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Reborn★Long
雲隠れする心
>>ディ←ヒバ?決意を決めた恭弥と動揺するディノ。




恭弥に浮気がバレてもう1ヶ月ぐらいが経った。浮気って言ってもどれが浮気でどれが本気なのかもわかんねぇぐらいに俺はフラフラしていた訳で。今更浮気だ何だと言われても、どうしていいのかわからないのが正直な所だった。

女が五月蝿く言ってきたならば直ぐにでも関係を切っていた。(だって面倒くせぇし…)



でも恭弥は違ってた。


恭弥とは今でも関係を持ってる。(甘い関係ではなくなったけど…)

その理由は俺にもわからない。

女みたく面倒くさくないから?五月蝿く言ってこないから?恭弥がそれでも尚、俺を求めてくるから?俺が恭弥を手放したくないのか?



まあ、何にせよ…そんなことは気にも止めなかった。俺にとってはそんなに大事なことでもなかった。





****



今日は雨が降っていた。傘をさしていても上着だとかジーンズの裾だとかがびしょ濡れだった。しつこい冷たさと気持ち悪さが俺を苛々させる。

苛々したままに向かうのは並盛中学。昨日日本にやってきた所だった。以前は日本に着いて直ぐにでも恭弥に会いに行っていたなぁ、なんて思いながら車を運転する。


甘い甘い俺と恭弥の偽物の愛が何だか少し懐かしい。別に恭弥を騙していた訳じゃない。こそこそと女達と密会をしていた訳でも、恭弥だけだと愛を囁いた覚えもねぇ。

…俺みたいな奴を女の敵って言うんだろうな。(恭弥は女じゃねぇけど…)


それに、今日も特に恭弥に会うつもりもなかった。今日はリボーンやツナ達に会いに並中へ向かっていた。特に何か用があるって訳でもないけど。ロマーリオ達はホテルで休ませて俺一人、日本ではまだ目立つ赤のフェラーリをとばした。







「よっ!リボーン!」

並中の廊下で出会した俺の恩師。ちゃおっす!とリボーンは俺の肩に乗っかった。


「今日は何しに来たんだ?」
「恩師と可愛い弟分達に会いに来たんだろ!」


「雲雀はどうした?」


いつも真っ先に会いに行ってただろう?とリボーン。リボーンでも知らねぇことがあるんだ、と思うと少し笑える。恭弥は俺が非情な奴だとか、弄ばれてるとか、誰にもまだ言ってないらしい。(まぁ恭弥らしいけど。)


「うん、何か恭弥忙しいみたいだから。」


なんて…嘘。

自分を庇ってる訳でもないけれど、別に敢えてリボーン達に言う必要もないと思った。それに恭弥だって隠してる訳だから…下手に俺が言いふらすのもおかしいし。

「でもツナは雲雀んとこだぞ。」

…分かってて聞いたのか、ただの偶然か。どの道俺はリボーン達の前で恭弥に会うことになるらしい。そっか!と作り笑いを浮かべて俺は何の躊躇いもなく、目的地をツナ達の教室から応接室へと変更した。





コンコン――…

無機質なノック音を奏でて部屋に入る許可を得る。どうぞ、と恭弥の穏やかな声が聞こえてきた。聊かご機嫌な恭弥の声に違和感を抱きながらも俺達は応接室のドアを開けた。



「よっ!」
「ちゃおっす!」

左手を上げて、挨拶。応接室にはいつもの席に座った恭弥とソファーに腰掛けたツナ。恭弥は俺の登場に酷く動揺している。(なんてわかりやすい奴…。)


「今日は、ディーノさん。帰って来られたんですね。」

何処か残念そうなツナの表情が少し引っ掛かったが敢えて気付かないふりをしておいた。そんなことよりも気になることがあったから。


恭弥だ。


あからさまに俺から目を反らす恭弥が面白くなかった。(子どもみたいな感情に振り回される俺は、らしくない。)





「ツナ、悪ぃ。席外してくれるか?」

意地悪な俺。恭弥の体が強張った。貼り付けた笑顔の下の俺は相当酷い顔をしている。ツナはわかりました、とこちらも薄っぺらい笑顔を貼り付けてソファーから腰を上げた。

そんなツナに助けを求めるような恭弥の表情が一瞬だけ浮かんだ。知ってか知らずかツナはまた連絡します、と恭弥に告げてリボーンを抱えて応接室を後にした。




ガチャンと扉の閉まる音が、更に恭弥の緊張を高めていた。

「ツナと連絡取り合う程仲良かったんだ?」

皮肉るように笑うと恭弥は少し顔をしかめた。恭弥が俺の一言一言や俺の行動の一つ一つに敏感に反応するのを見るのが好きだった。俺の存在の大きさを知れるだなんて、とてつもない優越感だ。


「あなたよりも、付き合いが長いからね。」

何て、面白くない返答。俺に突っかかる恭弥は好きじゃない。恭弥の全てが俺であって欲しいから。(…何だ?このモヤモヤした感じ…)



「…もう、来なくていいよ。」


…今、何て?

恭弥の言ってる意味がわからなかった。恭弥は決して俺の方を見ようとはしない。ただ恭弥が震えてるのはわかったし、恭弥の目が潤んでいるのもわかった。


「…は、お前、何言ってんの?」

明らかに動揺してしまっている俺。…らしく、ない。恭弥も俺の言葉に眉間に皺を寄せていた。お前が、言いだしたんだろ?読めない恭弥の心が俺を惑わす。


「…僕の好きな、ディーノはもういない。」
「……ッ、」
「丁度よかったじゃない。君も僕を必要としていない。」

五月蝿いお荷物が消えてよかったじゃないか、と自虐的に笑う恭弥は震えていた。恭弥が言い出したくせに、一番恭弥が泣きそうじゃねぇか。

言いたいことがある気がしたけど、思いつかないからその気持ちごと飲み込んだ。


「…じゃぁ、さよならだな。て言っても俺達には元々関係なんてのはなかったけどな。」



恭弥を突き放すように暴言を吐く。胸が苦しかった気もしたけど、こんな感情は知らないから気づかないふりをする。泣きそうな恭弥を無視するように、俺は一方的に酷いことを言って(恭弥を傷つけているという自覚は一応あるみたいだ…)俺は応接室を乱暴に出た。





静かな廊下に、一人佇む。

応接室のドアに背中を預けると…



中から聞こえてくる、聞いたことのない恭弥の激しい泣き声。





お前が言い出して…何でお前が泣くんだよ?



暫く恭弥の泣き声に心を捕らわれた。





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あきゅろす。
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