Ｒeborn★Ｓhort
子ども同士の誕生日
>>獄ヒバ。甘めな誕生日話。
明日…
俺と雲雀が付き合い始めてから初めて迎える俺の誕生日。
だからといって、何がある訳でもないんだろうけど。
■子ども同士の誕生日■□■
「なぁ、明日暇？」
応接室のソファーを陣取って、いつものように風紀委員の仕事を熟す雲雀に声をかけてみる。雲雀の手は止まらないし、視線がこちらに向くこともない。まぁこれはいつものことで、日常で。だからどうってことはねぇ(…と強がってみる)。
「…明日は委員会がある。」
少しの間の後に返ってきた返事。期待した返事ではなく、答えは“ＮＯ”。何で？と話す雲雀とパチッと漸く視線がぶつかった。でも“明日、俺の誕生日なんだ☆”なんて女々しくこっ恥ずかしいこと言える筈もなく、別に…なんて思ってもいなく素っ気ない言葉を返してしまう。何それ、と不機嫌まっしぐらな雲雀に何だか泣きそうになる。
空回りばっかな俺。明日の一つ大きくなる俺は、今日までの俺とは違った大人な奴になっているかな、なんて願いながら今日をしめくくった。
****
雲雀の予告通り、愛しの恋人とは一緒に過ごせなかった俺の誕生日は何もなかったように過ぎ去った。まぁ、本当に何もなかった訳じゃない。10代目や野球馬鹿、リボーンさんが祝ってくれた。でもやっぱり雲雀がいない誕生日はちょっとばかしポッカリと穴が開いたような感じだ。
「おはよう、獄寺君。」
「っ！？…お、おはようございます、10代目！」
昨日はわざわざありがとうございました！とお礼を一つ。すると10代目は優しく笑って下さった。こんなにも立派な出来た人に祝ってもらっておいて何が不服なのか…自分の贅沢さ加減にも嫌気が差す。
と、そのとき後ろから俺の横を通り過ぎた昨日一番会いたかった奴。
…てか、俺のこと無視ですか？それとも気付いてない？(どっちにしろ虚しいことに変わりはないが…。)
「おい、雲雀！」
パシッと掴んだ雲雀の白く伸びた細い腕。ゆっくりと振り返った雲雀の恐ろしい顔に少し怯むが、本能が手を離さなかった。更に険しくなる雲雀には気付かない振りをして挨拶を一つ。
「…よ、っス。」
「……。」
何を怒っているのか…無視を決め込む雲雀はとうとう視線まで逸らしやがった。…俺何かしたか？寧ろ昨日、一緒に祝って貰えなかった俺の方が拗ねたいんだけど。
「……離して。」
「ちょ、待てって！何をﾝなに怒って―――」
「僕に触らないでｯ！」
大ｯ嫌い！という捨て台詞とトンファーでの滅多打ちを食らって、去っていく雲雀の後ろ姿を薄れゆく意識の中で追っていた。
次に気付いたときは教室で、丁度授業の真っ最中だった。(保健室では寝かせてもらえなかったみたいだ。)授業中だろうが何だろうが今はまず雲雀に話しを付けたくて「獄寺ー！」という先公の声は無視して、一目散に応接室へと駆け出した。
「雲雀ｯ！」
バン！と大きな音を立てて開けたドア。目を大きく見開いた雲雀と目が合うが、雲雀はまた視線を書類に落とした。怯むことなくズカズカ踏み込む俺と、気にする様子もなく仕事を続ける雲雀。机を挟んで、雲雀を見据える。
「なぁ、何を怒ってんだよ。」
問い掛けても視線すら合わせようとしない雲雀。おい！と机をバン、と叩くと鋭い雲雀の睨みが俺に刺さった。それでも雲雀からは何の言葉も出ない。
「…俺、何かしたか？」
何だか泣きそうだ。その場で俯いてしゃがみ込む。雲雀から顔が見えなくて丁度いいと思った。
「…何にも言ってくれなかったから、怒ってるんだよ。」
俯く俺に降り注がれた雲雀の言葉。意味が分からなくて、キョトンとした顔で雲雀を見上げる。
「…は？」
「だから、何も言ってくれなかったから怒ってるの！」
「…何も、って、…何だよ。」
「昨日、君の誕生日だったんでしょ？赤ん坊から聞いたよ。」
僕も、一緒に祝いたかったのに…
…な、んて、可愛いことを言うんだ、こいつは…。行き場のないもどかしい気持ちが俺の中を駆け巡る。
「〜〜ｯ！だぁ、何だよそれｯ！」
「…怒ってんの。」
「も、お前可愛過ぎだろ…。」
「僕怒ってるんだけど。咬み殺すよ。」
照れてるのか本気なのか…雲雀の表情は変わらなかったがいつもの朗らかな雰囲気に戻る。何だかにやけ笑いが止まらなかった。
「ごめんな、雲雀。」
「…何笑ってるの。気持ち悪い。」
「いや、悪かった。」
「…馬鹿。」
おめでとう。と、雲雀が目を反らしながら話す。照れ臭くて頭を掻くと雲雀はクスッと微笑んだ。
来年は、誕生日当日に貰う“おめでとう”を楽しみにしてるよ。
まだまだ子どもな俺と、まだまだ子どもな雲雀。
甘酸っぱい誕生日の次の日を、俺たちは過ごした。
*fin*
●ァトガキ●○●
今更ですが…;;獄寺ｸﾝお誕生日おめでとう！大分遅れました(^_^;)すみません。
ザンザス様やらツナｸﾝやらリボﾁｬﾝの誕生日が間近ですが…間に合うかな。
愛だけは籠もってます★
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