「結婚しようハルカ!」 「…………え?」 朝練の準備をすべく部室に来た私がおはようって言う前に、 彼が私に言った言葉は、挨拶と遠くかけ離れたものだった。 ………え? 「あれ?」 おかしいな、と首を傾げるクラスメイト兼部活仲間の木吉。 え?おかしいの私? 「は?」 「なに?」 「え、なにって……え?」 「え、駄目?」 あからさまに不安そうになる木吉。 「え、ちょっ…え!?」 え、何これ、何かフラグとか立ってたっけ? そんな素振り今まで全然無かったよね。相変わらず脈無しだってちょっとへこんだのは何時だっけ。あれだ、二週間前。 「何やってんのお前等」 「おはよう日向……」 目の前のバスケ部員はじわじわへこみながら日向の方を見ないで挨拶した。 「あわわわわ!?え!?ちょ、待って!混乱してるだけだから!しょんぼりしないで!!」 「あ、そうなのか?」 ケロリと元気になった。 「何、お前等何やってたの」 「ハルカが俺のプロポーズを断るからへこんでたんだ」 「まだ断ってないしって言うかよくわかんないんだけどっ!」 「俺はお前と結婚したいだけだ!」 「だからそれがわかんないんだってばあ!!」 朝っぱらの部室の中でこんな話をしてて良いのか私たちは! 「……お前等付き合ってたっけ?」 ジリ、と不機嫌そうな顔をする日向。そうだよ日向!まず矛盾点はそこなんだ!だって私達 「え?付き合ってねーよ?」 付き合っても無いんだよ! 「は!?それで突然プロポーズしたのか!?」 「うん」 「…………吃驚した」 うん、今日向吃驚顔してるよ。 「別に部内恋愛禁止とは言わないけど 「そおおおんなの良いいいいいい訳あああああるかあああい!!!」 カントクっ!?」 バキッとドアが倒れた。開くじゃなくて、倒れた。え、嘘!? 「ちょっリコ!?何やってんの!?」 「おはようハルカ。もう大丈夫、今ケダモノ達から救ってあげるからね!」 「ちちちち違うんだよリコ!木吉はともかく日向は悪くないんだよ!」 「覚悟はいいいいかああああ木吉てっっぺい………」 「いいいいいやごめん間違えた!木吉も悪くない!恐いからそのオーラと角引っ込めて!せっかくの可愛い顔が大変だよ!」 我が部のカントクはシュウウウ…と落ち着いて、ぽうっと頬を赤らめた。 「な、なな、何言ってるの、ばか…」 いつもの可愛いリコに戻ってくれた。 「おはよー…ってあれ、何してんの四人ともってドア無いし!え!?」 「おはよう伊月くん」 「今日も空は綺麗だな」 「雨降ってるけどね」 「え、何、どうしたの?」 「伊月今日も寝癖着いてねーな、すげーよお前」 「うん、ありがとう」 今、伊月が、あー、こいつだ、って顔をした。ように見えた。 …………… 数分間掛けての事情聴取を受けてたら部員がほとんど揃ってしまった。あと居ないのはコガだけだ。こんな事より朝練やろうよって言いたいのに言えない。原因が私と木吉にあるから。 て言うか主に木吉に。 「……じゃあ先輩」 「わあっ!?」 正座して聞いていた一年の一人が挙手して口を挟む。一年の一人、黒子だ。 「部内恋愛禁止と言う事で決定する他に無いんじゃないですか?」 そしてズバリ言った。 あからさまに二年は嫌な顔をした。私は含んで水戸部は抜いて。 一年は二人以外プルプルしてるけど。 そんな事したらせっかく両想いかもしれないのに付き合えない。はっきり言って嫌だ。高校生にもなって部内恋愛禁止とか、無い。無理。 「それが嫌なら道は一つですよね 木吉先輩と美島先輩が付き合えば良いんですから」 「それは無理!反対!絶対反対!!」 さっきドアを壊した張本人は拳を作った右手を振り回す。 「じゃあ部内恋愛禁止ですよ」 「うっ…!(それもそれで困るかも…)」 「他に異論は?」 ドアの崩壊した私たちの神聖なる部室は、とにかく静まり返っていた。 「……では、決定です。木吉先輩、美島先輩、おめでとうございます」 テンションの低めな拍手が鳴り響いた。木吉だけやたら跳び跳ねてる。 いや、ちゃんと、私も嬉しいからね。 結婚しよう! 保証の無い優しい契約 「おい、良いのか黒子。お前だって少なからずハルカの事好きなんじゃないのかよ」 「好きですよ、だから言いました。 お付き合い、と」 「あー、言ってたね、確かに」 「落ち着いてれば、まだチャンスがあるんですよ」 「わあ……」 「なるほどねー」 「あ、コガ」 「ごめーん寝坊したー」 ――――――― gdgdですね^^ なんで突然結婚ネタなのかは、ヒミツですw . まえつぎ |