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フリリク第二弾
VG 一人H 浴室ラブラブH 後編
夜の静寂に紛れ、ヴァンは息を潜めて隠れ家へと足を運ぶ。
扉の前に立つと胸の内を緊張が占める。見張りの兵士が鍵を開けるのを待つ間に僅かに手が汗ばむのを感じていた。
部屋に入ると、そのまま寝室へと向かう。扉をあけて真っ先に目に飛び込んでくるベッドに、あるべき姿がない。
ヴァンの纏う空気は一瞬にして緊迫したものへと変化する。
足早に歩みをすすめるとシーツに手を置き、僅かに残っている温もりを確かめる。
窓に素早く目を走らせている時に、鼓膜を水音が震わせる。
寝室奥にある浴室へと逸る気持ちがそのまま足取りに表れる。
浴室へを続く扉をあけた時、もわっと熱気がヴァンをおそう。
浴槽に身体を浸かったまま、眠りに落ちているガイの姿がそこにあった。
ほうっと安堵の息を漏らす。
剣を扉に立てかけて近づく。
「浴槽で眠るのは関心せぬな」
ヴァンの声にピクリとガイは僅かに反応する。
薄く目をあけて「…んっ」と小さく息を吐いて、再び瞼は閉じられる。
すうっと再び穏やかな寝息をたてはじめる。
いつも丁寧にセットされた髪は湿気を含んでぺしゃりと顔に貼りつき、汗ばみ上気した頬は赤みを差し、名を呼んだ事で小さく開いた口からは白い歯が僅かに見えている。
膝をつき、身を屈めて啄むように唇に触れる。静かで優しいくちづけであった。
その感触に、ガイの意識は緩やかに覚醒していく。先程のように薄く目を開けると、音素灯を遮る影があった。
夢でもみているのだろうか、とガイはぼんやりと考える。寝起きで、そして湯に浸かったせいで僅かにのぼせているようで、思考は泥のように重い。
此処で俺に唯一触れる奴がいるわけはないし、何よりも、いつも能面のように無表情に冷たい顔で見下ろしている。だがその影からは弱々しく、こちらの顔色を窺っているような空気を発している。
消えるような小さな声で
「……ヴァ、ン?」
と確かめるように名を呼ぶ。
一呼吸置いた後、バシャと水音が耳に入ると同時に、先程とは打って変わり乱暴に舌を差し入れられると、突然のことに戸惑うガイの舌に執拗に絡めてくる。
強引に眠りの沼から引きずりだされた思考は、鼻で息をすることさえ忘れさせる。
「んっー!!っ!」
ぎゅっとヴァンの袖を掴んで引っ張ると、その意味合いを理解したのか、唇が離れていく。
はあっと酸素を深く肺に送り込むと同時に目を開ける。浴槽の縁に手をかけて上体を折っているヴァンの姿が視界に入る。
居るはずもない、と思っていた相手が至近距離で自分を見詰めている事に、心臓が跳ねガイの身体に緊張が走る。
音素灯を背にしている為、ヴァンの顔は深い陰に覆われている。
いつものように温度を感じさせぬ表情だが、僅かに眉を顰めて苦しそうにも見える。
躊躇せずに湯船に腕をいれ、ガイの背に回して引き上げる。
「っ、ぉわッ!」
みっともない程に裏返った声があがり、抵抗する暇は与えられなかった。
浴槽から引き上げられ、タイルの床に転がされる。
濡れた硬い感触が背にあたり、ガイは慌てて身体を起こそうとするが、ぐいっと肩を床に抑えつけられる。
ガイが足を閉じようとする前に、身体を間に滑り込ませたヴァンの唇は鎖骨を舐め上げ、掌は脇をなぞるように撫でる。
先程の気遣わしげな空気はやはり錯覚だったのかとガイが思う程に、ヴァンは淡々と職務を遂行するような表情だった。
いつものように無駄な愛撫など行わず、ただガイが感じる場所のみを攻め一気に昂ぶらせる。
心はそれについていかずとも、快楽を覚えこまされた身体は素直に反応する。
「やっ…、っふぅ、ンッ、ぁっ」
意思と反して喉からついてでる甘い声が、浴室で反響して耳を震わせる。いつもより濡れたような、その先をねだっているような自分の声にガイは居た堪れなく感じる。
ヌルリとした液を纏った指が奥の窄まりに触れる。
ビクリと身体を強ばらせるガイを気遣うこともなく、そこを押すように揉み解すと容赦なく指を一本挿し入れる。
先程の自慰のせいか、身体は違和感を感じるよりも、待ち構えていたように柔らかく綻び指に吸いつくような動きをみせた。
自分よりも太く節くれだったヴァンの指を焦がれていた身体が、歓喜にぶるりと震える。
「っぁ、あンッ、……ンンッ」
中を撫でるように指を動かされると、合わせるように腰が震える。
身体より遅れて思考が快楽に蕩けた時、差し入れられた指を乱暴に引き抜かれる。
急に動きを止めたヴァンを訝しげに見上げるより先に、身体にぞくりと戦慄が走る。
「相手は誰だ」
問う声の冷たさに心臓を直に握りこまれたような錯覚に陥る。
そのため、その問いかけを咀嚼するのが僅かに遅れた。それをどう解釈したのか、ヴァンは昏い笑顔を見せる。
「誘い込んだのか、それとも。
まあよい。後からゆっくりと弁明させてやろう。だが、先に」
抑揚のない冷たい声で告げると、身体を起こし、浴室の扉に掛けた剣に手をかける。
ヴァンの言葉と行動で、漸くガイはその意図する事に気づく。

