Reborn★Long
side.kyoya
>>ディヒバ←ツナ。恭弥の初恋話。甘い。
あなたの初恋は、
いつですか?
■first love story side.kyoya■□■
沢田から聞いたディーノの初恋話。その話を聞いてから風紀委員の仕事が全く手につかない。頭がボーっとする。顔が熱い。
もう、今日は帰ろう。
そう思って、書類やらペンやらを片付けていると、再びドアが開いた。また沢田か…?なんて思っていると予想外の穏やかな声。
「よっ!まだ学校居たのか!」
パっと顔をあげると、そこには大好きな太陽のようなあの人。また顔が赤くなったのがわかった。
「…ディーノ!」
「昨日ぶり!…お?どした、顔赤いぜ?」
風邪か?なんてディーノは僕に顔を近づける。意識し過ぎて、目を見れない。全部…沢田のせいだ。
「…さっき、沢田からあなたの初恋の子の話を聞いたよ。」
びっくりした顔をするディーノ。喋んなって言ったのに…、と漏らすあなたは頭を掻きながら照れている。見る見るディーノの顔も赤色に染まっていく。それがとても愛おしくて、僕は笑いながら話を続けた。
「僕ね、幼い頃に外国人の男の子に出会ったことがあるんだ。よく覚えてないけど、夕日が反射した綺麗な蜂蜜色の髪をした男の子だった――。
…もう、お母さんなんて嫌いだ。僕のことなんて何にもわかってくれてない。
お母さんと(一方的に)喧嘩して、思わず家を飛び出した。暫く考え込み、俯きながら夕日を背に歩く。すると、僕を包み込むような温かく強い風が吹いた。その風に導かれるように顔を上げて歩くと、蜂蜜色の髪をした外国人が走って来るのが見えた。
あっ、こけた。
彼に引き付けられるようにそこまで足を進める。キラキラとした髪に目が奪われた。顔を上げた外国人は涙ぐんでいて、ふきんしんだけどとても綺麗だった。日本語が通じるかわからなかったけど、僕は手を差し出した。
『…だいじょうぶ?』
彼は涙と鼻水を啜り、照れ臭そうに僕の手をとった。僕よりも遥かに大きい手で僕の小さな手を握った彼は日本語でありがとう、と言った。
『にほんご、はなせるんだね、がいこくじんサン。』
笑ってみせると、彼も自然と優しい笑顔を見せてくれる。そんなとき、彼の後ろから走って来るスーツ姿の男の人。どうやら彼の知り合いみたいだった。男の人の姿を見た彼の酷く安堵したような表情はとても優しかった。そんな彼を見ていると、僕の心まで穏やかになる。怒っていたことなんてどうでもよくなって、お母さんがとても恋しくなった。
『ふふ、よかったね、がいこくじんサン!』
僕は彼の優しい笑顔を目に焼き付けて、笑って彼の前から去った。神様はきっと彼に僕を会わせるために家を飛び出させたんだと思った。
神様に会えたなら、こう言おう。
――素敵な出会いをありがとう、って。
だらか僕はそのときの男の子に感謝してるんだ。まぁ、神様なんて明確じゃないものは信じちゃいないけどね。」
話し終わるとディーノは口をだらし無く開け、これまでにない程に間抜けな顔をしていた。瞬きを何回かした後、ディーノは僕に質問を投げ掛ける。
「…え?あの子、恭弥?だって…女の子だった。」
「僕、幼い頃はよく女物の服を着せられてたんだよね。それとも何?その子の裸でも見たの?」
ディーノはまだ信じられない様子でオロオロしている。…僕だって、まだ信じられない。でもあまりにも共通点が多すぎる。と、言うか全く同じ思い出じゃないか。色々と思考を巡らせていると、ディーノが突然僕の名前を呼んだ。
「恭弥!!!」
そして、抱きしめられる。予想だにしない出来事に抵抗もできなかった。ディーノの速くなっている鼓動が、ディーノの体温が伝わってくる。
「そっか!俺の初恋は恭弥だったのか!もぅ、運命としか言いようがねぇよなァ!赤い糸で繋がってたんだ!」
もぅ離さねぇ!とさらに強く抱きしめてくれる。甘くとろけるような恥ずかしい台詞に、どこか安心してしまう僕は本当にディーノと赤い糸で繋がっていたんじゃないかと根拠のない確信に包まれる。
神様なんて信じちゃいないけど、もし本当にディーノとの運命を僕に与えてくれたのならば、こう言おう。
――素敵な出会いをありがとう。
*fin*
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