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51215 二人とも幸せなルクガイ 後編
ふと気づけばもう宿屋の前まできていた。
とりあえず荷物は自分たちの部屋に運ぼうとルークが扉をあけると、ベットの上に予期せぬ人物がいた。
本日の同室者のガイであった。
「へ?なんでお前いんの?」
脇にかかえていた紙袋2つをテーブルの上に置きながらそう声をかける。
この街で譜業観光なんてしたら、夕飯時になっても戻ってこないだろうとルークは予想していたからだ。
ベッドの上に横臥しているガイは返事から返事はない。
「もしかして昼寝?」
ひとりごちると、ベッドの側面に回ってガイの顔をのぞきこむ。
寝ている。
だが、様子がおかしい。のぼせたように顔を赤くしている。
もしや発熱?と慌ててグローブを外して額に手をあてる。
その感触に、ガイの金の睫毛で縁取られた瞼がゆっくりとあがる。
「ルー…く?」
囁く声とともに吐かれた息は、妙に熱く、そしてとある香りが含まれている。
ゆっくりと体を起こすガイはまだ意識は完全に覚醒していないようだ。
しゃーねーな、とルークは小さく零すと、水を用意しようと踵を返す。
だが、腕をぐいっと掴まれ、足を止める。
肩越しに振り返ると、困ったように眉根を寄せて、こちらを見上げるガイと視線がぶつかる。
「んだよ、酔っぱらい」
揶揄するように言うと、今度は参ったなというように眉尻を下げガイは微笑む。
「ちょっと呑んだだけなんだけどな。思った以上に酔いが回るのが早かったみたいだな」
頬は上気しているが、しっかりとした受け答えは出来るようだ。
「珍しいな、ガイが酒にのまれるなんてさ」
お酒はハタチになってから。
とは言うものの、ガイは年上の使用人達に囲まれて長く生活してきたせいか、「男なら飲め飲め」と年齢にはるかに達してないときから強引に付き合わされていた。
その英才教育のため成人する頃には、数本あけても顔色も変えないうわばみへと成長を遂げた。
強引に付き合わされて呑むことが多かったためか、ガイから率先して酒を飲もうとはしない。誘われればとことん付き合うというスタンスではある。
そのガイが昼間から酒を飲んで、ほろよいとなってベッドのうえで微睡むというのはかなり珍しいことだ。
「嬉しいのに寂しくて、飲みたかったんだ」
その言葉にルークは目を瞬かせる。
「嬉しいけど寂しいし、寂しいがいっぱいになって嬉しい感情が入る隙間がないんだ。困ったもんだよ」
は?と思わず聞き返すが、ガイの耳に届いているのかどうか。
熱くなった頬を自らの掌でさすりながら
「だからな、寂しいけど嬉しい…って思わないといけないんだよ、俺は。なのにお前の成長を素直に喜べないでいるしな」
ルークは監禁生活が長く、酒による醜態をみせる者など周囲にはいなかったため、今はじめて「酔っぱらいの言動に筋道などない」事を知る。
これは意味を導かないとだめなのか、と、ガイの言動を振り返って考える。
寂しいけど嬉しいと思わないといけない?成長を喜ぶ……あれ、成長っていえば…
「それってヤキモチじゃねえの」
わざとふざけながらルークが言うと、ガイは真顔になる。だが、数秒後、ぱっと顔を輝かせる。
「そっか、ヤキモチか。アニスみたいな小さな女の子に恥ずかしいなあ」
と快活に笑ってみせる。
その様子にルークは思わずぷ、と吹き出す。
なんだよ、俺は「ヤキモチやいて俺って子供っぽい」とか「俺の好きとガイの好きは違うのかな」ってモヤモヤしてたのに。
モヤモヤ損じゃないか。
4つ年上のガイはいつも俺の先を行ってて、大人だと思っていた。実際大人なんだけど、でもこんな俺でもわかる事がわからなくて逃避で酒なんて飲んじゃって。


