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Reborn★Long
悪戯な現実
>>ディノ←ヒバ。シリアス,裏有り。ディノが酷いので注意!




僕のこの行き場を失してしまったあなたへの愛情を…




一体あなたはどうしろと言うの?




■One-Way Traffic Love■□■




好奇心はときに、自分の首を絞めることになる。


その日は雨が今にも降り出しそうで僕は足早に帰路に着いていた。薄暗い街を歩く僕は(早く家に帰りたかったのもあるが)少しの好奇心とかそういうものから、いつもとは違う細い道に入った。その道を暫く歩いて、少し広い道へと出るとそこには如何にも並盛の風紀を乱してしまいそうな派手な赤い外車が止まっていた。

その車から出て来たのは、見覚えのある眩しい金髪。日本に戻って来ていたのか、と僕の顔の筋肉が少しだけ綻んだのがわかった。




でも、そんな気持ちになれたのはほんの最初だけだった。






赤い外車からもう一人、姿を現した。車から出て来たのは、黒髪の彼の部下、ではなくて、黒髪の女。僕よりも遥かに長いその髪を靡かせて女は笑っていた。



そして…




ディーノも笑っていた。




あの眩しい笑顔を女に向けていただけで少し寂しくなった。嫉妬とか、そんな女々しい感情よりも深い切なさ。ディーノは誰にでも愛想がいいし、そんなことを一々気にしていたら何もできやしない。


ただ、久しぶりに日本に帰って来た最初の彼の笑顔を、あの女に取られたことが悔しかった。



そんな考えも、そんな思いも、全て次の瞬間吹っ飛んでしまった。







僕の目に飛び込んできたのは、深く唇を合わせる二人の姿。立ち尽くしていた僕の体は反応的に先来た道へと走って引き返していた。

僕は、現実から逃げ出したんだ。




****




懸命に走って、走って、走って…。何も考えないようにひたすら全力で走るけれど、やっぱり頭から離れることのない情景。悔しくて、仕方がなかった。

そんな僕の心情を表すかのように、しとしとと雨が降り出した。傘なんて持ってなかったけど、このまま雨に濡れていたいとさえ思った僕は急がしていた足を止めて、ゆっくりと歩いていく。


雨に打たれていると、モヤモヤした感情もどこかに消えてしまうかのようで、少し安堵感を得られる。引き返した道を無心で歩いていた僕はあっという間に学校へと戻っていた。ただ呆然と学校の校門前に佇んでいると、後ろからかけられた声、呼ばれた名前。



「――恭弥ッ!」

振り返りたくなかった、否、振り返れなかった。

怖かった。あの女に向けていた笑顔が、そこにありそうで…。あの、信じていた彼の笑顔が偽物だったんじゃないかと不安に思う。

ディーノとの輝かしかった思い出が霞んでいく。


「恭弥ッ!ってお前びしょ濡れじゃねぇか!」

傘忘れたのか?と彼の声が段々近くに聞こえてくる。彼が傘に入れてくれたのか、不意に雨が止む。傘の中で耳元に響く明るい彼の声。いつもはその声を聞くと安心するのに…今は、聞きたくなかった。振り向きも返事もしない僕を不審に思ったのか、恭弥?と肩に手を置き後ろから覗き込んで来た。

「――嫌ッ!」

僕は、気づけば彼の大きな手を払っていた。今日初めてディーノと目が合った。ディーノは酷く驚いている。気まずい雰囲気に耐えきれなくて、僕はまた、逃げるように応接室へ走った。ディーノが僕の名前を呼ぶ声が聞こえるけれど、僕は立ち止まることなく走った。










やっとの思いで辿り着いた応接室。息が詰まる。走ったからじゃない。胸の奥が…ただ苦しかった。

胸を押さえて息を整える。ドア付近に立つ僕に無惨にも降りかかる現実。ガチャと応接室のドアが開いた。そこには息を切らしたディーノ。傘を閉じて走ってきたのか、彼も濡れていた。


