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Reborn★Long
マフィアらしさ
>>ディノ+リボ。ディノを揺るがせるリボ。




ツナに色々と突っ込まれて、動揺している俺がいる。
恭弥にいきなり予想外のことを言われて、冷静になれない俺がいる。


車を滞在するホテルの駐車場に止めて乱暴にハンドルを叩いた。妙に苛立っている俺。仕事が残ってるなんて嘘だ。あのままツナと一緒にいるのがただしんどくて逃げ出しただけ。



“もう、来なくていいよ。”

恭弥の言葉が頭の中をこだまする。俺が恭弥を突き放したのに、恭弥に突きつけられた言葉に動揺するだなんて矛盾もいいところだ。それに…俺が部屋を出た後に泣いていた恭弥もまた矛盾している。お前が言い出したんだろう?

矛盾だらけで、訳がわからない。(別にわからなくてもいいことなのに…わかろうとする俺がいることすらが、矛盾している。)


考え込んでも解決できない(理解もできないだろう)答に嫌気をさして、俺はホテルの部屋に向かうために車のドアを開ける。車を降りてパッと視線を戻すと…これまでにない程に驚く出来事が起こった。



「――――リ、リボーンッ!!!?」

赤い車の屋根にチョコンと座っていたリボーン。家に帰ったんじゃなかったのか…。チャオっす!と可愛らしい挨拶をするリボーン。(ただし中身は外見と大きく違い全くがつく程に可愛くない。)

「今日はお前んとこに泊まろうと思ってな。」

どうせ暇なんだろう?なんてわかってて言っているのか、皮肉って言っているのか…。何にせよ、この赤ん坊だけは油断してはならねぇことは確かだ。知ってか知らずかのリボーンの不適に笑う笑顔が、俺に嫌な予感を予期させる。


「ツナの家庭教師が、そんなんでいいのかよ。」

苦笑いを浮かべると今日は休業日だぞ、なんて最もらしい(…こじつけ臭い)理由をつけてくる。リボーンは車体の屋根から華麗に飛んで綺麗に着地した。




****



「ツナって印象変わったよなぁ…。」

ホテルの一室。殆ど独り言に近いような台詞を空中に吐き捨てる。リボーンは彼には大き過ぎる一人用の革張りのソファーに座りお気に入りのエスプレッソを飲んでいる。吐き出した台詞はリボーンにまで届いたみたいで、空中を漂いっていた視線もリボーンへと向ける。

「そうか?あいつは前からあのまんまだぞ。」
「…しっかりしてきた、って言うか、何て言うか…」

適切な言葉が見つからなかった。うーん、とうなだれるようにベッドに寝転がる。暫くモヤモヤした気持ちを抱えながらも、はっと思いついたあれだ!という言葉と共に俺は再び起き上がった。


「マフィアっぽくなってきた!」

ツナにしてみれば嬉しくもない変化だろうが、この言葉が一番ツナの成長にしっくりとくる。リボーンは口の端をにっと上げて微妙な微笑みを見せた。(リボーンの表情は読み取りにくいが、この笑い方は大抵人を馬鹿にしているときのものだ。)


「あいつは何にも変わってねぇぞ。」
「むっ、まだ言うか…」
「変わったんじゃなくて本性が現れてきたんだ。」

俺のお陰でな、と必ず自分を誇るらへんリボーンらしい言葉。…本性ねぇ。つまりツナはマフィア体質ってこと。酷いほめ言葉もあったもんだな、と小さく苦笑いする。



「まぁ少なくとも、今のお前よりはマフィアらしいな。」

ちょっとばかし納得のいかねぇリボーンの言葉。マフィアらしいって言われて嬉しい訳ではないけれど、これでも立派にマフィアのボスを勤めている立場だ。中学生のツナより劣っているだなんて部下達にも申し訳が立たない。

「何だよ、それ。」

苦笑いを浮かべる。正直上手くは笑えなかった。リボーンはいつの間にやら淹れたおかわりのエスプレッソを飲みながら何だか嬉しそうに話始めた。

「そのまんまだぞ。まぁ、ツナがマフィアらしくなったって言うよりお前がらしくなくなったって言う方がしっくりくるけどな。」

俺は余計しっくりこねぇよ、と苛々する気持ちを抑え込む。これ以上話しても埒があかねぇと俺はふてくされるように寝転がる。もう寝てしまおうと瞼をゆっくりと閉じる。

だがそれもリボーンの言葉によって遮られてしまった。




「マフィアは女を大切にするもんだぞ。」

一瞬、時が止まったかのように俺の思考も停止した。それは…どういう意味だ?リボーンは一体俺の何を知っている?別に何かを隠している訳でもないから、知られてまずいこともない。でも知り尽くされていると何だか気味が悪い。

「…何が言いたい?」

再び起き上がることはしなかった。和やかだった雰囲気が一気に険悪なものへと変わる。リボーンはそんなことを気にしていないのか気づいていないのか(きっと前者だ。)口調も声色も変わりはしなかった。

「お前最近女を大切にしてねぇだろ。」
「…最近も何も、別に何にも変わってねぇよ。」

何らかの核心を持ったリボーンの言葉。リボーンに全てを見抜かれたような俺の心にゆとりは既に微塵もなかった。

だが俺の言葉にも嘘は何一つない。最近になって女を泣かし始めた訳でもないし、かと言って今までも大切にしてきた訳でもない。俺は以前からそういう奴だし、これからだってきっとこのままだと思う。


「そうか?まぁ何にせよツナの方が女を大切にしてるってことだ。」

あいつの場合は誰にでも甘っちょろいがな、と笑うリボーンに俺はあまり共感できなかった。女を大切にすることがそんなに大事だとは思えなかったから。


それとも…、







「…恭弥のことを、言ってんのか?」


俺の質問に返ってきたのはスピーという寝息だけ。俺の問い掛けはリボーンに届くことなく散っていった。

何故か酷く責め立てられている気がして気持ちが晴れないまま、俺も眠りに就いた。





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あきゅろす。
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