Reborn★Long
side.tsunayoshi
>>ディヒバ←ツナ。ほのぼの?軽く黒ツナ。
あなたの初恋は、
いつですか?
■first love story side.tsunayoshi■□■
「こんにちはー。」
一応ノックして俺は躊躇なく放課後の応接室のドアを開ける。ドアを開けるとまず目に入るのは、机に向かって風紀委員の仕事を熟している俺の大好きな人。
「…何?また来たの。」
手を止めてこちらに目をやる雲雀さん。欝陶しそうに眉間に皺を寄せてはいるが、最初は話もしてもらえなかった訳で…この状況はちょっとした進歩を物語っていたりする。雲雀さんは用がないなら帰って、と手元に視線を戻す。今日は用あるんです、と言ってみせると少し驚いた顔をして切れ長の瞳に再び俺を映し込む。まぁ、用がなくてもいつも通り居座りますけどね!
「…珍しいね、何の用だい?」
雲雀さんは書類にペンを走らせながら、クスっと笑って尋ねる。雲雀さんの後ろの窓からふわっと吹いた優しい風が、雲雀さんの黒い髪を踊らせた。同じ風が俺を掠めると、何だか少しだけくすぐったい気持ちになった。
「雲雀さんの初恋っていつですか?」
雲雀さんの握っているペンが止まった。少しの沈黙の後、雲雀さんの顔が赤らんだのがわかった。…きっとディーノさんのことを思い出したんだろうな、なんて全く面白くない雲雀さんの思考を読み解く。
「“用”って、それ?」
雲雀さんは赤く照れた顔で話をはぐらかそうとする。まぁ、聞かなくてもわかっちゃいましたけどね。俺は話を元に戻し、本題に入る。
「昨日ディーノさんが初恋話されにわざわざ来られたんですよ〜!」
泳いでいた雲雀さんの視線がピタっと止まる。へぇ、なんて何でもなさそうに振る舞ってはいるが、明ら様に気になっている様子で。ちょっとムカつくけど、そんな反応が可愛いとも思う。俺はそれとなく、ごく自然にディーノさんの初恋話を話し始める。雲雀さんはあくまで関係ないよ、というような顔をしながら、しっかりと話に耳を傾けているようだ。
…別に、こんな話をして雲雀さんとディーノさんの関係が壊れるとも思わないし、壊そうとも思ってない。ただの俺自身への慰めに過ぎない。わかってはいても、話さずにはいられなかったのは――やっぱり俺も、雲雀さんに恋をしているから。
****
「――だから、ディーノさんの初恋はその手を差し延べてくれた日本人の女の子なんですって!」
最高の作り笑顔で話し終わる。…何の反応も返ってこない。ちらっと雲雀さんの顔を覗くと―――
「ひ、雲雀さん…顔真っ赤。」
五月蝿いよ!なんて、うろたえながら、ポカンと開いていた口を閉じる。目を合わせてくれない雲雀さんは耳まで真っ赤に染まっていた。
…どういうこと?
「もう、用済んだんでしょ!さっさと帰って!」
真っ赤な顔で威されても恐くないんですけど…。なかなか帰ろうとしない俺に雲雀さんはトンファーまで振り回し始めた。さすがに長居は出来なくなって、また来ます、と一言残してその場を去った。
バタン、と音をたててドアを閉める。もう日も影って来ていて、窓の外は所々電灯が光っている。あの顔の赤さが夕日のせいじゃない、ということを確認するように窓の外を眺めながら、廊下を進み俺は一人帰路に着く。
何だったんだ?あの反応…。まるで、ディーノさんの初恋の相手が自分みたいな……。
―――ッ!?
でも、ディーノさん女の子って言ってたし…ピンクのワンピース着てたって言ってたし…。…そんな訳ないよな。
ちょっとした違和感とスッキリしない気持ちを残しつつ俺は学校を後にした。
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