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ガヤガヤと賑わう様子を見ては眉間に皺が寄っていく。いつもは気にもしないことで今は苛ついた。うるさいんだよ、黙れよ。まるで水を飲むように酒を煽っても苛々は募っていくばかり。なんで幹部でもないお前が名前を呼ばれ笑みを向けられる?


「おかわり」
「飲み過ぎですよ?」


苛つきをぶつけるように睨めば苦笑いを浮かべ酒を置かれた。それを一気に煽りグラスを渡すとやれやれとため息をつき新しいものが置かれる。アルコールばかりでは体に悪いのでお腹になにか入れてください。と酒と共に置かれたつまみに手を伸ばす


「マースター」


さっきより近くで聞こえた声にどきりとする


「鍵変えてくれてありがとう」
「どう致しまして。どうしました?」
「へ?」
「鍵は口実でしょう?」
「やだなあバレた?でもお礼言いにきたのはほんとだよ?」
「わかってますよ。キキは礼儀正しいいい子ですからね」


ほんとマスターには適わないなあと照れ笑いする葵喬の頭をいつも以上に穏和な顔で撫でる


「今日泊まり行っても良い?」
「またですか?もちろん構いませんよ」
「わーい。じゃあ久しぶりに俺がご飯作るよ」
「嬉しいですね。キキのご飯はとても美味しいですから」
「はは、マスターには適わないよ」


それじゃあ、一緒に買い物して帰りましょうか。と微笑むマスターの顔に我慢できなくなり壁を殴りつけた。そのまま扉に向かう。これ以上ここには居たくなかった


「メイ。何に苛ついてるか知らないけど物に当たりたいなら他へ行け。マスターに迷惑だ」


思い切り扉を閉めた。そのままずるずると座り込む。メイ。呼ばれなくなって初めてその重さに気づいた。アキラと呼ぶ葵喬の声が、どれだけ優しく響いていたか。今はもうメイと冷たい声にしか呼ばれない。まるで俺とは違う別人が呼ばれてるんじゃないかと錯覚しそうになるよ


From 明

‥‥‥
俺の名前は、『それ』じゃない

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あきゅろす。
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