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狂鳴
プロローグ #01
 賑やかな街の裏、ひっそりとした路地裏で、ある男が静かに生命の最期を迎えようとしている。学生服を着ているという事は高校生くらいだろうか?やつれた顔、痩せ細った身体、窪んで落ち込んだ虚ろな目、酷いクマ、青い唇からは年齢が計り知れない。男は目を開いてはいるものの何も見ず、唯唯カタカタと震えている。昨日から降り続いている雪で男の上には雪が積もっている。しかし、男にそれを払い除ける気力は、もう残っていない。息を引き取る間際、男の眼には少しだけ生気が宿り、男の思考は少しだけ正常に働いた。
 俺は一体こんな処で何をしているんだろう。こんなに痩せ衰えて、こんなにボロボロになって、こんなに雪に埋もれて、こんな処にたった独りで…。
 急に可笑しくなって、男はクスクスと笑った。が、暫くして笑いはピタリと止んだ。
 ホントに、ホントに、俺は一体こんな処で何をしているんだろう。元は普通の学生で、普通に平凡で幸せな生活を送っていたはずなのに、いつから、こんな、こんな―――――。
 一雫の泪が零れ落ちる。




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あきゅろす。
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