゃっ!!?ムヴゥーー!!!」

名無が笑い声を上げ口を開いた瞬間を狙い、果実を捩じ込む。

吐き出さないように彼女の口をしっかりと塞ぐ。



「どうだい?君のお気に入りの味は。まだまだたくさんあるからね」


悶絶する彼女の口に同じ様に一切れ、もう一切れと投げ込んでいく。

涙目で暴れる彼女を押さえつけ僕は耳元で囁く。



「可哀想な名無。そんなにそれは酸っぱいのかい?じゃあ甘い物でも上げようか?」

「ーーーーー!!」


声にならないのか名無は唸りながらコクコクと頷く。

仕方ないね……と僕は懐から小袋を取り出した。
中には甘い金平糖が入っている。

いくつか掌に取り出して見せるとパァっと嬉しそうな顔をした。

……その顔は狡いよ。



油断した所にもう1度檸檬を口に放る。

「はんべ―――むゎ!?」

再び涙目になる彼女の目の前で金平糖を6粒程、僕自身の口の中に放り込んだ。


「ほら、上手におねだりしてごらん」

「は、はい!?」


別の意味で顔を真っ赤にする名無。

その顔が可愛くて仕方なくなり、つい意地悪をしてしまう。



「ほら、早くしないと溶けてしまうよ?」

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あきゅろす。
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