100 stories 088.パーフェクト/ティエリア 私の彼は、完璧主義者。 「ソフィ」 シュミレーターによる戦闘訓練が終わって出てきた私にティエリアが呼び掛けた。 …そこはかとなく、嫌な予感。 「な…なんでしょう?」 思わず敬語になってしまった…。 逃げる体勢を整えて、きっとひきつっているであろう顔を彼に向ける。 「なんだこの数値は。実戦は甘くないのはいつも言ってるだろう。まったく君は………(以下略)」 …やっぱり説教だった。 確かに、数値はマイスター達に比べると低い。 でも私にしては上出来な数値。 ……少しくらい誉めてくれてもいいじゃない。 「聞いているのか、ソフィ」 「はいはい、聞いてますってば完璧主義者のティエリアさん」 「完璧というのは悪いことではないだろう」 「…そーですけどっ」 「何か文句があるのか?」 あら珍しく疑問形。 「…ありませんっ。てわけで私行くから」 「どういうわけだ」 「そーゆーわけなの!」 捨て台詞に近い台詞を吐いて、私はその場を去った。 …あーあ。 なんか…つまんない。 付き合ってるのに、これじゃ付き合う前と大して変わりないじゃない。 数日後の、出掛ける約束。 期待…しない方がいい、かな… 数日後、例の出掛ける日。 期待しない方がいい、って自分に言い聞かせたくせに私は何故か待ち合わせの30分前に待ち合わせ場所にいた。 「馬鹿…かも。私、」 誰にともなく呟く。 こんなに早く来たって、ティエリアが来るわけないじゃない。 うん、完璧主義者の彼のことだ。待ち合わせ時間ぴったりに来るに違いない。 と、 「…待たせてしまったようだな」 背後から声がした。 「ティエリア!?まだ待ち合わせ20分くらい前…」 「ソフィを待たせないようにするつもりだったのだが…失敗だったようだな」 「いやいや、私が早かっただけだよ?」 「……どうもソフィのことになるとうまく行かないことばかりだな」 「………。」 その言葉に絶句。 完璧主義者の弱点が、私? 「…ふふ、」 そう思うと、自然と笑みがこぼれた。 「じゃ、行きますか!」 ここぞとばかりに私はティエリアの腕を絡めとる。 明らかに動揺した、彼の表情。 …完璧主義者を突き崩すのも楽しい、なんて。 きっとそれは、大好きな彼だから…。 20090613 *-*-*-*-*-* パーフェクト、と言ったらティエリアが思い付いてそれの弱点がヒロイン、ただそんなのが書きたかっただけ← 時雨塚 椿姫 [*back][next#] [戻る] |