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ストーカー モブガイ ガイ
それはまるで、灼熱の棒で串刺しにされたような衝撃だった。

一瞬で意識が覚醒する。激痛など生やさしいものではなかった。
目を開けても、生理的な涙がボロボロと後から後から溢れて視界が揺らいでいる。
悲鳴が喉から迸るが、舌が痺れているせいで口がひらきっぱなしになる。
身体がきしむ音がする。ギチギチと肉が引き攣られながら、割り開かれるような、いったい何が。
身体を捻って逃れようにも、足は何かで固定されているようで、両手も頭上で縄かなにかで縛られているようだ。
自由のきかない身体だが、それでも腰をうかせてこの痛みから逃れようとすると、頭上から見知らぬ男の声が降りてくる。
「あ、あ、き、きもち、いい。ガイさん、いや、ガイ。痛いくらいにしめつけて、そ、そんなに僕を離したくないんだね」
はあはあとせわしない熱い息がかかる。
なにかが、体内にねじりこまれている。
「ああっ、アーッ…」
舌は痺れ言葉にならない。
何かが覆いかぶさってきて、ひらきっぱなしの口にぬめった舌がねじ込まれる。
と、同時に腹の奥が熱くなる。
ふーふーっと荒い息をかけながら、男は俺の口内をぴちゃぴちゃと音を立てて舐め回す。
しびれる舌をひっこめようとしても追いかけてきて絡めてくる。口内をあますところなく舐め尽くして満足したのか、ようやく離れてくれた。
気持ち悪さと下半身の痛みで涙が溢れ出す。
「も、もう、出ちゃったよ。き、もちいいから」
何を出したなど聞きたくはない。早く俺からどいてくれ。
そう願う俺の耳にとんでもない言葉がはいってくる。
「でも、まだ堅いまま、だから、だ、大丈夫」
ひっと身体が震えるのが自分でもわかった。
ずきずきと鈍痛のする思考をフル回転させる。瞬きをして瞳にたまった涙を流すと視界はクリアになる。
見知らぬ若い気弱なそうな男、背は柔らかな感触、おそらく上質のベッドだ。
腕はきつく縛られて動く事すら出来ず、足はテープで何重にも巻かれているようで、みっともなく足を広げている形になっている。
上半身はシャツを、羽織っただけ。下半身は……考えたくないが全て取り払われ、男の性器をねじ込まれているようだ。しかもあんな場所に。
その箇所が熱く鋭い痛みを訴えている。先程腹に感じた熱さは、逃避したいが、精液だ。
離せ、とかなえられない事を紡ごうとするが、口は「あー、」と言葉にすらならない。
譜業屋を出たところで、ゴロツキ達に囲まれて、防衛しながらその場を去ろうとした時、何か薬品を含ませたもので顔を塞がれた。
咄嗟のことで鼻にツンと刺激するそれを思い切り吸い込んでしまい、視界がぐらつくと同時に、倒れこんだ。
倒れこんだ俺の頭上で、男どもが「手こずらせやがって」と吐き捨てたところで意識は途切れた。
そして目覚めれば、男が俺の上にのっかかって犯している。夢だとは思いたいが、そうもいかないらしい。
男は忌々しくも、また腰を揺さぶり始めたからだ。

自由にならない身体を散々嬲られ続けた。
意識が飛びそうになるが、そのたびに遠慮のない抽送が強引に引き戻す。
がむしゃらというのが当てはまるように、ただ己の快楽だけを追求するように腰を激しく打ち付ける。
何度も精を放たれ、圧迫感が増し、頭痛と酷い吐き気に襲われる。
男は、あまりに意味不明な言動を俺に投げかける。
理解不能なその言動は恐怖以外のなにものでもない。
終いには、俺の口に指を突っ込み気持ち悪い妄想を一方的に語り始めた。
こみ上げる嘔吐感は止まらない。
気持ち悪い。目の前の気弱なこの男が心底気持ち悪い。
「お、まえ、誰だ」となんとかわななく口が言葉を発すると、男はさっと顔色を憤怒の色に染め上げた。
首をぎゅぎゅう締められている。
どこにそんな力が、と思う程に容赦ない力だった。
息が苦しくなり、耳鳴りが響き、どんどん視界が狭まっていく。
その時、う、と呻く声がすると、拘束する手が弱まりどさりと男が覆いかぶさってくる。



「災難だったな」
降りてくる低音は馴染みのある声だった。
けほけほっと咳き込みながら、じわじわと視界が戻ってくる。
災難、と軽く片付ける男に八つ当たり気味に嫌味の一つをいいたいが、それすらも出来ないようだ。
腕の拘束を剣でとき、足に巻きついたテープを丁寧に剥がしてくれた。
「あまりに戻りが遅いので、ペールギュント殿が心配されてな。
幸いにも譜業屋の店主がお前が男どもに絡まれていたと、目撃していたので話は早かった。
酒場で景気よく金をつかっているゴロツキ共を締め上げて、この場を突き止めたというわけだ」
よくここがわかったな、と問いかける前に、これ以上質問を重ねる必要もない説明をされる。
「しかし、これはまた…」
ヴァンの声につられ、仰ぎ見ると、そこには壁全てに俺の写真が貼られてあった。
視線が合っていないので、隠し撮りをされていたようだが。これだけの枚数をどこで。
並々ならぬ執念をそこに感じ、背をぞっと震わせる。
「……見覚えはあるのか」
驚きに目を見張ったまま事切れている男の顔を凝視する。
記憶をさぐってみる。どこかで………。
欠片さえ見いだせず、頭を振る。

「いや、全然知らない男だ」




助けにくるのをいろいろパターン考えても、屋敷時代なら一番動けるのがヴァンでした。
旅先ならまた全然違う展開だろうけど。

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あきゅろす。
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