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Reborn★Long
名前から始まる特別
>>ツナヒバ→ディノ。微裏。




「ぁ…ンんゥ――ゃあァ!」


あれから体の関係を結ぶようになった僕と沢田。その間も尚、僕とディーノの関係が終わった訳ではないけれど…。

あれ以来ディーノは優しく僕を愛してくれなくなった。ただ乱暴に僕を抱きにくるだけだった。


ねぇ、ディーノ?

あなたは僕が傷つかないとでも思っているの?



それでも僕がディーノを拒めないのは、僕がディーノを愛しているから。嘘かも知れないディーノの“愛してるよ”が嬉しかったから。(自分がこんなにも馬鹿だったなんて知らなかったよ。)




そんな僕を救ってくれるのが…沢田だった。




沢田は僕がディーノに酷く抱かれた後、いつも優しく抱いてくれた。優しく僕を愛してくれた。僕は沢田を利用してるだけなのに、沢田は何も言わずに僕を満たしてくれたんだ。(君も馬鹿な奴だね。)


「ぁ…あァああン――んンァ、はッ、ァあ…」

何度目かわからない絶頂。沢田も僕の中で絶頂を迎えた。息を整える二人の荒い呼吸だけが部屋を支配する。沢田は僕の中から自身を抜いて、僕をギュッと抱き締めてくれた。ベッドに身を預けたまま彼の手の中に収まる。体の小さな彼の腕に僕がすっぽりと収まることはないけれど、彼の鼓動が僕を酷く落ち着かせた。





「ねぇ…?あの人とのこと、どうして聞かないの?」

思い切ってぶつけた疑問。彼の胸に耳を当てたまま問う僕の髪を沢田は撫でた。さらにギュッと抱き締めてくれた沢田は見当はずれな答えを返してきた。

「名前、もう呼ばないんですね。」

あの人に対して無意識にしていた抵抗だったのかも知れない。言われるまで気づきもしなかった。(というか気づくことさえ拒んでいたのかも知れない。)

答えになってないよ、と沢田の顔を見上げると沢田は笑って額にキスを降らせた。


「…俺の、名前呼んで下さい、恭弥。」
「………沢田。」
「茶化さないで下さいよ!」

「…綱吉。」


名前を、呼ぶとまた彼は笑って今度は唇にキスをしてくれた。名前を呼ぶのは何処か特別な気がしてドキドキする。(あの人のことを思い出す暇さえ与えない彼に、感謝の意さえ感じる。)


「恭弥が話してくれるなら聞くけど、無理矢理聞いたりはしません。」

気になるけどね、と苦笑いを浮かべる彼は優しかった。たくさんのキスをくれる彼に甘えてしまう僕は、狡いし…汚い。



「君は、どうして優しくするの?」

決して僕を手放して欲しくなんかないのに…僕は意地っ張りな質問をしてしまう。(どうか僕を見捨てないで…?)


「俺は優しくなんかないですよ。」
「…僕は汚い。優しい君を利用してる。」
「俺は弱ってる恭弥に付け入ってます。」

お互い様ですね、と笑う彼は眩しかった。わざと自分をヒールに仕立てる彼に僕は救われている。


「付け入ってる間に恭弥が俺のものになればいいのに…。」

笑う彼の願いが現実になればいいと、願ったのは彼だけではなく僕も然りだ。でも気持ちのコントロールはつかない。僕があの人を想う気持ちは、一向に収まる気配はない。複雑な想いを胸に、僕は再び彼に身を預けた。

我が儘な僕を受け止めてくれる彼の寛大な愛に、僕は甘えるしかできなかった。



一つだけいいですか、と彼は言った。沢山の不安が込み上げてきた。その不安を飲み下して何?と平然を装う。


「俺のこと、名前で呼んで?」

恭弥の特別になれたみたいで嬉しい、と笑う。幼くてドジばかり踏んでいる印象が一気に大人びたイメージへとすり替わる。彼は、僕よりも遥かに大人だ。


僕は…大人になれない子どもだった。






「……綱吉、綱吉、綱…吉?」
「うん、恭弥。愛してる。」


俺は恭弥の味方だよ。





優し過ぎる綱吉の言葉は不安定な僕を包み込む。ただ苦しくて、助けて欲しくて差し伸べた手を…綱吉が握ってくれた。苦しみから這い上がらせてくれた綱吉は僕には少し優し過ぎたけれど…それが僕を癒やしてくれた。





あの人を愛する前に…


君に出会えていたらどんなによかっただろう。




素直に君だけを見れたらどんなに幸せだっただろう。





こんなに汚い僕を、何も言わずに救ってくれた綱吉。



こんな安い言葉じゃ君に僕の思いの全ては伝えられないけれど…、



不器用な僕はこれしかいい言葉を知らない。




君にちゃんと届くかな?








「…ありがとう。」





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