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勘違いは正せない
8

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ある日、芹沢さんに呼び出された。
互いに連絡先を交換はしているものの、こうして呼び出されることは初めてだった。
僕らは話や気は合うものの、年齢の差もあり友達というほど気軽な関係ではなく、偶然校内で会えば話す程度だ。
だからこうして連絡を取って会うのは初めてで、嬉しくもあり、少しの緊張もあった。
呼び出された場所は、大学から離れた場所にある寂びれた喫茶店で、店に着いた時、芹沢さん以外に知っている人はいなかった。
芹沢さんに挨拶をして、彼の前の席に腰を下ろす。

「こんにちは」
「すまない、急に呼び出して」
「いいえ、別に構いません。それに芹沢さんに呼び出されて実は嬉しいです」

本心からそう言うと、なぜか彼は気まずげな表情を浮かべ顔を俯いてしまった。
その反応に自分が結構恥ずかしいことを言ったことに気付いた。
こちらもなんだか気まずくなり、曖昧な笑みを浮かべ話を進めた。

「ところでどうしたんですか? こうして連絡とって会うことってなかなかないから少し驚きました」
「実は、今日は樫原に確かめたいことがあって呼び出したんだ」
「確かめたいこと、ですか?」

芹沢さんの口調は固く、いつもに増して真面目なものだったので、僕の方も緊張し始めた。

「実は藤堂から一昨日メールが来て……」

そこで言葉を切って芹沢さんは言い淀んだ。
彼のその様子や藤堂の名前に、嫌な予感がこめかみを伝う。
芹沢さんは意を決したように息を吸って僕の目を真っ直ぐ見た。

「樫原と自分は付き合っているって言うんだ。だから邪魔をするなとか言い出して、しかも証拠といって樫原の、その……裸の画像を送って来たりして……」

ごくりと息を呑む。
どうしよう……。
まさか藤堂がそんなことをするなんて……。
彼の普段の非常識さを考えればまぁ考えられないことではないが、それでもそんな面倒なことを彼がするなんて想像もしていなかった。
藤堂のでたらめの妄想だと言いたかったが、証拠画像を送られているのだから言い逃れはできない。
でも尊敬する芹沢さんに気持ち悪がられたくなかった。
どう答えるのいいのか思いあぐねる。
だが、長い沈黙は肯定でしかない。

「……やっぱり本当なんだな」

芹沢さんが落胆の声で言った。
何か弁解したいが、都合のいい言い訳も思いつかず口噤んでいると、突然、芹沢さんが頭を下げた。

「……っ、すまない! 俺が不甲斐ないばかりにっ!」
「……え?」

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あきゅろす。
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