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フリリク第二弾
甘い空気のルクガイ 後編
広いベッドの真ん中で、ガイはルークに跨っている。
ルークの赤い髪を抱え込むようにガイの手が回されている。
見上げる形となっているルークの顔にガイが覆いかぶさるようにしている。
ルークの口腔内を貪るように深く激しい口づけをするガイは酷く切羽詰った様子であった。
焦れたように僅かに腰を揺らすと、くちゅりと淫猥な水音が下半身からも聞こえてくる。
二人の身体が一番密着している、つまりは繋がっている箇所から発せられる音であった。
ガイの奥深くに放たれた精液が潤滑油と混じって淫らな音を立てて鼓膜を震わせて、益々ガイの中に燻る熱を煽ってくる。
もどかしくてたまらない。
ガイの理性は蕩けきっており、快楽だけをおっている。
思考はそれ一色に染まっている。
だからこそ積極的にルークに深く口づけをしている。
自分で動いても思うような快楽は得られずに、蒼い双眸に水の膜をはりながら、どうしていいのかわからずに衝動のままにルークの口内を貪る。
くちゅりと脳に響く水音と、絡まり合う舌の熱さ、漏れる息の甘さに飢餓感は高まっていく一方である。でも思考が蕩けきったガイは他にどうしていいのかわからずにいた。
ルークの手がゆっくりを掲げられ、ガイの髪に差し込まれる。
優しく髪をなでられると、それだけでぞくぞくと背が震え、何度も放ったはずの自らの性器の質量は増し、先端からは先走りが零れ出す。
髪から耳朶へ。ルークの指はガイの頬をなぞっていき、まだ深く合わさっている口の端から零れている唾液をぬぐってやる。
その感覚に、ガイは漸くルークから口を離す。
ルークはガイを見上げて少し笑うと、蒼い瞳から視線を外さずに僅かに顔をずらす。
ガイの二の腕の内側に口を寄せて、軽く歯を立てると、ルークの性器を咥えこんだ箇所がきゅうっと締め上げる。
宥めるように舐めると、身体を震わせて頬は益々上気してくる。
「ぁ、ふっ、ルーク、も、もう、ぃいだろ…」
途切れ途切れの言葉は切羽詰っていて、表情は悲痛な色が濃く差している。
「何が?」
見せつけるように汗ばんだガイの腕を赤い舌で舐めまわしながら問いかける。
「だ、だか…ら…」
言葉に詰まるガイに、くすくすとルークは笑って手の動きを再開する。
喉仏を撫で、鎖骨のくぼみに指を這わせ、先刻まで舐めまわしていたせいで、濡れて立ち上がっている乳首をきゅっと摘まみ上げる。
親指と人差し指でくにくにと捏ねると、ガイの口からは喘ぐ声があがる。
「ひゃ、や、めっ……、ああっ、ルークっ!」
普段の彼からは想像できない程に艷めいた高い声は、僅かに掠れている。
ルークがゆっくりと腰を上下に揺らすと、切なげな声がガイの口から放たれる。
ぎゅっと後ろ髪に回された腕に力が入る。
いやいやと子供のように頭を振るガイがもっと強い刺激を欲していることはルークにはわかっている。
だが切なげに眉根を寄せて耐える姿も、堪え切れずにルークを欲して淫らに、だが恥らいを捨てきれずに僅かに腰を揺らす様子や、ねだろうとして躊躇いわななくだけの濡れた唇や、涙の膜をはった蒼い目が救いを求めて自分だけを映している。
全てがルークを煽ってやまない。
愛しくて愛しくてたまらなくなる。
もっともっと自分だけを求めるガイを見ていたくなる。
強欲だと自嘲する。
まだ髪の短かった頃にガイから欠けていると言われていた自信は、ガイから愛されていると自負する事で身についてきた。
だからこそ手放したくない。身も心も深く刻みこんで、ガイの中を自分だけで満たしたくなる。
「なあ、どうする。このまんま終わる?ガイも疲れてるだろ」
部屋に差す陽はすでに蜂蜜のような色になっている。
ルークは既に三度ガイの中で射精しており、ガイに至ってはその数倍達している。
うっと返答に詰まったガイは視線をルークから外す。恥ずかしがっているからこそ、とわかっていながらも面白くないものが胸に沸き起こる。
胸先を弄っていた手を離すと、そっと胸を撫で回す。わざと乳首に触れぬように動かすと、恨めしげな視線をガイが寄越してくる。
そうそう、そうやって俺だけを見てくれたらいいんだ。
満足気にルークは笑みを深くして、わざと明るく「うっそ」と言うとガイの腰を掴む。


