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もんもん ♀



「レイが女の子だなんて…」
思ってもみなかった。そんなこと。
たしかに綺麗な顔してる。男にしては高めの声で。あぁ、そういえば俺初対面のとき女の子と勘違いしたじゃん。当たってたよ…

「シン、言いたいことがあるならはっきり言え。」
ベッドで丸くなってた俺にレイが痺れを切らしてイスごと回転して俺を見た。

「言いたいことっていうか…」
「なんだ」
文句があるなら聞いてやろう、みたいな顔して足組んで。
「ついさっきまで男だと思ってたのに…」
こうして見ると男になんか見えない。
はぁ、と漏れた溜息に、レイは顔をしかめて、それから組んでいた足を戻した。

「……すまなかったな。騙していて。」
「それはっ、別に…」
怒っていると、思われただろうか。そのことを気にしているわけじゃないと言えば嘘になるけど…、でもそのことを責めているわけじゃない。
じゃあ何をそんなに?と問いたげな瞳に、うっ、と詰まる。
「〜〜っ、なんで男のフリしてたわけ?」


「……今は、言えない。」
また、すまない。と言ったレイ。謝ってほしいわけじゃないんだけど。てゆうか違うんだ。繋ぎ、というかそれが今最も気にしていることではない。まぁ…気にはなる。なるけども…。

「じゃあさ…」
「なんだ」
「部屋替えないの?」
はい、コレです。コレが一番今聞きたいこと。

「は?」
「駄目だろ!俺は男でレイは、その…女の子なんだから」
レイは女の子。なんだか口に出したらよりその事実が突き付けられたようで、この空間に2人っきりなのが妙に緊張した。

「………。気にしなくていい。今まで通り接してくれたら嬉しいし、それが無理なら会話は最小限に抑えよう。」
「そうじゃなくて!」
「…?、どちらにしろ空いている部屋がない。」

「ルナたちんとこ入れてもらうとか…」
「2人部屋じゃないか。ベッドが足りない。」
「でっ、でもっ!!」

「そんなに嫌なら、アスランに頼んでみる。」
「へ?」

「アスランの使っている部屋なら、たしか空きのベッドがあった気がする。…それでいいか?」

「………、いっ、いいわけあるか!アスランだって男じゃないか!」
「はぁ?」
「だから、俺が言いたいのは…、その…、ム、ムラムラしちゃってだな、その…」
「むらむら?」
「おっ、襲われるかもしんないだろ!!」
「………」
「………」

「シンは俺を襲うかもしれないと。」
「あっ、いや…」
「アスランも危険だと、そう言いたいのか」
「……あ〜、まぁ、そんなとこ、かな…」

「お前が堪えればすむことだ。第一、本当に俺とどうにかなりたいと思うのか?」
「え?」

「ついさっきまで男だと思ってたんだろ?急に変わるものか」
「…だって、」
「だって?」
「おっぱいあるし…」



「………。バラしたのだから隠す必要がないだろ」
「意識しちゃうじゃん」
「……ならまた巻こうか」
「もう遅い気がする」
「………」
「………」

「安心しろ。全力でぶっ飛ばしてやる。」
「ひでーよ」
「とにかく、部屋替えのことは艦長に言っておくから、今日はこのままでいいか?」
「………」
仕方がない。最後の妥協だ、とでも言いたげな提案。
でも納得いかない。俺はレイのためを思って言ってるのにさっぱり自覚がないんだから。

「俺を女と思わなければいい。」
「無理だって」
「俺は俺、なんだろ?性別なんて関係ないと言ったのはシンじゃないか」
「う"っ」
「女だから、とか言われたくない。」
「それはっ、……ごめん。
……でも、なんだろ、こんなのお前が男のときは思わなかったんだぞ!?」
「なにが」
「なんか…いい匂いするなーとか、触ってみたいなー、とか…」
「…そんなことを思ってるのか」
「あ……。っちがう!!なし、今のなし!!」
「………」
「ちょ、レイ…黙んなよ!なしだって、今のは!」

「シンなら…いい。」
「……へ?」
「そういう風に思うのは、私に好意があるからだろ?」
「ぇえ!?好意!?」
「違うか?私のこと、好きじゃないか?」
「ま、待てよ、話が飛躍して…」
「私はずっと…シンが好きだった」
「はぁぁぁああぁ!?」
「迷惑か?」
「そそそそんなことは…」
「シンが私に触れたいと思ってくれるのは…、嬉しい。」
「ぅえ!?あ、待って」
「シン…」

ゆっくりと近づく顔。伏せられた瞼。態勢的にキスしかあり得ない。
ふっくらとした桜色の唇が、触れるのを待つように控えめに突き出ている。

ままままま待ってよ、まだ心の準備が…!!というか俺は別にレイとキスしたいとかおおお、思ってない、し!

お、おおお思ってないし!


一体どれほど経っただろうか。フリーズしていたのは長いようで短かったのか…。
レイがパチッと目を開いた。

「で、どう思った?」
「……え」
「このままキスをしてもいいと思ったか、男だと思ってた奴といきなりこんなの無理か。」
「え…なに、コレ」
「ひと芝居打ってみた。」
「レイ…」
「どうだったんだ?」


「っ教えねーよ!!」


俺の純情弄ばれた!!!









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