[携帯モード] [URL送信]
4



ノーテク、そう言った瞬間、レイの指の動きが止まり、ガルデが「あぁあ、怒らせちゃった。」と額に手を当てていた。
だが、無意識とはいえ俺が言った言葉は本心だ。
あんな媚薬効果満点のヒモロギを使われれば誰だって前後不覚になるほどイって当たり前だ。

ガルデの一言は気になるが、俺は初めてレイを言い包めてやったぞと勝ち誇った気になっていた。
そう、レイは俺から指を抜き、顔は色を失い、呆然としていた。
俺は心の底からざまーみろと悪態を尽き、したり顔で見下ろしてやった。
(まぁ、実際は見下ろされているのは俺の方だけどな。)

しかし、俺の優位な立場はその僅かな時間だけだった。
そして、その終わりは俺の地獄の始まりだった。

フリーズしていたレイは、ぜんまい仕掛のオモチャのように不自然な動きで視線を俺に合わせたかと思うと肩を痛いくらいに掴んできた。

「ぃって!痛てぇ!痛いって!コノヤロー!」

普段は飛び出て尖っている黒い爪も俺に触れる時は必ず引っ込めているのに、今は少しだけ尖った先が肩に食い込んで痛む。
だが、レイは俺の叫びなど聞こえていないのか、光を宿していない新緑の瞳で俺を睨んできた。
はっきり言って、今まで俺はレイに怒りをぶつけられた事がない。
セックスの最中は鬼畜ですかあんた、ってくらい攻めてくる奴だけど、それ以外は俺に甘々で自信に溢れた表情で笑ってる所しか知らない。
だが、今、レイは明らかに俺に怒っている。
その証拠に肩は爪で若干抉られ血が滲み始めているし、レイの眉間は青筋だらけだ。筋肉質な身体だから余計に血管が浮いて見えて超怖い。
そして、何より男前が無口で渾身の睨みを効かせてきたのだ。その纏うオーラが負過ぎてマジで怖い。

「…お、おい?」
俺が恐る恐る声を掛けると、レイは俺の腕を引っ張りながら、俺の事などお構いなしの速度でズカズカと洞窟の奥へと進んでいく。
半ば引き摺られるようにして奥の寝具に辿り着くと、力強く引かれた腕にバランスを崩し、その身体をドンと押されて背中から思い切り倒れてしまった。

「ぐっ…」

一瞬呼吸ができなくなり、苦しんでいる俺に向かってレイがようやく口を開く。

「お前が私との交尾に不満を抱いていたとはな。身籠っている我が妃にストレスなど与えては子にも影響が出てくるだろうな。夫として、王としてもここはしっかり挽回せねばな。」

いうと同時に口だけ笑って俺に押しかかってきた。


「あ〜あぁ。ハジメってバカよね。犯されたい願望でもなければわざわざ獣王様の地雷踏まないわよね。」
ほ〜んとうバカね。そう言うと、この場で唯一俺を助けてくれる人物は光の中へと去っていった。





[*前へ][次へ#]

4/9ページ

[戻る]


あきゅろす。
[小説ナビ|小説大賞]
無料HPエムペ!