自分の身体の重みによって奥深くまで貫かれていながらも、ルークはわざと動かそうとはせず、せいぜい馴染ませるように軽く揺するだけであった。
何度も達してくたりと力の抜けた身体であったが、快楽は尽きることがなかった。
そんなあさましい身体をガイは恥じる。
息も絶え絶えになりながらも、激しい刺激をもとめている。身体の奥で熱は燻ったままで、じりじりと思考を焼き尽くす。
ルークの手が腰を掴んだ時、ガイは歓喜に震えた。
寝台の揺れを利用して激しく突かれ、ぐちゅぐちゅと内部にたまった精液が掻きだされ、果ては強く腰を掴みぐっと下へと押し付けられながら縦横無尽に突きあげられる。
「や、ああっ、ルーク、あああっ、んあっ、ひゃ、も、ああっ、もう、だめッ!!」
せわしなくあがる嬌声が悲痛な程に切羽詰ったものになった時、背をしならせて、シーツを蹴っていた足の指先を曲げながら、びくびくと身体が不規則に痙攣する。
ぎゅっと痛いほどに根元は絞めつけられ、内部がいやらしげに扇動する。
「あっ、…ああっ……」
びゅくびゅくと、数度にわけてガイの先端から精液が迸る。色も薄く粘度もない。限界はとうに迎えている。
だが、それでもまだ互いが互いを欲している。
小刻みに震えているガイの身体をつながったまま後ろへと押し倒す。ベッドに縫い付けられる格好となったガイの腰を抱えるとルークは容赦なく腰を打ち付ける。
先端まで抜いて、それから一気に根元まで突き入れる。それを幾度となく繰り返す。
肉のぶつかり合う音と、律動の度に零れる淫水の音と、「あっ、あ、っっあ、あ、」また絶頂へと無理やり引き上げられた切羽詰ったガイの嬌声と、はあはあとルークの荒い息が部屋を支配する。
「き、つい?」
ルークの上擦った声が、ガイの鼓膜に届く。
身体は限界を迎えているが、ルークの労る言葉に直ぐ様ガイが小さく頭を振る。
シーツを掴んでいた手を、ルークの首に回す。
小さく微笑むとぐいっと引き寄せ、ルークの頬に唇を寄せる。
僅かにルークの目が開かれ、すぐに幸せそうに細められる。
誘われるようにガイの口に触れるだけのキスを落としていく。
じわり、と幸福が互いの身体を満たしていく。


***********




「ルーク、星が綺麗だぞ」
ガイに誘われてバルコニーへと出る。
ガイの歩き方がぎこちない事にかなり心を痛めつつ、明日は少しばかり自重しようと出来もしない事をルークは決意しながら後に続く。
濃紺の空にいくつもの星が煌々と輝いている。
「すげえ、こっちには星が多いんだな」
感動しているルークに、ガイは優しく笑う。
「正確には『星がよく見える』だ。バチカルの空にもこれと同じくらいの星空があるんだぜ。ただバチカルは夜でも明るいから見えにくくなっているだけで」
ルークにとっては俄には信じがたい言葉であったが、ガイが言うなら真実なのだろう。
「それに今日は月も細いしな」
「へえ」
ルークと同じように星空を仰いだガイは、ふとジェイドの言葉を思い出した。
「そういえば旦那が言ってた。今、見える星はもう存在していない可能性があるって事を」
「は?それどういう意味?」
「星の光はここに届くにはかなりの時間を要しているそうだ。それこそ創世記時代に消滅した星の光が今届いている可能性もあるらしい」
「……なんか壮大すぎてよくわかんねーや」
ルークらしい言葉にガイは微笑んで言葉を続ける。
「今見える星はもう存在しなくても、生きた証を俺達は見ている。そして胸に刻みこむ」
「……そうだな」
ルークの手が明確な意思をもって、強く握りこまれたガイの手に触れる。
ぎゅっと手を握りしめてくるその温度と力強さに、ガイは手を緩めるとルークの手を握り返す。
星を眺めていた視線をゆっくりと互いの顔へとうつし、無言で見つめ合う。
そして。
瞬間、ぎゅるるるっとルークの腹が空腹を主張した。
「おわっ、っと!!」
慌てて腹を抑えるが、時はすでに遅かった。
「夕食あまり作れなかったから腹がへったんだな。夜食何か作ってやろうか?何がいい?……お、おい、ルークどうした」とガイが気遣う声をあげる。
片手でバルコニーの飾りを握りしめ、片手で膝を抱えてルークが座り込んだからだ。
「あー、もー、カッコわりい」
項垂れる赤い髪を宥めるようにガイはなでてやる。
「お前のカッコ悪いところは沢山見ているから今更だろ」
「傷口えぐんな」
「そして俺はそれ以上に沢山お前のカッコイイ所知ってんだから、な」
ほれ、とばかりに目の前に差し出された手を、少しばかりの間をおいてからルークは取る。

ゆっくりと踵を返して幼子をひっぱるように、ガイは振り返らずに先を歩く。キッチンに向かって。
「…………育ち盛りだから仕方ねえよな」
「そうだな」
「しかも自然現象だ。不可抗力だ。俺のせいじゃねえからな」
「わかってるって」
「野菜ものとかやめてくれよ」
「はいはい」
歩く足を早めてガイの横に並び立つ。手は握られたままで。
「……つーか、俺が作る。お前人参摩り下ろすもん」
「ばれたか」
そう言って目を細めて笑うガイに、ルークも笑う。




こうして一日は幸福だけで満たされて終わっていく。




翼たきびさんからリクエストをいただきました「甘い空気のルクガイ」です。
甘い空気?と首を傾げる内容ですが、楽しく書かせて頂きました。
有難うございました。
たきびさんのみお持ち帰り可能です

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