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癒し系な彼



「なぁ、レイってさ、癒し系かなぁ?」
食堂の一角。食事時ではない今はガラガラに空いてて、偶々そこで会ったシンとのぽつりぽつりとした会話でのひと言。

「はあ?何言ってんの?」
真面目でお堅いレイと癒し。結び付かない両者をひっくるめてどうですかと問われて、ついつい呆れた声がでてしまった。
「だから、レイって癒し系かなって」
ちゃんと聞いてろよ、とコーヒーを呷ったシンが偉そうでちょっとムカついたけど、レイと癒し。あまりにピンとこないし、シンがどういった意図でこの話を振ったのか、ちょっとおもしろそうな予感。
「癒し、ねぇ…。どこら辺が?」
「どこら辺って…、なんか、落ち着かない?」
「落ち着くぅ?」
「うん、そうだ、そう。落ち着く。ルナはそう思わないのか?」
上手く言い表わせた表現にうんうん頷きながら、問われても、答えは否だ。
だってレイったらあたしが会話を振っても「ああ、」だとか「いや、」だとか…もう慣れたけど、落ち着くっていうより暇よ。別にだから嫌だってわけじゃないけど、癒されはしないわ。

「うん、別に癒されないわね。」
だからそのままに答えたらシンが顔をしかめる。なんであんたがそんな顔するのよ。
「なんで」
「なんでって…」
癒されないから癒されないと答えただけじゃない。
あたしより数倍は口下手なシンとレイが一緒にいて、それでいて落ち着くっていうのは、
「あんたとレイが以心伝心相思相愛だからじゃないの〜?」
あーあ、なんだか惚気を聞かされたような気分。

「相思相愛って…、き、気持ち悪いこというなよ!」
「あらいーじゃない別に。惚気はもう聞きたくありませんよー」
「のっ、……惚気!?」
オレがいつ惚気た!だいたいオレとレイはそんなんじゃなくて、っていうか男同士だし相思相愛とか惚気とかおかしいだろ云々…
ちょっとからかってみただけなのに赤くなったり青くなったりして必死に言い訳するみたいなシンに、いたずら心がむくむくと育つのは致し方ないことだと思うの。

「あっ、レイ。」
とシンの後ろを指差せばぐるんっと大きな動作で振り返ったシンが誰もいない空間にプルプルと肩を震わすのに堪え切れずに笑ってしまう
「ルぅぅぅナぁぁぁ」
「ぷっ、…くっ、あっはは!ご、ごめん……、まさか、そんな…っ、」
そんなにいい反応されるとは思わなかったわ、は言葉にすることが出来なくて、腹を抱えて笑うあたしに向き直ったシンは耳まで真っ赤。ちょっと効果がありすぎたみたいで悪いとは思うけど笑いが止まらない
「いい加減笑うの止めろよ!!」
「ごっ、ごめんってば」
それでも止まない笑いにシンは怒って出ていこうとするが、ある一点を見てその足を、ピタリと止めた。
あたしからは見えなくて、シンが何を見ているのかはわからないけれど、

「全っ然癒しじゃないし」
ぐっと拳を握り締めてぼそりと呟くようにして足早に去ったシンに笑いは止まって、シンが見たものを見ようと顔を出したら、アスランと何やら話し込んでいるレイがいた
あらら、こういうのを嘘から出たまことっていうの?…なーんか違うような気もするけど、いいタイミングなんだか悪いタイミングなんだかで現れたレイに、拗ねちゃったシンを癒していただけるようにお願いしときますか、と二人の元へ向かった。




あの〜、全然癒しじゃないって言ったシン君は、アスランと喋ってるレイに落ち着かなくなったから、やっぱレイは癒しじゃねぇ、みたいな、無意識に、焼きもち…みたいな、かんじで…頼みます…orz







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