あまい花

 ああ、なんて憂鬱な月曜日だ。
 この週末、俺は絶不調だった。苦手な酒を飲み過ぎたせいで土曜日は一日中頭が痛かったし、頭痛が消えた日曜日は何をしてる時も、例の小山田の態度を思い出しては凹んでいた。自分の非がわからないってのが一番痛い。
 いくら考えても、なんで小山田がああなったのかさっぱり検討もつかなかった。

 もうすぐ午前の授業が終わる。二限が休講だった俺は、少しだけ途方に暮れていた。
 最近、昼飯はコースケ、小山田、俺の三人で食ってたのだが。

「昼飯どうすんだろ……」

 果たして今日、小山田は来てくれるんだろうか……。
 俺に怒っているんなら、理由を聞いて謝りたい。万が一それが理不尽なものであっても、話を聞くくらいはしたい。とにかくこんなわけのわからない状況は嫌だ。
 だって、このままだと友人関係が自然消滅してしまうような気がするじゃないか。せっかく仲良くなれたのに、そんなの勿体なさ過ぎる。
 いくら考えても行動しなきゃ意味がない。俺は一つ深呼吸をして、よし、と気合いを入れてから、コースケと小山田に「学食にいます」と短いメールを送った。



「よう、マサ」
「おー……小山田は?」
「あー小山田くんは今日休みだって。なんか地元に用事とかって、さっきメール来たぞ」
「あ、そうなんだ……」

 例えどさくさでうやむやになったとしても、今日中に仲直りをしよう、という俺の決意はあっという間に無駄になった。
 しかも俺じゃなくコースケに返信とか。どんだけ……。…………。

「ああもう! 俺ァこういうのウジウジウジウジ考えてらんねーのに!」
「えっ、なにごと!」
「小山田だよ! あんにゃろ!」

 肩すかしを食らったこともあって、無性に腹が立ってきた。
 俺はプリプリ怒りながら割り箸を割り、豪快に冷麺を啜ってやった。


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