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Free★Novel
Santa Magic
>>ディヒバ。クリスマスフリー文。甘い。




「サンタクロースって、いつまで信じてた?」




■Santa Magic■□■





冷えた空気と明るいイルミネーションに彩られた街。
時間帯が遅いこともあって人通りは少ない。

恭弥の買い物に付き合って、今から家路につくところだった。二人肩を並べて恭弥の家を目指す。

今日は12月24日。世に言うクリスマスイブ。
街はクリスマス一色だった。



二人の間を流れる沈黙を遮るように、俺は口を開く。

「――なぁ?」
「…何?」

マフラーに埋めていた口元を外に出して、恭弥は俺の方に目を向ける。

「恭弥って仏教徒?キリシタン?それともイスラム教徒?」

突然の質問内容に、恭弥は眉をしかめ、またマフラーに口元を埋めてしまった。

それでも愛されている俺(…自惚れ?)にはきちんと答えをくれる愛しい愛しい俺の恋人。

「…無宗教だよ。僕は神様とかそういう目に見えないものや、見たことないものは信じない。」

いかにも恭弥らしい答えが返ってきた。

「じゃぁさ、恭弥はサンタクロースっていつまで信じてた?」

仏教徒だとクリスマスすらないだろ、と先程の質問の意図の種を明かす。


また、少しの沈黙が訪れた。
まずいことを聞いちまったか?

「…もしかして、今でも信じてた?」

恐る恐る尋ねる俺。一人の子供の夢を壊してしまったんじゃないかと焦っていると、馬鹿なこと言わないで、と即否定。

「言ったでしょ。見たことないものは信じないって。サンタクロースなんて信じたことないよ。」

…可愛いげのない子供だったんだな、なんて思いつつ。珍しく隣を歩く恭弥から口を開くから、視線を恭弥に戻す。


「サンタクロース…僕のところに来たことないんだよ。」


どこか寂しそうな恭弥の表情は、彼の過去を語っていた。

クリスマスの日の朝に枕元にプレゼントが置いてあるのにサンタクロースを信じない子供なんてきっといない。


恭弥の両親は仕事が忙しくてあまり家にいないらしい。だから実質は一人暮らしみたいなものだと、教えてくれていたことをふと思い出した。

クリスマスの日の学校なんて、周りはプレゼントの話でもちっきり。

きっと…
寂しかっただろうな。



なんて考え込んでいたら、いつの間にか恭弥の家の前。

何も言わずに先に家の中に入ってしまった恭弥を追いかけるように、俺も恭弥の家にお邪魔する。

恭弥は買い物した食材を冷蔵庫や棚にしまっている最中だった。

…なんだか新婚さんみたいだなぁ♪

「馬鹿なこと考えてないであっち行って。邪魔。」


…あ。声出てた?

とりあえずリビングのソファーに腰掛け、恭弥を待つ。

ぼーっと、ただ何となくつけたテレビを眺める。どのチャンネルもクリスマスのことばっかり。日本人ってのはイベントごとが何より好きらしい。


「テレビ…消して。」

キッチンからやって来た恭弥は、ソファーの後ろに立ち、不機嫌そうに口をへの字に曲げて、いきなりチャンネルを握っていた俺に命令。さっきまでそんなに機嫌も悪くなかったはずなのに…

「消して。」

唖然としていた俺は、殺気をも含んだ恭弥の台詞にハっとする。慌ててテレビの電源をオフにすると、恭弥は口をへの字のままに俺の隣に三角座りで腰掛ける。

「クリスマス、嫌い?」

恭弥の頭を俺の肩に引き寄せて問いかける。無抵抗に俺にもたれる形になった恭弥は口を開こうとしない。

テレビも消してしまったこの空間はただ物静かに、時計の秒針が時間を刻む音だけが支配する。





時計が1時半を指した頃、もう寝ちまったんじゃないかと顔を覗き込むと、案の定眠っていた恭弥。風邪を引いてはいけないと、彼の寝室に運ぼうとしたとき、恭弥がピクリと反応を見せた。

「―――クリスマスなんて…嫌い。」

寝言で恭弥が漏らした本音。

やっぱり寂しかったんだな、と確信を持った。


「うん。でも今年からは俺が側にいてやっから。」

猫のように顔を摩り付けてくる恭弥がとても愛おしくて…。眠っている恭弥の額にそっとキスを落とす。








翌朝、先に目覚めた俺はキッチンで勝手に朝食の準備。

あなたは直ぐに食器壊すからキッチンには入らないで、といつも入れてもらえないキッチンはとても新鮮で。恭弥に怒られないように慎重に準備を開始する。



一通り無事に用意ができた頃、恭弥がリビングに降りて来た。

その手にはピンク色の包装紙に包まれ、ゴールドのリボンが巻かれた小さな箱。


「おはよう、恭弥。…それどしたんだ?」

低血圧なのか寝ぼけているのか、少しずつ俺の言葉を消化していき、ゆっくりと返答する。

「…枕元に、置いてあった。」


目を丸くしてそのプレゼントを眺める恭弥。俺は恭弥に近付き、幼い子供をあやすように少し寝癖のついた髪を撫でる。

「サンタクロースからのプレゼントかなッ?」

笑顔で話を進める俺。
その俺の台詞で全てを見抜いた恭弥。

ああ。俺って嘘つくの下手くそだなぁ、と改めて自分を知る。


サンタ…否、俺からのプレゼントを見つめ込む恭弥と、そんな彼を見て反省会を開く俺。


すると突然恭弥が俺に抱き着いてきて。あまりの予想外な出来事にテンパる俺。


「サンタさん、ありがとう。」

小さな小さな声で恭弥は俺の胸の中で呟いた。

その感謝の言葉に、行き場をなくしていた俺の手はやっと恭弥の背中で落ち着く。



ホント些細なことだけど、少しずつでも恭弥の寂しさが消えて、少しずつでも恭弥がクリスマスを好きになってくれたらいいな、なんて思う。





…あ。
朝飯冷めちまった…。




*fin*



●ァトガキ●○●

もぅスグ
クリスマスなのでッ

雲雀サンの過去捏造デスケドネンワラ

っか
落ち葉の音で起きちゃゥ方なので
ホントはォベッドまで運べナィんデスケドね

気にしなィワラ

すみませんデシタ

配布期限;2006.12末迄
(報告していただければ,お持ち帰り可デス★)

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あきゅろす。
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