How to go
コウの弟くん
 そうそう、呼ばれる機会は少ないのだが、俺はユーイやイシュウさん以外の臣下の皆さまには住んでる朱夏宮の名前から、夏の宮様と呼ばれる。
 どこのお偉い様だ、という感じで好きではないのだが……まぁ仕方ないんだろう。コウの三人の奥さん方も春、秋、冬で呼ばれるしな。ちなみに冬の宮様が一番美人って噂だ。
 セキさんは目を丸くして雪まみれの俺を見ながら「あ、あれ……いや、あの御方が夏宮様でいらっしゃいますか」とコウに確認していらっしゃる。
 やっべ、土下座で謝罪したい気分になってきた。せめて雪遊びはやめておくんだったぜ……。
 俺は焦りながら雪玉をその辺に投げ捨て、黒マントについた雪を払った。コウが口元を押さえて笑いながら、俺を手招く。ちくしょう、こんなことなら雪遊びするの止めてくれたらよかったのに!

「陽太、弟の皙真だ」
「……北方国、地官長を務めておりまする、丹皙真でございます」
「たんせきしん? あ、えっと……陽太です」

 えーと、地官長っていったら……確か文科省+国交省+総務省の大臣みたいなもんだっけ。ご、ご苦労様ですなぁ。
 目の前に立つセキさんは、やっぱりこっちの人達の中では背が低い。170ちょっとくらいだろうか。何となく親近感を覚えるが、さすが美形なコウの弟というだけあって整った顔立ちをしている。
 目元と口元なんかよく似てるなぁ。あ、でもセキさんはコウより爽やかに見える。年齢はちょっとよく分からんが(つーかこの世界で俺の予想は当たったためしがない)、コウが同年代って言ってたから十代なんだろう。
 セキさんはぺこりと頭を下げた俺を見て、幾分落ち着いたようだ。にこりと笑って、柔らかい雰囲気で少し腰を屈めてくれる。コウにやられたら結構屈辱的なあれだが、セキさんは不思議とそんなことを思わせない。

「どうぞ皙と。私も陽太様と御呼びしてよろしいでしょうか」
「あ、はい。てゆーか、陽太でいいよ。セキさんいくつ?」
「この秋、十七になりました」

 ほえー17か。ってことはコウの9こ下だな。
 にこにこと笑うセキさん……いや、セキくんに、俺はかなり好感を抱いた。なんか、仲良くなれそうな気がするぞ!


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あきゅろす。
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