「おお、小山田くん。どーぞどーぞ座んなよ」
コースケは、さも今気付きましたってな感じで箸を持ったまま手を挙げた。ちなみに左手だ。サウスポーてかっこいいよな、と俺はいつも思っているが、調子乗りそうなコースケにはそんなこと言わない。
小山田は「どーもどーも」って言いながら、俺の隣にトレーを置いた。結構ノリいいな。ちなみにメニューは親子丼だった。うまそう。
「あれ、小山田、1人?」
さっきまで取り巻きに囲まれてたのにどうしたことか。そう思って聞くと、小山田が苦笑まじりに「あーうん、マチ見つけたからこっち来た」と言った。こいつ意外と義理堅いっつーか友情深めたがりなんだろうか。
そうかーありがとうな、と俺が感激してると、向かいのコースケがニヤニヤ笑ってた。
「へぇ、マチ、ねぇ……」
「んだよコースケ」
「お前、小学校んとき俺が『マチ』って呼んだらめっちゃ怒ったくせにィ」
「大人の階段のぼったの」
「ふうん、そおですか」
「……大久保くんとマチって、もしかして幼なじみ?」
「そー腐れ縁っつーの? 小学校からずっと一緒なの」
「そうなんだ」
俺とコースケはほぼ食べ終わっていたけども、まぁ3限まではまだ時間もあることだしってんで小山田が親子丼食ってるそばでダラダラと会話を楽しんでいた。小山田はなかなかどうして話せる奴で、俺は「こいつ性格もいいのか。男の敵にも程がある!」とか内心思いつつ、イケメン二人にチラチラ向けられる視線にも耐えた。派閥の領袖の会合にしてはレベルの低い会話だったが、まぁいいだろう。
「あ、そだそだ! 小山田、彼女いねーってホント?」
それはあくまでも話のついでの軽い感じで聞いた。つもりだったんだけど。
これがどっこい。
「あぁ……うん、今まで彼女、いたことない」
爆弾、でした。
「なんだとぅ!?」
「えええぇ!? マジで!? なんで!?」
コースケと俺は戦いた。そりゃーそうだ、このイケメンが!彼女いない歴=年齢だなんて!有り得るの!?
大声で叫びすぎたせいで、学食中の視線を独り占め(三人占めか?)した俺達。
そんな中で、小山田は、はにかみながら。
「俺、運命の恋がしたくってさ」
わぁあ!メ ル ヒ ェ 〜 ン !