お、お、お、おもしれぇえええ!
偽らざる俺の気持ちはこれだ。何て言ったって、小山田は初恋のはずだ。
「おおお、ビンゴか!」
「……うん、あの、なんでわかったの」
「わからいでか!」
「は、恥ずかしい……消えてしまいたい……」
わーわーどうしよう!俺まで楽しくなってきちゃった!だって初恋だぜ!
そろりと顔を上げた小山田は、どこか途方に暮れた子供みたいで可愛らしい。二言目には「やりてぇ」なんて言う連中とは、一線を画した恋話が聞けるに違いない。つーかこの歳で初恋とか、貴重すぎるよな。今すぐレッドデータブックに登録してもらわねばならん。
しかし……そうか、まさか相手が船曳さんとは……船曳さん、可愛いし綺麗だからなぁ。あの飲み会で見初めちゃったのか。納得できるっちゃできるが、意外っちゃ意外だな。
小山田はもっと何て言うか、少女マンガに出てくるような、ロマンチックな恋をすると思ってた。立ち寄った喫茶店で一目惚れとか、満員電車で横にいたかわい子ちゃんとか……そんな感じの。まぁ俺の勝手な妄想だけど。
俺は野次馬根性と好奇心でウキウキしながら小山田の背を叩き、お兄さんに何でも相談したまえよ、と肩に手を回した。
しかし小山田は。
「えっ! いくらなんでも、マチには相談できないよ」
困ったように眉を下げながら笑って、俺の手を外させる。
おお、もしかして俺と船曳さんの仲を誤解してんのか。あれは女王と生け贄だぞ。
「あのなぁ。言っとくけど、俺と船曳さんはなんでもねーよ?」
「……それは、わかってる……んだ、けど……っていうか……え?」
…………「え?」ってなんだ?
船曳さんじゃねーの?