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短編
5

―――昼過ぎ


某安くて質のいい服屋で男物の衣類を一揃い買い、帰路へつく。


「うう…初めて男物のパンツ買った…」


先程の店ではつい赤面し、パニックになり全てプレゼント用に包んで貰った。

服にズボンにパンツまで一揃でプレゼントする人間なんているんだろうか?
絶対変だと思われた。


「ただいまー」


溜め息混じりで玄関を開けると頼もし過ぎる自宅警備員が飛び込んできた。


「俺を待たせるとはいい度胸してるな!」


玄関先で突然抱きつかれて、冷静になりつつあった脳内はまたパニックになった。
政宗の頭をビシバシと叩き、やっと離される。


「私、本当にやっていけるかな…」


心の声は今日何度目か分からない溜め息と共に吐き出された。


……ピンクのネグリジェ侍から現代の若者へ。
カジュアルな服装に包まれた政宗は、現代の何処にいてもおかしくない姿になった。

着るものでこうも変わるものか、と名無は思ったが、今まで着ていたものが奇抜すぎて脳が麻痺しているようだ。



「Thank you、なかなかいいじゃねえか。
少なくともその桃色の服よりはな!
大体お前が渡した雑誌にこれと同じ物を着た女の絵があったぞ!」

「まぁまぁ、気の所為だって」


言葉を交わしながら部屋の中を見回すが、特に荒らされた感じは見当たらない。

良かった、と初めにあった警戒心は徐々に解けていった。
政宗も突然来てしまった現代に戸惑っていたが、名無の所で良かった、と思い始めていた。



こうして数日間、奇妙な共同生活は何事も無く続いていった。

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