「俺も寂しかった。やっぱりガイがそばにいないと寂しい」
「そっか、俺もだ」
素直に思いを告げると、いつもとは違う子供っぽい笑顔と共に嬉しくて胸がいっぱいになる言葉を返してくる。
当然のように手が重ねられて、それから上体を屈めてベッドの上に座ったままのガイにくちづける。
初めは重ねるだけ。だが何度も繰り返していくうちに角度を変え、深くなっていく。
いつもよりも口内は熱く、絡めとる舌はアルコールの味がする。
「ん……っ…」
舌をきつく吸いあげると、重ねていた手がびくりと震える。
ルークの手の下から脱したガイの手は、その先を承諾するように、ルークの手の甲を撫でる。
宿屋の窓から差し込む日はまだ高く、普段のガイならばそれ以上誘うことはしないだろうし、ルークがそれ以上を望めば眉をひそめてきっぱりと跳ねつけるであろう。
酔いというには、理性とか常識やその他諸々の煩わしい事をすっ飛ばしてくれる効果もあるのか、すごいな!、と頭の隅でルークはしなくてもよい感嘆の念をアルコールに向けていた。
酔っぱらい最高、アルコール最高、と胸の中で褒め称えながら、せっかくの機会を逃すはずもなく、ガイの頬や耳たぶや首筋を優しくいたわるように唇でなぞる。
性急にならぬように注意を払いながら、肩を押してそのままガイの背をベットに縫いつける。
ベストの前を剥ぎ、それからシャツのボタンを一つずつ外していく。
露になった肌に、誘われるように唇を這わす。
いつもは薄明かりの中、もしくは月光の乏しいあかりでしか晒されない肌に、ルークは新鮮な気持ちになる。
アルコールのせいで、普段よりも火照った身体に唇を滑らせて感触を楽しむ。
胸の小さな突起を舌先でちろちろと舐めると、「あ…ンッ……ぁっ……ぅ」と艷めいた反応がルークの鼓膜を震わせる。
いつもならば手の甲を口に押し当て喘ぐ声を噛み殺すガイだが、今日は素直に快楽を享受している。
濡れた舌で舐められて、乳首は硬くなりたちあがってくる。
乳輪をなぞるように円を描くように舌を回し、それから赤くなった突起を唇で優しく食む。
「…んっ…」
身体を小さく震わせ、切なげな吐息をつく。
今日のガイはぎゅっと目をかたく瞑る事もなく、声を殺すために口に手の甲を押し当てたりはしていない。
だからルークが甘噛みしたまま舌先で突起をねぶると
「アッ、アッ…、んッ、あぁ…、はぁ、ッツ」
甘い反応がかえってきて、ルークの情欲をますます煽る。
掌でガイの太ももの付け根を撫で回すと、びくびくと腰を震わせる。
衣服越しに兆しをみせはじめた性器を撫でると「ふ…、ンッ」蒼い瞳を潤ませながら、その先の刺激を乞うようにガイの手がルークの背に回される。
スパッツの中に手を入れ、直に握れば、頭を振って嬌声をあげる。
薄い皮膚を押し上げるように浮きだした血管を親指の腹で押すと、びくりと反応する。
「気持ちいい?」
普段ならこんな問いかけをした瞬間、頭を叩かれるか、顔をそむけて聞こえない振りをされるのがオチだが、ほろよいのガイはとても素直に応える。
「う……ンッ、…はっ…、いぃ…、気持ち、い…い」
アルコール様、すげえ、ありがとう!と胸の中で酒への礼賛をひと通り済ませると、先端から零れはじめた液のぬめりを利用して上下に扱き始める。
そのたびに切羽詰まった濡れた甘い声がガイの口からひっきりなしにこぼれる。
指腹でぐりぐりと先端を刺激すれば、びくびくと性器は痙攣をする。
恥らって声を押し殺すガイの素直な反応をいつまでも見ていたいのだが、若い性は我慢が出来ない。
「ち、ちょっと待ってろよ」
そうガイに告げると、寝台から慌てておりて、自分のベッド脇に置いた道具袋をがさごそと漁りだす。
あー、なんか俺カッコつかねえ、と落胆しつつも道具袋の奥の奥に仕舞い込んでいたローションをようやく手に取る。
よしとばかりに振り返れば、頬を紅潮させじっとこちらを潤んだ瞳で見ているガイの視線をかち合う。
わずかに開かれた口からは赤く熟れた舌が見える。
淫靡なその表情に、ルークの箍が外れた。


我慢できずに一気に奥まで差し入れると、「アッ」と短い声と共に組み敷いた身体がびくりと痙攣する。
熱い中が複雑な動きをみせ、互いの腹や胸を熱い粘液が濡らす。
はあはあと荒い息をはくガイの額に唇をおとしながら、きつい締め付けにより一気に駆け上ろうとする快楽をなんとか留める。
達した後の焦点がぼやけた蒼い瞳から零れた水滴をなめる。
呼吸が落ち着くまで動きをとめて、顔のあちこちに口付けを落としていると、もう大丈夫とばかりにそっと腕を撫でられる。
初めはゆっくりと、だが、律動はどんどんと激しさを増す。
ギシギシとベットの軋む音と、ガイの甘い声と、グチュグチュという淫猥な水音が部屋に満たされる。
幾度と無く重ねた関係はどこを突けばガイが背をしならせて悦ぶのかをわかっている。
そこを意識しながら腰を打ち付けると、ガイがルークにきつくしがみつく。
密着した身体で再び熱をもったガイの性器は擦られ、先走りがだらだらと零れ、ますます快楽を押し上げる。
ガイに子供のようにしがみつかれ、ルークはたとえようもない充足感を得、それに押されるように深く奥を抉る。
は、は、と短い息を互いに吐き、汗をぼたぼたと落としながら、同時に達した。





ぐううううう、と腹の虫の鳴る音でルークの意識は覚醒する。
あのまま眠ってしまったようだ。身体を起こして目をこすり部屋を見渡す。
夕暮れに染まった部屋の扉の前で、すでに衣服を整えたガイが膝を抱えて床に座り込んでいる。
「ガイ?」
名を呼ぶと膝に顔をつけたままこちらを振り返ろうともしない。
仕方ないのでベッドから下りて近づくと、顔をあげることなく紙をこちらに差し出す。
それを受け取ると、そこには見覚えのある字で「荷物とりにきたけどおじゃまみたいだからまた明日取りに来るね☆ でも時間帯考えないとアニスちゃん困っちゃうな」と綴られていた。
「え、えーと、ガイ」
「……もう、酒なんて、絶対飲まない」
「エエー!なんで!お酒様が泣くぞ!」
「なんで酒に様付けしてんだ。それに泣きたいのはこっちの方だ」
「よし、泣きたいなら俺の胸貸してやる!ほら、来い」
だが、ガイは顔をあげることなく膝を抱えたまましくしくと泣き始めた。




キツツキ様から51215キリリクをいただきました
「ルクガイで二人とも幸せなR18」
また色々とはずしてしまっています。すみません。
でも大好きなルクガイを書けて幸せでした。素敵なリクエストをありがとうございました。


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