タナトスの恋人
ざばざばと赤い海をさまよう。
「カヲル君…カヲル君」
この海の色は君の血の色?
それとも痛む僕の心臓から流れた血の色?
ああ、苦しいよ。
君がいなくて、狂ってしまいそう。
ざばざば、水を掻き分けて探す。
カヲル君、カヲル君。
ねぇわかったんだよ。
君は僕を好きだと言った。
僕も同じだったの。
君と同じだったの。
ごと、
足が何かを蹴飛ばして、慌てて顔ごと海に突っ込んでそれを探す。
水の流れに銀髪が揺れていた。それをしっかりと掴んで引き上げる。
ざばっ、
「カヲル君、みぃーつけた」
これでずっと一緒にいられるね。
君の首を抱きしめて僕は笑った。
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