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Reborn★Short
四月馬鹿注意報
>>ディヒバ。今更エイプリールフールネタ。



嘘でもいいから、



“愛してる”と言って!




■四月馬鹿注意報■□■


久しぶりにやって来た日本。勿論最初に向かうのはツナの所でもなければ、リボーンの所でもない。愛しの恭弥がいるであろう並中の応接室だ。

久しぶりに会える恭弥を想うだけで胸の鼓動が高鳴った。丸で恋する乙女だな、とちょっと苦笑いが零れる。


早足で辿り着いた応接室。ノックもせずに大きな音を立てて扉を開いた。そこにいたのは愛しの恭弥―――、と。

「恭弥っ!久しぶり、元気だったかー?」

浮かれた俺の表情、浮かれた俺の声、浮かれた俺のテンションは応接室にいた人物によって見事に沈められた。


「……。」
「おや、跳ね馬ですか。邪魔ですよ。」

「…ろ、くどう…」



扉を開いてそこにいたのは、机に向かう恭弥と向かい合うようにして恭弥の手を握った六道骸だった。恭弥は空いた片方の手で頬杖をつきながら、チラリとこちらに目をやった。ただそのまま黙りで、無言の時間が暫く訪れる。


「…六道、お前何やってんだ?」

俺の発した言葉が沈黙を破る。六道は鼻で笑って、さも当たり前かのように平然と言ってのけた。


「何って…雲雀くんと愛を語り合っていた所です。」

だから邪魔者は消え去りなさい、と六道はまた恭弥に視線を戻した。



…いやいやいやいや。
…待て待て待て待て。

邪魔者はお前だろーが!どう考えてもお前だろーが!それに“愛を語り合っていた”だ?――ハンっ!あの恭弥が愛を囁く訳ねぇだろ!特にお前なんかに!!

なんて心の中で叫んでいるとパチッと音が鳴るように恭弥と目が合った。少し照れたような表情をする恭弥がとても可愛かった。それに気付いたのか六道が焦ったように声を上げる。恭弥は照れた表情を隠して、また声の方へと視線を戻した。



「さ、さぁ、雲雀くん!先程の続きをしましょうか?

僕に愛を囁きなさい!」




ポッカーンとする俺。なんだその命令形は…?なんだその自信は…?開いた口が塞がらないとはまさにこのことだろう!(こんな諺を発案したジャパニーズはすげぇぜ!)


そんな俺を衝撃が襲うにはそんなに時間はかからなかった。

















「愛してるよ、骸。」



………。


…………。


……………え?



「ちょ、ちょちょちょちょちょっと待て待て待てっ!」
「クハハハっ!聞きましたか、跳ね馬っ!僕の勝ちです!!」
「骸のこと、大好き。片時も離れたくないよ。」

何だ、その普段見せたことのないような微笑みはっ!?恭弥のツンデレキャラはどうしちまったんだ!?よりによって何でそいつなんだっ!!!



「〜恭ー弥ぁ…。」
「クフ。諦めなさい、跳ね馬。」
「なぁ、俺のことは?」
「…無視ですか?」
「俺のこと嫌いになっちまった?」
「無視なんですね。」




「あなたは、嫌い。世界で一番大っ嫌い。」




ガ――――ン!

1tの鈍器で殴られたような衝撃。なんの言葉にもならなくて、ただただ灰のようにフラフラと俺は応接室を出た。




****



応接室を出て俺は初めて恭弥と出会った屋上へと出た。無意識に足がそこへ向かっていた。黄昏るように屋上の手摺りにもたれ掛かって空を仰いだ。

ふぅ、と自然と出る溜め息。何だか泣きそうになる。こんなフラれかたって…有りか?




「ちゃおっス。」


感傷に浸っていれば聞き覚えのある声と共に胸にのし掛かった衝撃。何処から現れたのかリボーンが俺の胸の上に降り立った。


「お前いつにも増して、情けねぇ面だな。」

痛い所をついてくるリボーンに流石だな、と感心しつつ、楽しそうに話すリボーンにムカついたのも正直な気持ちだった。まだ現実を認めたくない思いが言葉を詰まらせた。


「………だよ。」
「あ?」
「…、フラれたんだよ、恭弥に。」

今さっきの出来事なのに、何だか懐かしく思えた。嗚呼、本当にフラれたんだな、と改めて感じる。すると、リボーンの嬉しそうに笑う声が聞こえてきた。

「っ、何で笑うんだよ!」

俺は結構マジだったんだぞ!と反論し、体を起こす。リボーンはクルリと綺麗に一回転し、全てを見透かしたような笑みを一つ。やけに余裕を見せ散らかすリボーンにイライラする。




「今日は何の日か知ってんのか、へなちょこ?」
「…何?」
「んなことも知らねぇのか。」


今日は何月何日だよ、と問い掛けられてから暫くして、俺の思考回路はストップする。呆然としている俺を見て、ニヤリと笑うリボーンがいた。





「…4月……1日。」
「つまり?」


「…エイプリールフール。」
「俺が雲雀に教えてやったんだぞ。楽しめたか?」
「〜〜っ、くそ!」


言うが早いか、走るが早いか。今一度働かなかった頭をフル回転させて、俺は応接室へ突っ走った。








バンッ―――!!



「恭弥っ!」

再び開けた扉の向こうでは、まだ六道が恭弥の手を握り締めながら何かを語っている。大きな音にビックリした顔をして二人の視線が俺に集まる。六道は呆れたように、馬鹿にしたように鼻で笑いやがった。


「何です?往生際が悪いですよ、跳ね馬。」

振り返りがてら俺に悪態をつく六道。さっきはあんなに苛々していたのに真相を知ってからは“それがどうした!”という気持ちでいっぱいだ。(何て都合がいいんだ、人間って奴はッ!)

荒く切らした息を深く飲み込んで、恭弥の方へと一歩近づく。何ですか、本当に!と狼狽える六道が気にさえならないぐらいに、俺は恭弥と合った目が離せなかった。




「…なぁ、恭弥。お前、今日何の日か知って――、」
「…ふふ、何?今頃気付いたの?」

「〜ッ、恭ー弥ぁー!」



笑ってくれた恭弥に、強張っていた俺の心が漸く溶け放つ。赤ん坊に教えてもらったんだよ、と話す恭弥は何処か楽しそうで、リボーンに一杯喰わされたという思いよりも、まぁいいか、と思う気持ちの方が大きかった。





エイプリールフールにくれた“世界で一番大嫌い”という恭弥の嘘が、確かに俺に愛を感じさせてくれた。










…でも、嘘でも恭弥に“愛してる”だとか“片時も離れたくない”だとか言ってもらいたかった、何ていう蟠りが少し残っていたりいなかったり…。



*fin*






●アトガキ●○●

今更エイプリールフールネタですみません(°∇°;)ダラダラと制作してたらこんなに遅くなってしまった(笑)

イチャつくディノヒバを見て、放置されてる骸がいれば可愛いと思う(笑)振り回されてる可哀想な骸が好きだ。

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あきゅろす。
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