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1 #03
 「お兄ちゃんのお名前は?」
 ─────ッ!やっぱり聞こえる。透き通る様な姿に似合った透き通る様な声。聞いた事はないけど、楽器が奏でる音をイメージさせる様な綺麗な声。でも僕は何も答えない。いや、正確には答えられない。生まれつき耳が聞こえない僕は、うまく発音する事ができない。声を出す事はできても、話す事ができない。だから……………ん?そもそも何故僕は少女の言葉の意味を理解できたのだろう。
─────オニイチャンノオナマエハ────
本来音、ましてや声を聞いた事がない僕にはこのコトバのイミは解らない筈。なのに何故。まるで直接心に語りかけ…………ているのか?
 「そうだよ。」
 僕は思わず考え込んでいた頭をあげた。少女は無邪気な笑みを浮かべている。
「初めまして。私の名前はカノン。お兄ちゃんのお名前は?」
 ……彼奴と同じ名前だ。まぁ偶然だろうが…。
「…初めましてカノン。僕の名前は信志」
 彼は身を屈めて少女の頭を撫で、三週間ぶりに微笑んだ、様に見えた。


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あきゅろす。
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