[携帯モード] [URL送信]
progress



シャワーを終えたシンが上半身を裸のままにタオルを首に掛けた姿で水の入ったコップを傾けている。
そんな姿に本に落としていた目を向け、その喉が上下に動く様を凝視している自分がいた。

視線に気付いたのか、眉を寄せて睨むようにこちらを見たシンはまた気に入らないことでもあったのか不機嫌さを隠そうともしない
「なんか用?」
「いや、何も。」
「ならいいんだけど。」
言葉とは裏腹に納得いったとはとても思えないように乱暴にコップを置いて、次は生乾きの髪の毛をタオルで拭う。水滴が飛び散るのも意に介さずに拭う様を見つめていたらまた目が合った。
「……やっぱ、なんかあるんだろ。」
言いたいことあるなら言えよ。と剣呑な声と視線を向けられる。
拭いかけの漆黒の髪から滴る雫が彼の白い肌に落ちて、滑る様に妙な色気を感じて、
それと同時に、彼が肌が白いことをあまりよく思えないらしく、ぼやいていたのを思い出した。
「おい、聞いてんのかよ」
「…あぁ。…別に用はない。」
「じゃあなんでそんなガン飛ばしてんだよ」
そんなつもりは毛頭なかったのだが、色気があるな、なんて思ったことをばか正直に言うわけもなく…、ここは無難に謝ってしまうに限る。
「……すまなかったな」
「謝ってほしいわけじゃないんだけど?」
ひくり、と口の端を引き上げて語尾を上げる言い方に、今のは失敗だったか、と心中でぼんやりと判断し、少し面倒になったのもあって思考を飛ばした。

「で、何が言いたいんだよ」
目の前に仁王立ちする姿。
お世辞にも逞しいとは言えないが、日々の訓練の甲斐があってかうっすらと筋肉がついたシンの身体は綺麗だな、なんて、まさか俺がそんなことを考えているなんてシンは露ほどにも思っていないであろう。

その肌に触れてみたい、その白さに所有の証を咲かせたい…
変態じみた思考、というより少々危険な思考であるのは百も承知。だが考えるだけならば害はないし誰の迷惑にもなりはしない
が、そんな思考も聞こえよがしの大きなため息と共にかかった呆れ声で四散した。

「レイってほんと、わかんないよな」
「……。わからない?」
「何考えてんのかわかんない!今だって黙ってオレのこと見てさ、気になるって!」
だからとりあえず言葉にしろよ、と顔を寄せたシンから風呂上がりのいい匂いがして、もっと近くで…、と思いこちらも顔を寄せたら、シンはどうにも形容し難い表情で俺を見つめた。

何かを見極めるかのように眉間にシワを寄せて、それこそ彼が先に俺に言ったように ガンを飛ばして きた。


暫く無言で見つめ合った後、(傍から見たら睨み合っていたようにも見えるかもしれない。)シンがゆったりとした動きで俺の両肩を押した
されるがままにベッドへ沈む。
「なんだ」
「………」
今度はシンがだんまりだ。
たしかに黙って視線だけ向けられるのは落ち着かないかもしれない。
少し自分の行動も見なおそう


肩を押した手は退路を塞ぐように俺の頭の横についている。
「オレにあんまそういうことしない方がいいよ」
小さく漏らした声としっかりとこちらを見据える瞳はまるで正反対で、
熱を孕んだような熱い瞳に酔いそうになる。

「シン…」
自分でも驚くほど甘ったるい声が出た。
僅かに見開いた後に細められた瞳は、いいのか?と問うていて、けれどそれに答えることなくじっと見据えると、シンはそっと、突いていた片方の腕を肘までベッドにつけた。ゆったりとしたシンの動きに期待で心臓が高鳴った。
反対の手が頬に触れ、滑るように顎にかかる。

もう問うような視線ではなかった。それに、問われずとも答えは決まっている。


目を閉じるとほぼ同じに降ってきた口付けは思っていたよりもやわらかくてあつかった。









あきゅろす。
無料HPエムペ!