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気付かない



「好きな人とかさー、いないの?」

他人の恋愛事情なんて特別聞いてみたいなんて思ったことなかったけど、相手はレイ。しかもこんな話するのなんてこれが最初で最後かもしれない。正直こんな話振るのは恥ずかしかったけど好奇心に急き立てられて聞いてみた

「………いる。」




…え、えっ、えぇ!?
「いるの!?」
てっきり「いない」ってきっぱりすっぱり言いのけるもんだと思ってただけにとんでもない衝撃が走った。

でも、なんでそんな…
「告白とか、しないの…?」


「…叶わないからな。」
あぁ、だからそんな顔してんのか。
でもレイに告白されて断る人なんかいるんだろうか。

彼氏持ち?いや、それならレイに転がる可能性は大いにある。じゃあ…
「…人妻…」
「違う。」
「あ、そう…」

「お前はどうなんだ…?」
「お、俺?」
俺はそんなことよりレイの好きな人とやらの方が気になるんだけどな。

「俺はそんなんいないよ。…モテないし。」
自分で言っておきながら悲しくなる。でもそんなことよりレイだろ

「あ、もしかしてルナとか!? たしかにあいつは俺たちのこと男として見てないかんじはするけど…」
「違う。…もういいだろ」
「あー、うん…」
しつこいかな。でもすごく気になるんだ。
好奇心?いや、なんか違う。
レイが叶わないなんて言うからかな。レイって結論出すのが早いから、
まだ可能性がないなんて言いきれないだろ?そんな悲しそうな顔する前に伝えればいいんだ。
好奇心なんかじゃない、レイは俺にとって大切な友達。やっぱうまくいってほしいって思うんだ。


「…言ってみたら?もしかしたら上手くいくかもしんないだろ。」
「無理だ。」
「なんで」
「………」

「言ってみないとわかんないだろ?」
「お前に言われるのは…なんだか複雑だな。」
「なっ、…たしかに俺、言えるほどの経験ないけど…」

「いや、そういう意味じゃない。」
「?」

「…今は、まだ。」
「…そっか。」
悲しげな顔をして俯いてしまったレイにそれ以上の後押しなんかできなくて、
こんなにも伝えるのに臆病になってしまうほどに想っている相手がいるという事実に胸がちくんと痛んだ。








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