見透かされるのが怖い
ああ、怖い。
どうしようもなく、ただただ怖いのだ。
それを、心の中に押し込めてみるが。
いつか、溢れてしまうのではないかと。
あなたに、見透かされるのが、
(怖いよ)
「*****」
なにか、音を発したあなた。
なにかは、わからないが。
(わからない?そんなはずは)
まるでそこだけ、すっぽり落としたかのように。わからない。聞こえない?感じられない?その一瞬だけ世界が欠落したような。
ねえねえ、わからないから、怖いの?
誰かからの問いかけ。
(さあ、どうだか。)
何が、怖いのか、それすらわからなくなってしまった今。
それはそれは可笑しいね。
「ん……どうかした?」
「あ………いや、なんでも……ない…です。」
ははっ。
なんでもないわけない。
私はこんなにも、恐れているじゃない。
恋人であるあなたを。
まだ付き合い始めて数日のある日。暖かい日差しの下で繰り広げた、私の不安の吐露とあなたからの気休め。
「高校生とか、そういうのは、気にしてないけどね。俺は。」
「………もしかしなくても笹塚さんってロリコ「ん?え??そうなっちゃう?いや、まあね。最初は自分でもそうなのかなって思ったんだけど、どうやら違うらしい。」
「違う、らしい?」
「うん。俺さ、君以外の高校生には欲情出来なかったんだよね。」
「おー。それ言っちゃいますか。」
「まあまあ。ようはさ、君だから好きってわけで。ね?これ、ロリコンじゃないよね?」
「うーん…………。
どうなんでしょう?
ただ一つだけ言えるのは、白ではなく限りなくグレーって事だけですね。」
「……ははははー。」
「(なんて切ない笑い方………)」
「……………。」
「笹塚さん………私…思ったんですけど…………私が、私がもっと生まれるのが早「もっと俺が遅く生まれてればなんの問題もなかったんだよね。」
「……………!」
「ごめんね?」
にこり。
「………笹塚さん。」
「ん?」
「ありがとう、ございます。」
「いえいえ。」
たったそれだけで。
私は、救われたのだ。
(そうなの?)
今でも鮮明に思い出せるよ。
付き合い始めてすぐのあの会話、あの笑顔。
あの微笑みは私から醜い感情を消し去るのに充分だった。
不安、なんてなくなったと思ったよ。
確かにあなたからの愛を感じられたから。
そう、愛されていると思い込んでいただけのあの頃。
実際は、欲しい欲しいと強請るだけで。
一方通行を嘆く。
「俺、何かしたかな。」
「………え?」
「最近、君の様子がおかしいから。」
「そ……そんなことないですよ。気のせいじゃないですか?」
「恋人なのに、遠い。
目に見えない距離だけど、確かに、君が遠くなった。」
「…………ごめんなさい。」
「……………」
「ごめ…んなさい。」
「…………違う。謝ってほしかったわけじゃない。そういう事じゃないんだ。」
「…………じゃあ…どうすれば………。」
「別に心当たりがないのなら、いいんだ。俺の……ただの考えすぎかもしれないしさ。」
「(考えすぎ、ね。)」
「とりあえず、俺は信じてるよ。君を。」
「(……誰を?)」
「「わからない」」
同時に浮かんだ単語。
まるでそれは、雪解け水のように留まる事を知らず。
そして、異なるのだ。
訪れるはずの季節は。
「わからない…よ…。」
(あなたの視線の先にいるのは私なのかそれとも他の誰かなのか)
(他の誰かを私に重ねているんじゃないかと)
(あなたは悪くない)
(わたしも悪くない)
ああああああ、
不安不安不安不安。
押しつぶされそうだ。
「たまらなく、怖い」
あなたの全てを疑っている私がいる事を
(だって、あなたは信じているんでしょ?こんな偽りに塗り固められただけの私を。)
浅はかだと、思う。
(ああ。高校生だからって、なめてるんですかね?)
でも、恐怖を抱く。
(何かが、狂った)
見透かされるのが怖い
心中の醜い葛藤を。
(あなたは、私の名前を呼ばないから)
本当は聞いて確かめたい。でも聞けない。
だって、聞いたら、全て崩壊しそうなんだ。
「あなたは、私を心から愛していますか。」
(そんなの、決まってるじゃないか。)
「******」
何度も何度も、
君の名前を呼ぶ俺に。
いつか、気付いてくれるのだろうか?
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