背をむけるヴァンからは、身体を竦ませるほどの怒気が満ちている。
「どこいくつもりだ」
焦燥で声が荒げる。どこに、など聞かずともガイはわかっていた。
憤怒の焔を瞳に宿した男が向かう先は。
必死の想いでヴァンの腕を掴み、彼の歩みを止めるために真実を口にする。
「おれが…っ!!俺が、一人で……やった」
ピクリとヴァンが反応すると同時に、静かで激しい憤怒の念が僅かに緩むのをガイは感じ取る。
「ガイラルディア、お前が、か?」
戸惑う声は、先ほどの絶対零度の冷たさはもう感じられなかった。
その事に安堵すると、次に羞恥の波がガイを襲う。
はずかしい、はずかしい、はずかしい。
ガイの頭の中はその単語一色で埋め尽くされる。
死ぬほど恥ずかしいが、人命には替えられない。
ヴァンの足が向かうのはまずは扉の外で、忠実に職務をこなしてきた兵士たちだ。根気づよく何度話しかけても、ヴァンの言いつけに従って一言も言葉を返さなかった男たちだ。
それを俺のせいで、間男だと勘違いされ、命を奪われる事態はなんとしてでも避けたい。やるといえば必ずやる男なのだ。
視線を床に落とすガイの耳に剣を置く音が入る。もう大丈夫だと、ふうっと詰めていた息を吐く。
「それで、どうなのだ」
先程の問いかけへの返事を促す言葉に、消えてなくなりたいとガイは心の底から思った。
ヴァンの腕を掴んだままの手にぎゅっと力が篭る。
「……し、かたない、だろ」
羞恥の炎に包まれながら、途切れ途切れにやっと言葉にすると、ヴァンは尚も先を促そうとする。
「それは誰を想って?」
「っ――!!」
お前、何考えてんだ!と瞬時に湧いた怒りのままに、顔を上げる。
そこには、どこか戸惑ったような気弱な表情のヴァンがあった。

もしかすると。
期待に似た奇妙な感情がガイの胸の奥からじわりと湧き出てくる。
この男は、実は不器用なのではないだろうか。
幼い頃から悉く秀逸にこなしてしまうので、周囲も、もしかすると本人でさえ、気づいていないのかもしれない。
その感情を持て余して、臆病になって、子供みたいな剥き出しの、そして物騒な嫉妬までして。
自分に都合の良い解釈をしているのかもしれない。だけど。
「お前だよ」
恥ずかしさからぶっきらぼうな口調になる。
ガイの言葉にヴァンの表情に動揺が走るのをみて確信する。昂揚感に後押しされるように、再度言葉を紡ぐ。
「ヴァンデスデルカ、お前だよ」
先程とは違い、凪いだ静かな声で告げると、瞠目して、苦しげにくしゃりと顔を歪める。
ガイの肩に顔を埋めると、背に腕を回す。
「濡れるぞ」
「………今更だ」
たしかに、と小さく苦笑いするガイの後頭部にヴァンの手があてられる。
湿気を含んで色濃くなった金糸に指を差し入れて柔らかく掻き混ぜる。それだけでぞくりとしたものが背を這う。
肩口にうずめていたヴァンがゆるりと顔をあげて、首筋から耳朶、目尻に触れるだけのキスを落としていく。
額に、頬に、そして最後にガイの唇に辿りつく。
触れるだけのくちづけはすぐさま離れるが、どちらともなく重ねられ、深いものへと変わっていく。
「……んっ……ふっ………」
合間に漏れる吐息の蕩けた様子に後押しされ、ヴァンはゆっくりとその場にガイを横たえる。
早急で余裕を感じさせられぬ愛撫だったが、ガイは瞬く間に熱を上げていく。
ガイの口を貪るソレも、やはり余裕なく噛み付くように激しいものだった。
その激しい衝動をガイは酷く望んでいたのだと改めて感じた。
興奮に蕩けた思考は羞恥を捨て去る。本能のままに、もどかしげに腰をゆらめかしながら
「は、やく、…欲しい。おまえが、ほしっ」
言葉は最後まで紡げなかった。指を一気に二本も差し入れられたからだ。
その衝撃に背をしならせるが、喉から迸るのは嬌声だった。
ぐじゅぐじゅと内部を掻き回されると、もどかしさだけが募る。
「もうっ、いい、から」
はやく、と飢えた身体が急き立てる。それでも抜こうとしないヴァンの腕をきつく掴んでねだる。
ヴァンが触れれば触れてくる程に、いかに自分がヴァンに飢えていたのか思い知らされる。
ようやく指が抜かれ、熱い先端がそこに押し当てられた時、待ち望んだものが与えられる喜びに、ガイはヴァンに微笑んでみせた。
その微笑はヴァンの最後の理性の楔を捨て去るものであった。
躊躇うことなく熱を根元まで挿し込むと、ガイはその衝撃にピクピクと痙攣して吐精した。
ガイの言葉を信じていなかったわけではないが、入り口だけが蕩けているだけで、内部は狭いままで侵入者を締め出すように押し戻す様子に、ヴァンは漸く心の底から安堵し、ガイの身体を貪る事だけに意識をやる。



