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フリリク第二弾
シンガイ 中編
宿屋の粗末なベッドの上から衣擦れの音と、僅かに漏れる荒い息が絶え間なく聞こえてくる。
シャツを腕に通しただけで、前のボタンは全てはずされている。
何も纏っていない両脚は左右に大きく開かれている。
その付け根には忙しく上下する手が性器を握りこんでいる。
自らを慰める行為のはずだが、ガイの表情は険しく嫌悪に満ちている。
奥歯をきつく噛み締めながら、途切れ途切れに
「ん、な事し、て、たのし、いの、か」と問いかける。
少年はそれを受けてまた笑う。
「まあ、結構楽しいよ」
悪趣味な、とガイは眉根に刻んだ皺を深くしながら胸の内で吐き出す。
右腕に刻まれた傷がどくどくと脈動するたびに思考は鈍くなっていく。
身体が意思に反して望みもしない行為を始めた時は、まさか、とシンクに驚愕の眼差しを向けた。
それを受けてシンクは口角の端を皮肉げにあげて笑ってみせた。
抗おうとすれば強烈な苦痛が全身を駆け抜けた。
辱め、貶めて笑う目の前の少年を胸の内で罵倒しながら、命ずるままに掌を動かす。
自分で行いながらも誰かの手を介しているような不思議で、そして嘔吐を伴う気持ち悪さが纏まり付いてきた。
ガイの髪を掴むと、ぐっと力を篭めて顔を向けさせる。
「あんたも楽しんだら?」
「なに、がっ」
「ちゃんと逃げ場与えてあげてるだろ」
何がだ、と問いかける前に、扉が叩かれて息を呑む。
控えめにたたきながら、周囲と時間を考慮してなのか、いつもより声を落としている。
「ガイ、まだ起きてるか?」
扉の向こうから聞こえる声にガイは身体を硬くする。
シンクも僅かに身じろぐが、鍵に一瞥をくれると早々に余裕を持ち直す。
ぎしり、とベッドを軋ませながら乗り上げると、ガイの耳元に口を寄せる。
「ほら、手が止まってる」
「なっ」
声を潜めながらきつく睨み上げる
申し訳程度の着衣でなければ、意に反して性器を握りこんでいなければ、「お前、バカかっ」と怒鳴っているところだ。
すぐそばにルークがいるんだぞ、と想いをのせるようにきつい視線を向けるが、シンクは全く意に介さない。
「それともあのレプリカに見て欲しいの?じゃ今から僕が大声だしてみようか。
鍵かけても、あいつはドアを蹴破ってきっと助けにきてくれるよ。その時どんな顔するだろう、見物だね」
その言葉に、一瞬心底呆れた顔をみせる。どこまでこの男は悪趣味なんだ。
「ガイ、もう寝た…か?」
弱々しい声が扉越しに聞こえてくる。
ガイは何か言葉を紡ごうとするが、きゅっとかたく結び、息を潜める。
その様子をみてシンクは耳に寄せたままの唇を首筋に移動して吸い上げる。
突然の刺激に「っつ!!」と声が漏れる。
諦めて踵を返そうとしたルークは「ガイ?もしかして起こしたか?」と再度控えめに扉越しに声を掛けてくる。
左手の甲を自らの唇に押し当てて、声を漏らさぬように耐える。
だが、シンクは開かれたシャツに手を這わすと、胸の先を探り当て指の腹でぐりぐりと弄る。
その刺激に身体が跳ね、またベッドがきしむ音を立てる。
「おーい」
呼びかける声に心臓がどくどくと早鐘を打つ。
ルークに少しでも不審に思われてはいけない。だが。
びりびりと電流のような刺激がその箇所から全身を駆け巡る。
触れられて硬く尖った先を指先で弄られると、声が漏れそうになる。
握りこんでいた性器は硬く芯を持ち始めている。
静寂が恐ろしい程長く感じられる。ふうっと諦めたような息が扉越しに聞こえてくる。
そして扉の向こうの気配が薄くなっていくのを、ガイは身のうちに沸き起こる疼きに耐えながら感じていた。
完全にルークの気配を感じなくなると、ほうっと安堵を漏らす。
そして、注意深く小声で
「何考えている」とシンクを睨みつける。
「気が変わった」
そう言うと、シンクはベッドに完全に乗り上げると、ガイの肩をベッドに押し付ける。
「アンタ、経験ないんだよな。確か女性恐怖症なんだろ。その年齢でまだ誰ともヤッてないから」
一度言葉を切ると、まさぐっていた乳首をきゅっと摘む。
それだけでガイの口から「んっ」と甘い声が漏れる。
「だから、これくらいの事で感じまくってさ。おかしいの」
貶めるような物言いにガイはぐっと唇を噛み締める。
「男とは?」
シンクの問いかけの意味を計りかねて、訝しそうな目を向ける。
「女がダメなら男とヤれば欲求不満もなくなるだろ。なんでそうしなかったの?」
その問に、ガイは口をぱくぱくさせる。
「お、おまえの、世界には女とホモしか、いないのか!!」
状況を忘れて思わず怒鳴ると、シンクはきょとんとした顔をみせてから、ぷっと吹く。
「そのほうが効率的だろ。身体つなげる事に深い意味なんて持たずに割り切ればいいんだよ。
愛なんて幻想抱くより、欲望に正直で好ましいと思うけどね」
「お前がそう思うなら勝手にそうしてろ」
俺を巻き込むな、という言葉は、突然の刺激によって喉にはりつく。
温かくぬめった舌が胸の尖りを舐めたのだ。
「きもち、いい、だろ」
口に含みながらわざと問いかけると、その舌の動きにガイは喉をのけぞらせる。
ぐっと手で口を押さえて首を左右に振る。
「ま、教えてやるよ。欲望に忠実になるのは悪いことじゃないさ」
「よ、けい、なお世話、だ」
途切れ途切れに言葉を返すが、シンクはガイの心情を見透かしたように笑う。
「でもアンタは僕には逆らえない、そうだろ?」
右腕がずきりと痛む。頭の中でシンクの声が響く。思考はどんどん愚鈍になり、反して感覚は鋭敏になっていく。
必死に抗おうとするガイの理性は、シンクの手がガイの性器の先端を撫でた時に、呆気無く押し流された。


後編


あきゅろす。
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