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非日常、によく似た日常(誠凛)



「ハルカーっ!」

「わあっ!?」

突然後ろから抱き締められて、吃驚して振り返れば其処には同じバスケ部のリコちゃんが居た。
あ、同じって言ってもリコちゃんは監督で私はマネージャーなんだけど。

「ど、どうしたんですか?」

「一緒に体育館行こうと思って!」

「……うん!」

わざわざ抱き着く必要があるのかは判んないけどとりあえず、手を取られて体育館に向かった。

「あ、美島ー」

「何ですか?キャプテン」

あ、流石キャプテン着替えるの早いな。

「次の試合の事なんだけど、ここさ…」

「…あ、はい、判りました。じゃあ資料集めてきます」

「ん、美島は仕事が早くて助かるよ」

「そんな…でも、ありがとうございます」

その言葉遣いはやっぱり仕様なのか?と首をかしげるキャプテン。癖みたいなものですよって言ったら頭を撫でられた。
同い年な筈なのに私より全然手が大きい。
バスケやる人の中では大きいとは言われないけど、実際平均より大きいですよね。


「あ、美島ー」

「あ、伊月くん!風邪治ったんですか?」

「うん!ありがとな昨日。お見舞いに迄来てくれて」

「いえいえ。伊月くん居ないと面白い事言う人が居なくてつまらないですから」

「美島って本当可愛いよ」

「え、そんな事ないですよ!」

「いーや!可愛いよ、凄い可愛い!」

「や、やめてくださいっ恥ずかしいですっ」

「あっははーでも可愛いのはホントだよ」

「なっ」

伊月くんはヒラヒラ手を振って部室に向かった。何なんでしょうか伊月くんって。あ、優しくていい人なのは知ってますけどね。
伊月くんも大きいとは言われないけど、成人男性で大きくない人ってあの位の身長ですよね。

なんか男の子ってずるい。

(あ)

湿布が後二枚しかない。急いでリコちゃんに一言断って保健室に走る。
今日の練習で誰か怪我したら困りますからねっ。

「あ、マネージャー――!!!」

「小金井くんと水戸部くん!」

「もう練習始まっちゃったぁー!?」

「いいえ、まだです。でも急いだ方が良いかもー」

「わかったぁ!ありがとーっ!!急ごう水戸部ぇっ」

小さく頷いた水戸部くん。あの二人ってすごく仲良いですよね。

「あ!マネージャー!!」

「何ですかー!?」

「一年達ちょっと遅れるってー!!」

「あ、了解ですー!」

振り向き様に言って、二人は走って行った。

強豪のプレイヤーと比べたら確かに見劣りするけど、皆はそれぞれ普通にバスケの好きな男の子。
其処が良い所なんですよね。

やっぱりずるいなあ。

「…(すぐに大きくなっちゃうんだもん)…」

それに、カッコいいし、ね。
そうだ、私も急がなきゃ。


――


(ふー、貰えて良かった)
後でちゃんとお礼言わなきゃ。

「すみませんっ遅くなりましたっ」

「あ、お帰りー」

「すみません。火神くんのせいで遅れました」

「違ぇっ!黒子がっ」

「何言ってるんですか、君が暴れたから遅れたんですよ」

「違ぇえ!黒子が体育自分の分も走れって言…」
「お黙りなさい」

「ちょ、テッちゃん…」

「あ、ハルカさんっ今日もセクハラされませんでしたか?主に先輩方に」

「テッちゃん、先輩方にその言葉遣いは…」


「…ハルカさん、ちょっと」

「え、何ですか…むぐっ」

(ちょ、テッちゃん!皆が見てるんですよ!?)

(公衆の面前でこんな、キキキキスするなんて、は、ずかしいですっ!)


「…ハルカさん可愛いんですからちゃんと気をつけて下さい」

「う、あ、…わか、りました」

でも、何言っても無駄ですから、文句は飲み込みます。
まあヤキモチだって判ってる分良いんですけど。テッちゃんってかなりのヤキモチやきなんですよね。

「あれ。皆さんどうしたんですか?」

「………火神、外走ってきなさい」

「えっ何で俺がっ」

「良いからっ!あと降旗くん達早く着替えて来て!練習再開するわよっ!!」

「「「……はい」」」

「カントク、大丈夫だ」

「日向くん…っ!」


「火神の国を滅ぼそう」

「うん…っ」


「ちょっ何で俺がっ」

「アンタは早く着替えて走って来ーい!!」

「うう……、ちくしょーっ!」



「…ほら、テッちゃんも着替えて来て」

「はい」



非日常、によく似た日常


「…あ、火神くん」

「え、あ、はい」

「ごめんね、本当はテッちゃんを走らせないと駄目なんだけど
(テッちゃんに火神くんと同じ距離走らせたら一日終わっちゃうから)」

「…はい(なるほど)」

「ごめんね、頑張って!」

「…うす」


「あ、火神くん」

「黒子」

「テッちゃん」

「災難ですね。まあ、頑張って」

「…………」

「ちょっテッちゃん…」

「じゃあ僕は練習してますんで」


「………あれの何処が良いんだ?」

「…」




その時美島先輩は首をかしげて困った顔をするだけだったけど、後でちゃんとフォローを入れてた。

(優しくて真面目で誠実な所が良いらしい)





――――――――

逆ハーな短編を書きたいなと思って

つくづく不憫な火神くん

ヒロインと黒子は幼なじみです

(火神の国を滅ぼそうって言うのは緑の国を滅ぼそうから来てます。悪ノの。サーセンw)




まえつぎ

あきゅろす。
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