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50000 公爵ガイ 女装 裏 後編

部屋に入った公爵はまず床に放り出されたヘッドドレスを無言で拾い上げると、浴室へと続く開かれた扉に視線を向ける。
音もなくその扉に近づくと、懸命に背に手を回しているガイの姿があった。
身体を捻るたびにバサバサとレースのついた裾がゆれている。
シュザンヌからこのアドバイスを受けた時、公爵はさすがに半信半疑であった。
だが実際目の当たりしてみれば、シュザンヌの助言の確かさに公爵は舌を巻いた。
彼のためにあつらえたメイド服は、なだらかな曲線を描いて彼の身体を普段より隠しているのに、誘うような色香が漂っている。
それを脱ごうとするのはもったいない事を。
そう思い公爵は「何をしている」と声をかけた。
掛けられたガイは、ビクっと飛び上がる。だが一呼吸おくと、眦を決して公爵に噛み付く。
「これはどういう事ですか」
「これ、とは何を指しているのだ」
地団駄を踏む勢いでスカートの裾を持ち上げると
「この趣味の悪い女装強要についてです」と叫んだ。
「あの風体ではあるが、その種の者たちから絶大なる信頼を得ているプロ中のプロという触れ込みであったが。それを趣味が悪いと?」
「残念ながら私にその手の趣味嗜好は全くございません。その趣味の良し悪しすら考えたくもございません。
旦那様はその方面の造詣が深いのかもしれませんが、あまり誇らしい事とは到底思えませんが」
ガイの言葉に公爵は不快な表情を浮かべるでなく、ふむ、と手を顎に添えて何か思い起こすように翠の瞳を漂わせている。
時間にして数分ほど。沈黙の長さに、さすがに言い過ぎたかと内心構えるガイに、漸く思い至った公爵が
「旦那様ではなくて、その服装の時はご主人様と呼びなさい」とまたガイの怒りを注ぐ命を下した。
「……旦那様、進言させていただくなら、ホモの上に変態で悪趣味なんて救いようが全くありませんよ!!」
「ご主人様、だ」
プツン、とガイの中で何かが切れた。
「じゃ脱ぎます!!脱げば文句ないですよね!
だー、くっそ、女性はどうやって一人で脱ぎ着してるんだ!!」
公爵への最低限の取り繕いもせず、ガイは再び背に手を回してファスナー下ろしに奮闘を始める。
そして公爵は公爵で「脱ぐ」という言葉を自分にとてもとても都合よく受け止めた。
「そうか、もう脱ぐか。仕方ない。では場所を移すとしよう」
先ほどの男同様に、ガイを肩に担ぎ上げる。
「へ、ちょ、ちょ、ちょっと。…………ウワっ、や、やめろおぉぉぉ」
担ぎ上げた事で顔にかかるスカートの裾を公爵がピラリとめくった事で、ガイの口から絶叫が迸った。


