あの後どうなったかというと。
小山田はえらい山奥にある廃校寸前の高校出身(全校生徒が60名って、なにそれ!)だとか、俺は都会のイケイケ高校出身だざまぁみろだとか、学部は、学科は、趣味は、バイトは、好みの芸能人は、と合コンみたいな会話を交わし、最後には「来週もまたここでお茶しよう」なんて言われちゃったりして、小山田と俺はすっかり仲良くなった。と思う。
「ということが昨日あったんだよ」
俺は今日も唐揚げを食いながら、コースケに自慢してやった。コースケは小山田と同じ法学部にいっている例のダチだ。
「へぇ、小山田くんとねぇ」
「うらやましいだろ」
「別に。俺、小山田派じゃないもん」
「何その小山田派って。派閥? 派閥なの?」
「そーそー、キモイだろ。周りが勝手に盛り上がってるだけだけどな。ちなみにもういっこの派閥が大久保派っつーんだけどね」
「……お前じゃねーか! お、お前、派閥の領袖かよ!」
「領袖て……ま、モテる男はつらいんだよマサ」
コースケ(本名:大久保浩輔)は、わざとらしい溜息を吐いて、豪快にうどんを啜る。ちらっと周りを見渡すと、隣のテーブルの女子がそんなコースケを見てキャッキャキャッキャしてた。そうだ、あんまりずっと一緒にいたもんで気にしてなかったけど、コースケも大概かっこいい男なんだった。
「ちくしょう! 中学1年までは俺の方が背高かったのに!」
「過去の栄光って素敵だな」
「コースケなんか悪徳弁護士になって捕まっちまえ!」
「俺検事志望なんだよ、悪いな」
知ってるわこの特捜部野郎!と半切れで言い返したら、コースケは俺の頭をぽんぽんと叩いて、イケメンの友達できて良かったネ、と優しく微笑んだ。俺もその笑顔につられて笑って頷くと、わしゃわしゃと頭を撫でられる。
どうも俺は身長追い抜かれてからこっち、コースケの弟みたいな、ペットの犬みたいな扱いばっかりされてる気がする。
まぁ居心地いいからいいんだけどな。