「…あっ…ぅっ……、ンッ、…、も、ァアアアッ!」
何かに縋ろうとし、宙をさ迷っていたガイの手をヴァンが掴む。
指を絡めながら、ガイの奥深くを容赦なく突き上げる。
「あっ、アアッ、ぁやッ、……ハァッ!」
突き上げるリズムで口からでるのは、甘く濡れた嬌声だが、身体は既に限界を迎えている。
何度も出した白濁液は自分の身体だけでなく、タイルや浴槽にまで飛び散っている。
淫猥な水音が絶えないのは、何度も体内に出されたからだ。
それでも、まだ、まだ、と散々飢えていた心はほしがる。それは二人とも同じ想いであったが、ガイの身体はとうに限界にきている。
もともとのぼせ気味だった身体は熱を常に持ち続け、くらくらと眩暈まで起きている。
「も、もう……や、めっ、ンンッ」
制止の言葉をガイが紡ごうとすると、それを塞ぐようにヴァンが上体を折ってガイの口腔内を舌で嬲り尽くす。
それだけでまた熱が高まって、ヴァンの律動に合わせるように腰が動く。
せめて場所を移して、とねだろうとする余裕もなく、ふいに意識をガイは失った。





緩やかな風が送られている。その風で意識がゆっくりを覚醒する。
そちらの方に視線を移すと、軽装に着替え、椅子に座ってゆるりと団扇で扇いでいるヴァンがいる。
ヴァンの姿を捉えると、額に濡れたタオルが置かれている事に気づく。
ガイが目覚めた事に気づき、
「水を飲むか」とヴァンが声を掛ける。頷いてみせると、水差しからグラスに注いで渡される。
喉を通る冷たさにようやく一息つける。
ふうっと息をつくと、ふと、部屋にどこどなく気まずい空気が満ちているのをガイは感じた。
「もう風は送らなくていい」
僅かに逡巡した後、ガイの肩に触れて体温が下がったことを確認してから、団扇を水差しの横に置く。
額に置かれたタオルはこまめに替えられたのだろう。そこに手をあてるとひやりと冷たい。
沈黙が部屋に落とされる。
色々話したい事もある。文句は山のようにある。だが、今、俺が言いたいことは。
ガイはぎゅっと掛布の下でシーツを握りしめて、声が震えるのを悟られぬように平静を保ちながら、心なしかしょんぼりと肩を落としているヴァンに声をかける。
「そのかわり、朝まで一緒に寝てくれ」
その言葉に瞠目するヴァンをみて、慌てて「そ、そういう意味じゃないからな」と言葉を重ねる。
誤解されてはたまったもんじゃない。恐ろしい程に弱った身体では、あんな精力の塊に付き合える自信など微塵もない。
ガイは焦って説明をしたが、ヴァンは最初からガイの気持ちはきちんと汲み取っていた。だからこその驚きだったのだが。
いつも微妙に気持ちにすれ違いをみせる二人だったが、ヴァンがいとおしい気持ちに目を細めながら、そっとガイを腕に抱く様子をみれば、いつかは素直に思いを吐露し分かり合える日はそう遠くはなさそうだ。
そうして優しく抱きしめられながら、ガイは穏やかな眠りについた。





VG「一人H」「お風呂でラブラブH」
正直に告白しますと、5回書き直しました。いつも散漫ですが、それ以上に散漫なのはそのせいです(言い訳
もっと正直に申し上げますと、おーとりさんが「こんな感じの二人で〜」とリクの時に提示してくれた二人に禿げ萌えて
少しでも近づこうと思ったのに、全く近づいてないどころか、あらぬ方向に突っ走っています。
おーとりさんにいつもいつもいつもお世話になっているのに、ヘンなもんばかり押し付けています。申し訳ない。
何よりもエロ師匠からのリクなのに、エロが希薄なのが…申し訳ないです。
おーとりさんのみ持ち帰り可能です。


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あきゅろす。
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