王子は姫を守るもの
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「じゃんけん、ぽん!」
蒼汰がパー。
杉浦、賀川、山吉、そして黒羽はチョキだった。
「はい、じゃあ蒼汰が今日は荷物持ちな!」
次々と渡されるランドセルに戸惑いつつも、蒼汰は不器用な笑顔を貼り付けてそれらを受け取った。
今日の掃除時間に、杉浦から帰りのじゃんけんで出す順番を書かれた紙を渡された。
なるほど、今までこうして自分が荷物持ちになるよう仕組まれていたのかと納得した。
そして同時に荷物持ち役が蒼汰に替わったことも悟った。
「いいか、絶対に間違えるなよ」
杉浦がにやにやと笑いながら念を押した。
黒羽はただ頷くことしかできず、自分の不甲斐なさに対する苛立ちを渡された紙を握りつぶすことで紛らわした。
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