*****


直視したくない。
ガイがうっすらと瞳を開く。視界に真っ先に飛び込んできたのは、白いガーターストッキングを履いた己の脚がシーツをもどかしげに蹴っている様子であった。
いつもと違う色。
そしてその薄手の生地は、滑らかなシルクのシーツの感触や、撫で回してくる掌の熱さがよりダイレクトに感じさせる。
「…んっ……ぅ……ふっ…ぁ…」
息を整えてもどかしさを覚える身体をなだめようとするガイの心情を見透かしたように、公爵は服の上から尻肉を掴むと角度を変えて擦るようにゆるりと動かす。
縋るように肩に置いた手に力が篭る。
裸をみせる事に羞恥を感じぬ貴族らしく、常ならば邪魔となる衣服は寝台に上がる前に脱ぎ捨てる公爵である。
だが今日は己の膝の上に乗せているガイに合わせるように、最低限の場所のみ寛げている形である。
公爵の膝の上のガイは当然のように例のメイド服は着せられたままである。
短く刈り取られている金糸には、先程床にガイが投げ、そしてそれを拾い上げた公爵の手によって、再びヘッドドレスを乗せられている。
午後の日差し差し込む部屋の中央に鎮座している寝台の上。
遠目でみればその寝台の上に座る主人にメイドが跨り、肩に顔を埋め、甘えるように、ねだるように抱きついているように見える。
だが近づけばより密着した箇所からは、ヌチュヌチュと小さな水音と、寝台のわずかに軋む音。
そして何かに耐えるように、かみしめた口から漏れる熱い吐息。眉根を切なげに寄せ、うっすらと汗ばんだ頬は色づいている。
対面座位で、奥深くに怒張を埋め込まれている。不本意ながらも馴らされてしまった身体は、苦痛と同時に悦びも感じている。
緩やかな律動に背を震わせ、より強い刺激を貪欲に求めるように腰を揺らめかせている。
「…んっ…、ぁ…、あっ、……ンンッ」
せり上がってくる快楽と、そしてもどかしさにガイは知らず公爵の肩に置いた手に力を籠める。
ガイを愛人として据えて数ヶ月が経過し、公爵もガイの扱いがわかってきた。
理性が蕩けきらぬうちに、快楽に流されそうになっている事を指摘すれば、すぐさま身を捩り激しく抵抗をする。
酷い時など蹴りをいれられたこともあるし、そのまま寝台から逃げ出し浴室に鍵をかけて籠城されたこともある。
ガイはかなりの恥ずかしがり屋なのだな、と都合よく解釈している公爵は、蹴りをいれられてからはガイの些細なサインは見逃さぬように細心の注意は払っている。
肩をぎゅっと掴むガイの願いを叶えるべく、背に手を回す。ファスナーのスライダーに手をかけてゆっくりと下ろす。
背の半ばあたりまで下ろすと、綺麗に隆盛した肩甲骨が目に入る。
公爵は片方の手をつかむと、彼が望んだように服を脱がせた。片方だけ。
訝しげにガイが眉を寄せるより先に、公爵の親指がむき出しになった胸先を擦る。
びくりとガイは震える。
ゆっくりと円を描くように指腹で刺激を加えると、すぐさまガイの吐息は熱さを増していく。
「ふ…っ、ンぅっ……あっ」
感じやすい身体はすぐさま熱を持ち始める。
前面が密着するこの体勢はすぐさまガイの体の変化を公爵に伝える。
指で摘んで捏ねながら、あいた手で勃ちあがった性器をワンピース越しに握りこむ。
「ひっ、や、やめっ、……ああっ」
じわりと先端部分から滲みでた液体で、その部分の布を一層色濃くさせる。
感じやすい身体は、わかりやすく反応を公爵に返してくる。
すこし首をずらし、赤くなった耳たぶに唇を寄せて、ぞろりと舐め上げる。
その刺激にガイはキュっと秘所をきつく締め上げる。
シーツを蹴っていた両脚は、より一層深く繋がろうと公爵の腰を挟んでいる。
公爵の扱く手の動きに合わせ、腰を自ら上下させる。だが、もどかしさだけがガイの中で募っていく。
半分服をはだけた事で晒された鎖骨の窪みを舐められると、「アアッ、やあっ、…はあっ…」とより一層身体を震えさせる。
ぎゅっと目を瞑り、震える声で
「だ、んなさま、……お、ね…ンッ…があッンッ……」
その先をねだる。より一層強い刺激を。最奥を穿つ強く激しい刺激を。
ぐいっとそのまま肩をおされ、背がベッドにあたる。
正常位へと体位は変わったが、ガイの脚は変わらず公爵をきつく挟んだままであった。
ガツガツと思うさまに激しく突かれると、ガイは顔を振り乱してその快楽を享受する。
ばさり、とヘッドドレスの飾りのリボンが顔にあたる。
快楽に蕩けた思考の片隅で、ああ、そういえば、俺、みっともない格好してんだった、と場にそぐわない事を思った。
だがすぐさま、全身を駆け巡る強烈な快楽にその事を忘れさり、ただただそれだけを追い求める。
「はあっ、ああっ、……くっ……ンンッ、あ、あ、あッ」
一気に絶頂へと追い立てられ、白い閃光がまぶたの裏に走った時、ガイは達した。
服の裏地に思い切り白濁液をぶちまけ、肩で荒い息をする。
「あ、や、やめっ、やめっ、ンンッーっ、」
ぐたりとガイが脱力する前に、公爵は構わず腰を激しく打ち付ける。
達したにも関わらず突き上げると、目尻を紅く染め、快楽に蕩けていながらも、咎めるようにキツク睨み上げてくるガイの視線の強さを公爵は好んだ。
つま先をこわばらせびくびくと痙攣し扇動する内部を、より一層深く味わうように腰を打ち付けた。



******

「旦那様、服がありません」
重い体を引きずるようにして浴室に消えたのが半刻前。
バスローブを着用したガイが、不遜にも腕を組んで公爵を睨んでいる。
「服なら用意させているだろう」
くいっと顎で示した方向には、何着もの色違いのメイド服に、看護師服、どこかの学校の女学生の制服がかけられている。
「私の目が確かなら、あれは女性が身につけるもののはずです。旦那様はホモで変態で悪趣味なうえ、視力まで悪くなられましたか」
「きちんとお前用に誂えている」
「………では、あれで終始過ごせと?」
怒りで眉根がどんどん寄せられている。が、公爵は全く気にはしない。
「メイド服の時は『ご主人様』ナース服は『医者(せんせい)』そして制服の時も『先生』と呼びなさい」
「………………い、いい加減にしろおおおおお」
ガイの怒号が屋敷に轟いた。



村瀬さまからのキリ番リクエスト
公爵ガイ 女装 裏あり 
フリリクの公爵ガイのノリで…という村瀬さまの冗談を真に受けて、本当にあの設定で書いてしまいました。
女装と着衣エロは初めてだったのですが、色々生かされずに申し訳ないです。
でも久々に公爵ガイを書いてノリノリでした。楽しかったです。
有難う御座いました。

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あきゅろす。
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