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お兄ちゃんのばか P♀



※マユが少し暴走
マユたんは中2くらいだと思われる




「おじゃまします…」
っていう控えめな声に、あれ?って思ってこっそり玄関を覗いてみるとお兄ちゃんと、見たことない女の子が靴を脱いでて、慌てて顔を引っ込めた。
まさかまさか、あの人はお兄ちゃんの彼女!?すっごく美人さんじゃない!!

二人分の足音が2階に上がるのを聞いて、もう一度こっそり玄関を見たらいつもは乱雑に脱ぎっぱなしのお兄ちゃんの汚いスニーカーと見たことのないローファーが綺麗に並んでて、あの人が並べたんだ…!、と妙な感動を覚えた

誰なんだろう、誰なんだろう。今までに見たことないくらいの美人さん。お兄ちゃんにはもったいないんじゃないかな、ほんとに彼女なのかな、

リビングのソファに座っても雑誌を読んでも携帯をいじってみても気になって気になって仕方ない。時計を見たらまだたったの10分しか経ってなくて、
それに、はぁぁ、とため息をつくと、階段を降りてくる足音。もう帰っちゃうの!?まだ来てから10分なのに!!
でももしかしたら二人の会話が聞こえてくるかも、なんて思って雑誌を見てるふりして(別にお兄ちゃんやあの人からは見えないけど、あからさまに会話を聞くなんてできないし、)耳を澄ます。

足音はどんどん大きくなって、そのままガチャッと勢いよくリビングのドアが開いたものだから、びっくりして雑誌にくしゃりとシワが寄った。…あー、買ったばっかりなのに。
「あれ、マユ下にいたんだ。」
部屋にいると思った。と目を丸くしながらお兄ちゃんがずかずかと入ってくる。

「う、うん…」
「母さんは?」
「パート。」
「あぁ、そっか。…あ、今友達来てるから。」
いいながらコップとジュースを出すお兄ちゃん。
…やっぱり、あの人は特別なんだ。だってルナマリアさんが来たときはペットボトルのまんま持ってくくせに…。
「お兄ちゃん、」
「ん?」
「あ…、の…」
「なんだよ」
「えと……、な、んでもない…」
「?」
疑問符を浮かべながらも部屋へと戻っていくお兄ちゃんを見送ってクッションに顔を埋める。
聞けなかった、聞けなかった!足をバタバタさせて、
……でも聞けなくてもよかったかも…と足の動きが止まる。
だって、彼女なんだってお兄ちゃんから直接言われちゃったら、なんて言ったらいいかわかんない
「ヒューヒューッ」とか?…古い!古すぎるしおかしいよね、「おめでとう」?なんか違うよね、
あぁ、わかんない!

お兄ちゃんがルナマリアさん以外の女の子を家に連れてくるなんて初めてだし、

…あれ?そういえばお兄ちゃんって彼女いたことあるの?

私が言うのもなんだけど、お兄ちゃんは顔は悪くないし優しい。(ルナマリアさんと話してる時のお兄ちゃんは時々怖いけど)モテるんじゃないかな、って思ってはいた…けど

そうだ、…お兄ちゃんは彼女を連れてきたことがない…!
だから『お兄ちゃんの彼女』に緊張してしまうんだ。しかもいきなりあんな美人さん。
い、いずれはマユのお姉さんになるの!?
あぁ!!、マユはあの人と一体何を話せばいいの!?
共通の話題なんてあるの!?

……お、お兄ちゃんはどんな話をしてるんだろ…


妙な静寂があたりを包む。
って、聞こえるわけないじゃない!うわーん!恥ずかしい!
…なんでマユがこんなに恥ずかしいの!?違う違うマユは別に…

どすん、と音がした。



………。
………。
おおおおお兄ちゃん、……押し、押し倒した!!!!??



ま、まさか!!そんな!!違うよね、ちょっと音がしただけ!!きっと何か落としただけ!!



………。
っ!?
うわーんばかぁ!耳澄ましてどうするのマユ!
あぁああ、雑誌、そうだ雑誌を読もう、家には一人、家には一人…




………。
………。
………って、静かすぎるよ!
時々聞こえてくる(ような気がする)物音と外で遊ぶ子供の声以外何も聞こえてこない。
ルナマリアさんだったらルナマリアさんの笑い声とかお兄ちゃんの怒鳴り声とかが聞こえてくるのに。

何、してるのかな…


恋人同士(勝手に恋人設定)だし、やっぱり…

恋人の家っていったらやっぱり、一緒に恋愛もののDVD見て…、ラブシーンでちょっと気まずくなっちゃったりして…、

そんな時に目が合う2人、絡み合う視線、そっと触れ合う指先…、触れ合う、くちび…


「っきゃぁぁぁ!お兄ちゃんの、ばっっかぁぁぁ!」
近くにあったクッションに小さな拳の型が刻まれた。













ビクッ
「なんだ、今お兄ちゃんって言ってたか?」
「多分…私もそう聞こえた。」



終わり



(´・ω・`)
シンとレイは恋人同士でも、そうでなくても、どちらでも。
しかしマユの妄想のようなことは起きていない。






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