「何で逃げんの?」

ディーノの声が怖かった。近寄るディーノと後退る僕。壁際まで追い詰められて、僕は逃げ場を失った。ディーノの目は見れなかった。

「なぁ、恭弥?」

顎を掴まれて無理矢理合わせられる視線。目線だけ反らすと顎をグイッとディーノの方に向けられる。態度で示される命令。僕に拒否権はなかった。

「…あなたが、女と、キスしてるとこ…見た。」

丸で僕が悪いことをしているかのような複雑な心境だった。ディーノはキョトンとした顔をして、笑い出した。悲しかった気持ちが苛立ちへと変化する。

「何?妬いたのか。キスなんて挨拶だよ。」

可愛いな、なんて笑うディーノ。一言で言えばカルチャーショック。でもそんな単純な言葉じゃ収まりきらないこの気持ち。胸がきゅーっと締まる。…苦しい、苦しいよ。

「恭弥、ただいま。」

そう言って顔を近付けるディーノ。彼の唇が僕の唇に触れようとしたその瞬間、目に飛び込んで来た――それ。




彼の首筋についた、キスマーク。


勿論、僕の付けた印なんかじゃない。だって僕が彼に会ったのは一ヶ月ぶりだ。瞬時に理解した。あの女とディーノの印だ、と。



「――嫌ッ!触らないでッ!」

帰ってよ!と声を荒げ抵抗する僕。そんな僕の態度を見てディーノの態度が急変した。凍り付くような彼の目。



ディーノは冷たい目をして、僕の両手を壁に押さえつけ僕の股の間に彼の膝を割り込ませて来た。雄を膝で激しく刺激されて息を飲んだ僕の唇を塞いだ彼。僕は頑なに口を閉ざすが、呼吸が苦しくなって敢え無く彼の舌の挿入を許してしまう。

「――んッ…ふぅ…ゥ」

噛みつくような深く長いキスと漏れる甘い吐息。長いキスと共にゴリゴリと刺激される雄。ディーノに開発させられたこの体は嫌だと心が叫んでも快楽を受け入れてしまう。苦しくて…悔しくて…、ただ上がる喘ぎ声と零れ落ちる涎が虚しかった。

「…嫌なんじゃねぇの?しっかり感じちゃってんじゃん。」

やっと解放された唇。離れたばかりのディーノの唇からは冷たい言葉。間違いは、ない。彼の言う通りだ。だけど…心は決して悦んでなどいない。感じてなんかない。

こんなディーノ、知らない。


「…ッぁ――、ゃッ!」
「何が嫌?恭弥のここは悦んでんぜ?」


膝で刺激され続けるそこは次第に先走りを漏らし始める。抑揚をつける彼の刺激。痛みさえ、快楽へと変えてしまう僕の体。

ディーノは愉快そうに笑いながら僕の乳首を濡れたシャツごと口に含んできた。いいように弄ばれる僕の体。彼がそこを甘噛みした瞬間――

「――ゥ、ぁぁああッ、ンんァぁ…ッ!!」


あろうことか、僕はそれらの刺激だけで…イってしまった。


「ハハッ!もぅイっちまいやがった。とんだ淫乱だな!」


ディーノの僕を蔑む言葉に愕然とした。人が変わったかのような彼。僕の愛した、ディーノじゃない。

涙が、止まらなかった。

泣いている顔を見られたくなくて顔を背ける。必死に涙を堪える僕を見てディーノは楽しそうに笑っていた。もぅ何も、考えたくなかった。滑稽過ぎる僕にもう羞恥心だとかそんなものは一切残っていない。


ただひたすらに…何も考えられないぐらいに…ぐちゃぐちゃにして欲しかった。








ディーノは勢いよく僕の下半身を露わにし、そのまま僕を床へと押し倒した。外気に触れて身震いする濡れそぼった僕の雄は、床に打ち付けられた衝撃から先走りが少しディーノの上着に飛んでしまった。それを見てからかうように笑うディーノ。彼は反り勃った雄を取り出し、僕の後孔へとねじ込んできた。


「――ぃッ!ひぁァ、ンぅ…はっ、」

馴らしていないそこは、ギチギチと悲鳴を上げる。痛くて痛くて痛くて…。でもそんなことも全て吹っ飛んでしまう彼の言葉が降りかかってくる。


「…きつッ、お前さっきの女より凄い締め付け…。本当、淫乱だな。」



浮気を、認めた彼の言葉。

頭が真っ白になり、ただ快楽だけを追い求める僕の脳。


「ぁあッ、ン…ぅうンんぁッ――ひぁァぁんッ!」
「腰ッ、揺れてんぞ?」


ディーノの僕を馬鹿にする言葉なんて頭には入って来ない。ただひたすらに喘ぐ僕。

「ぅあァぁ…ッ、もッ、イクッ――!」
「…ッ、イけよっ!」
「ァぁッ、ひゃ、ぁぁァああんンッ、んぁァ!」


ディーノの服に欲望をぶちまけた後、ディーノも僕の中で達した。





ディーノは散々に僕を犯した後、後処理をすることもなく帰ってしまった。またな、と蔑んだ彼の笑顔が…頭から離れなかった。


ザァーザァーと降りしきる雨の音が、独特な匂いを放った応接室に鳴り響いていた。




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