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仁王→柳生
生ぬるいです色々と。仁王→→←柳生な小説
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今日は晴天、雲一つ無く穏やかに過ごせるでしょう。
っと言っていたはずだ天気予報は

「…どこが晴天じゃ。どこが」

机に頬杖をつきながら窓を見て小さく呟く。小さく呟いたのは今はまだ授業中だからだ。
午後の授業は怠くてやる気が起きない。寝ようかとも思ったがそんな気分じゃなくやめた。
かと言って授業を聞く気にもなれなかったのでふと、窓の外を見ることにした。

「(あー…雨降りそうじゃのう…)」

天気予報の罠に嵌って傘なんて持ってきていない。

「(帰る前に雨が降らなければいいんじゃけど…)」

そんな事を思いながら大して聞いていない授業に耳を傾けた。
***


「おー…降っちょる降っちょる」

授業が終わり、珍しく部活もなく、さて帰るかと思い昇降口まで行って溜め息をつきたくなった。
ポツポツポツ ならまだ可愛い気があったものを、ザーザーとバケツをひっくり返したように雨が降ってきたもんだからたまったもんじゃない。

「珍しく今日は部活がなかったのにのぅ…」

チッ、と隠すこともせず舌打ちをした。流石にこの雨の中帰っていくのは気が引けるのでもう少し雨が弱まるまで待つとしよう。そう結論づけて教室へと戻ろうと「おや、仁王君じゃないですか」して柳生に声を掛けられた。

「おー…やーぎゅ」

「…?どうしました仁王君?何だか元気がないように見えますが」

首をコテンと傾け心配そうに言う柳生。思わずキュンとしたのは秘密。可愛いなんて思っとらん

「…傘忘れたナリ」

「そうなんですか…では、」


私の傘の中に入りますか?


「…………………は?」

一瞬、柳生に何を言われたのか理解が出来なかった。

「あ、いえ。何でもありません」

焦りやら恥ずかしさを含んだ声色でそう言って傘を広げる柳生。…恥ずかしさは俺の希望だったりする。ありえんじゃろうが。

「やはり男同士だと抵抗がありますよ「今から職員室行って借りてくるんも面倒くさいナリ」…ね」

柳生の台詞を遮って言う。チャンスは逃がさないぜよ。柳生と相合い傘!

「かと言って誰かの傘盗るんも駄目じゃろ?」

「駄目に決まっているでしょう」

「暫く雨は止みそうにないしのぅ…。ちゅーことで、柳生のお言葉に甘えるぜよ」

ニッコリと、綺麗に笑って見せる。見る人が見れば黒い笑顔にも見えるだろうが、大半の人…主に女子が見れば卒倒するような笑顔だろう。
だがしかし柳生は男で俺のダブルスのパートナー。そんな綺麗な笑顔も全く気にしない。
それはそれで悲しいが…。

「折り畳みなので狭いですけどどうぞ」

「ん、ありがとさん」

俺が傘に入ったのを確認すると柳生はゆっくりと歩き出す。折り畳み傘に男二人は流石にキツい。

「やはりキツいですね。仁王君大丈夫ですか、濡れていませんか?」

「ん、平気じゃ」

柳生は紳士と言うだけあって、俺が濡れないよう考慮して傘を持っている。

「……」

そんな柳生にピッタリくっ付く。柳生も濡れないようにするため俺なりに考えた考慮だ。決して、柳生にくっつきたい、あわよくば手を繋ぎたいなどという煩悩はない。

「(ぼ…煩悩砕く百八の波動…!)」

……

「(お…落ち着くんじゃ俺…。そんな事したら柳生に嫌われるナリ!)」

あくまでもポーカフェイスでいる。心の中では煩悩との戦い。

「やぎゅー」

「はい、何でしょう」

前を向いていた柳生が俺の方へ顔を向ける。その距離が大分近くて俺の心の中の煩悩との戦いがさらに大きくなったことは容易く想像できるだろう。そんな事はもちろん微塵にも出さずにいつも通りの態度で答えた。

「買いたいもんあるから100均寄ってえぇ?」

「えぇ構いませんよ。何を買うんですか?」

「秘密ナリ」

「…何だか怪しいですね…。あ、では近くの本屋へ寄っても構いませんか?」

「別に構わんぜよ」

「ありがとうございます」

そうしたらお前さんと長く一緒に居られるからのぅ。

小さく小さく呟いた


◇もう少し、あと少しだけ
(お前さんと一緒に居たい)




オマケ

「そーいやぁ何で柳生は傘持っちょったん?」
「折り畳み傘はいつも鞄の中に入れているんですよ。」
「ほー」
「それはそうと仁王君、何買ったんですか?」
「菓子」
「珍しいですね」
「柳生ん家行くからの。菓子ぐらいは持っていかんと」
「え?」
「…ダメ?」
「いえ、別に平気ですけど…」

「っし、じゃあサッサと行くぜよ」

「え?え?」


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後書き的何か
どさくさに紛れて(紛れてもいないが)柳生のお宅へちゃっかり行っちゃう仁王君。彼はなかなかに強引だと思います。
何とも生温い小説になってしまった…オチなんてものはなi

お題先
ひよこ屋(c)



あきゅろす。
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