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3 #01
 夜中、0時過ぎ。僕はいつもの様に夜の町を彷徨い歩く。何を求め、何処向かうのか?愚問だ。僕は何も求めず、何処へも向かわない。唯唯彷徨い歩き続けるだけ…
 信志はフラフラと目的もなく彷徨い続ける。その姿は魂を失くした人形の様。その姿はこの闇という静寂の使者の様。いや、むしろそうなのかもしれない。彼自身、静寂という闇の住人なのだから。
 僕は昼間が嫌いだ。昼間、外には人が溢れている。そしてそこには音の気配が溢れている。音は聞こえないがそこに音があるっていう事は分かる。聞こえなくても、痛い程に。何かを楽しそうに話しながら歩いて行く人々、吠える犬、鳴く鳥、無邪気に遊ぶ子供、泣く子供…確かにそこには音がある。しかし、僕には聞こえない。音のある世界に立っている音のない世界の自分。自分だけがそこに居てはならない様な錯覚。何気ない周りの視線が全て自分を非難している様な錯覚。違うと分かっていても、そう、思ってしまう。そこから逃げ出したくなる。…そんな僕を連れ出してくれた奏音は、もう、居ない。やはり、昨夜の出来事は夢だったんだろう。まだ明るい世界に戻れると願う、僕の中の僕じゃない僕のユメ──────あ、れ…?


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あきゅろす。
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